
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、明晩のジャクソンホール会合でのパウエルFRB議長の講演という重要イベントを控えて、8月の仏・独・英・ユーロ圏PMI速報値を見極めながら、ウクライナ情勢に関するヘッドラインに警戒していくことになる。
ウクライナ戦争の停戦に向けては、15日にトランプ米大統領とプーチン露大統領の米露首脳会談、18日にゼレンスキー・ウクライナ大統領とトランプ米大統領の首脳会談、19日に臨時欧州連合(EU)首脳会談が行われ、3者会談(トランプ米大統領、プーチン露大統領、ゼレンスキー大統領)の開催が検討されている模様で、本日も、関連ヘッドラインに警戒していくことになる。
ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)の利下げ停止観測が高まる中、8月の仏・独・ユーロ圏製造業・サービス業PMI速報値で、景況感を確認することになる。
ポンドドルは、昨日発表された英7月消費者物価指数(CPI)の上振れを受け、イングランド銀行金融政策委員会(MPC)での5対4のタカ派的な利下げが裏付けられたが、今度は8月英製造業PMI速報値(予想:48.3)や英サービス部門PMI速報値(予想:51.8)などで英国の景況感を見極めることになる。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1789ドル(7/24高値)
・ユーロ円:173.02円(8/13高値)
・ポンドドル:1.3595ドル(8/14高値)
・ポンド円:200.28円(8/13高値)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1591ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:170.30円(日足一目均衡表・雲の上限)
・ポンドドル:1.3369ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ポンド円:197.66円(日足一目均衡表・基準線)
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し ロンドン為替見通し8月の仏 独
10年債利回りは、独の例などを見ても米10年債利回りの影響を強く受けてきました(図表6参照)。日本の10年債利回りも、2022年4月に日銀が上限を設定し、連続指し値オペで上昇を阻止する以前は、基本的に米10年債利回りと連動していました(図表7参照)。日銀が上限を設定せず、米10年債利回りとの連動が続いていたら、日本の10年債利回りは、足元では0.8%程度まで上昇していた可能性がありそうでした。以上のことから、上限を設定する以前の関係に戻るなら、日本の10年債利回りは0.8%程度まで上がる可能性はあるといった見通しになるでしょう。
一方、「インフレの高止まりが持続し、労働市場の見通しが悪化すれば、難しい選択を迫られる可能性がある」との見解も提示されていた。7月会合ではウォラー、ボウマンの両氏は雇用市場の一段の悪化を回避するため、0.25ptの利下げを主張していた。7月開催のFOMC会合では9月利下げを強く意識した議論はなかったようだが、7月の雇用統計が悪化したことで市場参加者の大半は年内複数回の利下げを想定している。
ただし、依然として相対的な金利水準は「米国>日本」という状況に変わりはありません。基本的に、金利差も相対的に水準の高い金利の影響が大きくなるので、その意味では今後も米ドル/円の行方は米金利の見通しが最大の鍵を握る構図で変わりはないでしょう。では米金利は上がるのでしょうか、それとも下がるのでしょうか。
4~6月期のGDP成長率が前期比年率2.4%(速報値)となるなど、米景気回復傾向が続いているようです。ただし、CFTC統計の投機筋の米10年債ポジションは、一時は売り越しが80万枚以上に拡大するなど、空前の「売られ過ぎ」が懸念される状況となりました(図表9参照)。このような債券市場のポジション動向などを見る限り、債券売り拡大に伴う「債券価格下落=利回り上昇」には自ずと限度がありそうです。その上で、日本の金利も上限が緩和されたことにより、これまでより米金利上昇に伴う「日米金利差米ドル優位拡大=米ドル高」も限られる見通しとなりそうです。
以上から、今後の日本の10年債利回りの上値目途は0.5~0.8%とします。そして米10年債利回りを4%とすると、日米10年債利回り差米ドル優位は最大で3.2~3.5%へ縮小する見通しになります。これを図表5の米ドル/円と日米10年債利回り差の関係に当てはめてみると、金利差米ドル優位が目一杯縮小しても、米ドル安・円高は135円割れに至らない程度にとどまるという見通しになります。


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