
今週は週初から、市場の注目はジャクソンホール会合でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演と言われ、いよいよその注目の講演が本日の日本時間23時頃に行われる。
ここまで講演が注目されているのは、米連邦準備理事会(FRB)の2大責務のうち、「雇用の最大化」が大きくクローズアップされていること。7月の米雇用統計で発表された過去2カ月分の修正値が大幅に下方修正された。桁違いとも捉えられるほどの大幅修正となったことで、今後発表される月次の雇用統計の信頼性が問われるほどの事態となっている。
雇用統計後に初めてパウエル議長から、この修正についての言及がされることで否が応でも注目される。これまで、パウエル議長は失業率上昇のリスクの高まりを警戒はしていたが、「労働市場の状況は依然として堅調」との考えを示していた。今回の講演で現況の雇用情勢と見通しについて変化が生じるかが注目される。
一方で、2大責務のもう1つでもあり「物価の安定」では、先週発表された7月の卸売物価指数(PPI)が市場を大幅に上回る結果となった。7月のFOMC議事要旨でも「失業率とインフレ率が共に悪化した場合、難しいトレードオフの可能性を認識」していると公表した。インフレ警戒感もあり、パウエル議長が雇用統計の悪化にもかかわらず、これまでのように「今後のデータ次第」というあいまいな態度にとどめる発言でお茶を濁す可能性がある。逆に、昨年のジャクソンホール会合での「政策を調整する時が来た」と宣言したような、積極的な発言をするリスクも少ないとは言え警戒はしておきたい。
なお、市場ではパウエル議長がFRBの独立性を維持することを改めて明言するのではないかという予想もある。トランプ米大統領が度重なる政治的な圧力をFRBにかけているが、パウエル議長が辞任をする意思を表明していないだけでなく、異例とはなるがFRB議長の任期後も理事として残る可能性もある。
トランプ政権にとって想定外となる、パウエル議長の理事留任の可能性もあることで、トランプ政権はほかのFRB理事(クック理事)の交代に焦点をずらしたとのうわさもある。昨日のファイナンシャルタイムズ紙はトランプ大統領の意向を受けて、司法省がパウエル議長に対し、クック理事の解任を求める書簡を送付したと報じた。もし解任となれば、上院から承認を受けていないもののミラン氏に続いて、トランプ政権の意向を代弁する理事が新たに着任し、FRB理事はハト派が過半数を占めるだけではなく独立性を失うことになりそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、200日移動平均線149.13円。、その上は心理的節目150.00円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値は、21日移動平均線147.96円。その下は21日安値147.26円。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ


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