その相対価格は備蓄米の放出と関係なくJA農協によって操作される
最後に、筆者が備蓄米について思うことを書かせてください。本ブログの備蓄米に関するニュースも多くの方に読んでいただいておりますが、少し残念に思うことは「備蓄米 まずい」「古古古米 まずい」のようにネガティブなイメージで検索される方がほとんどだということです。そういったイメージが先行してか、実際に備蓄米を購入したことのある人はたった10%しかいないという調査結果がでています。そして同調査の中で「味や品質に不満を感じる人は1割未満」とさえ書かれています。
備蓄米 政府が100万トンを目安にコメを備蓄しておき、不作や災害でコメ不足に陥っても市場に供給できるようにする仕組み。1993(平成5)年に記録的な冷夏でコメが大凶作となった「平成の米騒動」を機に、1995年に始まった。現行制度では毎年20万トン程度を買い入れ、代わりに5年たった20万トンは主食米の市場価格に影響しないよう飼料用などとして販売する。また、子ども食堂やフードバンクなどに無償提供もしている。
販売期限が伸びた最大の理由は「いまだに販売店に備蓄米が納入されていない」ことです。政府備蓄米は5月末に随意契約での放出を開始し、その際契約したのが約28万トンでした。しかしその1/3となる約10万トンの引き渡しが未だ行われていないことが明らかになりました。要因として出庫や精米、品質チェックに想定以上の時間がかかっていること、流通自体が滞っていることなどが挙げられています。会見の中でも小泉農水相も「契約した数量を約束通り流通することが責任」と述べており、全小売店へ備蓄米が行き渡っていないことを理由としています。販売期限は延長しますが、特に現時点で未納となっている小売業者に対し「備蓄米を販売するか、キャンセルするか」を選択できるようにすることも発表されました。
政府備蓄米の当初の販売期限は、8月31日とされていました。しかし前述の通り、多くの小売店から販売期間延長を求める声が上がっていました。実は販売期限まであと11日となる8月20日現在、まだ備蓄米が手元に届いてすらいない販売店も少なからず存在したのです。
農林水産省は、随意契約による備蓄米の販売期限を、当初、今月末までとしていましたが、倉庫からの出荷の遅れなどを理由に、来月以降も販売を認めることにしました。これについてJA全中の山野会長は21日開いた記者会見で、「今回の方針変更で、生産現場では今後の需給や価格への影響を懸念する声があがっている」と述べました。そのうえで「こうした懸念が払拭(ふっしょく)されるよう丁寧な情報発信を進めるとともに、追加の申し込みの受け付けや期限の再延期など、さらなる変更が行われないことが重要だ」と述べました。また各地のJAが新米の集荷率を高めるため、農家に仮払いする「概算金」の目安を引き上げていることについて、山野会長は、「概算金は生産者が営農を継続できるよう総合的に加味して各産地で判断されていると承知している」と述べ、販売価格への影響などを注視する考えを示しました。
小泉氏は小売りなどと契約した備蓄米のうち10万トンほどの引き渡しが終わっていないと明かした。新たな販売期限は設けないとした上で、小売りなどには「(備蓄米を)引き渡し後に1カ月以内に売り切る努力をしてほしい」と求めた。
一つは、消費者に近い卸売業者や大手スーパーではなく、米価を低下させたくないJA農協に備蓄米を売り渡したことである。3月に放出したのに、4月中頃になっても2%しか消費者に届いていない。スーパー等に近い卸売業者ではなく、流通面ではその1段階前のJA農協に放出した以上、時間がかかるのは当然だろう。また、米価は需要と供給で決まる。より根源的な問題として、備蓄米を放出しても、その分JA農協が以前よりも卸売業者への販売を減らせば、市場への供給量は増えない。相対価格が下がらなければ、卸売業者の利益も確保する必要があるので、小売価格も下がらない。その相対価格は備蓄米の放出と関係なくJA農協によって操作される。
小泉進次郎農相は20日、随意契約で放出する政府備蓄米について8月末までとしていた販売期限を延長すると表明した。5月の就任後、競争入札から小売業者などに直接渡す随意契約に切り替えたが、出庫や精米の遅れという目詰まりが発生した。小泉氏は検討会を立ち上げて改善策を探り、有事の対応に生かす姿勢を示した。
備蓄米の売渡しに関する随意契約の実施は、来週に予定されている。法的措置はその後の選択肢として残しつつ、いま最優先で求められるのは価格指定の撤回である。
JA全中=全国農業協同組合中央会の山野徹会長は、随意契約の備蓄米の販売が来月以降も認められるようになったことについて、生産現場では需給や価格への影響について懸念があるとして政府に丁寧な情報発信などを求める考えを示しました。
保管倉庫からの引き取り期限を20日に設定していたが、出庫や精米などに時間がかかり、流通に遅れが出ていた。農水省は今後、備蓄米の販売を続けるか、20日までに出庫できなかった分をキャンセルするか事業者に意向を聞き取る。
主要食糧法では、備蓄米の放出は「主食用米の供給量確保に支障が生じる場合」に限定されており、実質的な供給不足が前提とされている。価格の上昇や高止まりのみを理由とする放出は、制度上の想定外である。
まず最初に、備蓄米の販売期限が8月以降まで延長されました。本決定は8月20日に小泉農水相より発表されています。期間延長の背景として、随意契約を行った多くの小売店からの要望があったことが報道されています。
随意契約の備蓄米では、これまでに小売りなどと計28万トンの売り渡しを契約し、4万トンのキャンセルが出ている。小売りでの販売数量は8月10日時点で10万7000トンほどにとどまっている。
そもそもコメには流通履歴を記録するトレーサビリティ法があるので、コメが消えることはあり得なかった。農水省は、また19万トン在庫が増えているとしたが、生産増加の18万トンに比べ、在庫が1万トン増えたというだけで米価急騰の説明になっていなかった。農水省がウソを重ねてきたのは、備蓄米を放出して米価が下がることを恐れたからだ。


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