【前編】佐々木融×森永康平が日本経済の行方を徹底討論 ~ジャクソンホール前の特別対談~ 2025年8月22日 FX/為替 ドル円予想

【前編】佐々木融×森永康平が日本経済の行方を徹底討論 ~ジャクソンホール前の特別対談~ 2025年8月22日 FX/為替 ドル円予想

 

 ふくおかフィナンシャルグループ・チーフストラテジストの佐々木融氏と経済アナリストの森永康平氏による為替市場に関する対談をお届けします。現在の円安状況から中長期的な見通しまで、専門家の視点から詳しく解説していただきました。

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現在の為替水準について

■ドル円147円台の評価

収録時点でのドル円レート:1ドル147円50銭前後

佐々木氏の見解:
・長期的には圧倒的な円安水準
・購買力平価の観点では1ドル80円台が適正
・過去の円安局面と比較しても1ドル110円程度でも円安水準
・一時期の160円台から調整したものの、依然として異常な円安状況

円安の背景:
1. トランプ政策への不安 – ドル売り要因
2. 欧州への資金流出 – 今年は欧州通貨が軒並み強い
3. 米国の景気減速懸念 – ドル売り圧力
4. 日銀の利上げ期待 – 円買い要因(一時的)

■投機筋のポジション動向

現在は歴史的な円買いポジションが積み上がった後の巻き戻し局面。160円台からの調整が140円台で止まったことは、円の構造的な弱さを示している可能性がある。

日本の政治情勢と為替への影響

■参院選の影響

選挙結果: 与党大敗、石破首相の進退問題

為替への影響:
・参院選後から円安傾向が継続
・ポジション巻き戻しとの区別は困難
・全体的に円が弱い状況は事実

アメリカの金融政策動向

■FRBの政策スタンス

現状分析:
・物価は依然として上昇傾向
・失業率は過去の利下げ局面と比較して低水準
・株価は史上最高値を更新中

利下げ期待について:
佐々木氏は市場の利下げ期待が「前のめりすぎる」と指摘。9月の利下げ可能性は低いとの見方を示す。

■ジャクソンホール会議への期待

パウエル議長の立場:
・1970年代以来の政治的プレッシャー
・中央銀行の独立性を守る重要な局面
・極めてニュートラルな発言に徹する可能性

トランプ政策の為替への影響

■関税政策とドルへの影響

短期的な影響:
・関税による貿易赤字縮小 → ドル買い要因
・海外からの直接投資約束(1.5兆ドル規模)→ ドル支援要因

中長期的な懸念:
・保護主義による生産性低下リスク
・アメリカの信頼失墜とソフトパワー低下
・他国の脱ドル政策加速の可能性

日銀の金融政策展望

■利上げの可能性

佐々木氏の見解:
年内に追加利上げの可能性が高い

利上げ支持の理由:
1. コストプッシュとディマンドプルの区別は紙一重
2. 円安阻止のためにはある程度の利上げが必要
3. 日本は預金(1000兆円)が借入(400兆円)を大幅に上回る
4. 低金利継続が日本経済停滞の一因

■金融政策論争について

森永氏の見解:
金融政策単体での議論は限界がある。財政政策との組み合わせ(ポリシーミックス)で考えるべき。

構造改革の重要性:
アベノミクスの「第3の矢」である構造改革が不十分だった点を両氏が指摘。

中長期的な為替見通し

■1年後の予想

佐々木氏の見解:
1年以内に再び160円台を試す可能性が高い

根拠:
・円の実質金利はマイナスのまま
・国際収支も悪化傾向
・アメリカの政策による資本流入

リスクシナリオ:
植田日銀総裁が予想以上にタカ派的になった場合は見通し変更の可能性

個人投資家へのアドバイス

■投資の基本姿勢

佐々木氏の提言:
・「儲ける」より「資産を守る」という観点
・現金は実質目減りするため、資産への投資が必要
・分散投資:投資対象だけでなく時間の分散も重要

■具体的な投資手法

推奨される方法:
・積立投資による時間分散
・一度に大金を投入せず、継続的な投資
・投資を忘れるくらいの感覚で継続

成功例:
佐々木氏の金投資(1996年から継続)- 途中忘れていたことが最良の結果をもたらした

■若い投資家への特別なアドバイス

時間の優位性:
・若い世代は時間分散の効果を最大限活用可能
・早期開始による複利効果
・本業への好影響(経済知識の自然な習得)

投資の副次的効果:
・身銭を切ることで経済ニュースが自分事になる
・自然と経済知識が身につく
・転職や昇進にもプラス効果

まとめ

現在の為替市場は構造的な円安要因が根強く、短期的な調整はあるものの中長期的には円安傾向が継続する可能性が高い。個人投資家は「儲ける」ことより「資産を守る」観点から、時間分散を活用した継続的な投資を検討すべきである。特に若い世代には時間の優位性を活かした早期の投資開始を推奨する。

 
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ふくおかフィナンシャルグループ チーフ・ストラテジスト
佐々木 融 (ささき・とおる)氏
1992年上智大学卒業後、日本銀行入行。調査統計局、国際局為替課、ニューヨーク事務所などを経て、2003年4月にJPモルガン・チェース銀行に入行。
2010年にマネージングディレクター就任、2015年から2023年11月まで同行市場調査本部長。23年12月から現職。著書に「インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?」「弱い日本の強い円」など。

株式会社マネネCEO/経済アナリスト
森永 康平(もりなが・こうへい)
証券会社、運用会社にてアナリストとして株式市場や経済のリサーチ業務に従事。その後、業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。2018年6月、金融教育ベンチャーのマネネを創業。現在は国内外のベンチャー企業の経営にも参画している。著書は『スタグフレーションの時代』(宝島社新書)や『親子ゼニ問答』(角川新書)など多数。

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