150円を試すカギは?【外為マーケットビュー】
配信期間:公開日から2週間
※原則隔週の配信となります。次回配信は9月9日 (予定)
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
動画の要約・まとめ
パウエルFRB議長の発言について
– 先週末のパウエル議長の講演を受けてドル円が急落
– 発言内容自体はそれほどインパクトがあるものではなかった
– マーケットが過剰に反応した結果
– 雇用市場の悪化を踏まえ、金融政策を変更する可能性に言及
– 9月の利下げが確定的との見方が広がった
全体的な市場状況
1. ドル円: 中長期的にはドル安円高トレンド継続。短期的には148-149円の攻防が重要
2. ユーロドル: 調整局面終了の可能性があるが、上値抵抗突破が必要
3. ユーロ円: 中期トレンド強いが、短期的には下値リスク増大
4. 豪ドル円: 戻り売り基調継続、100円突破は困難
投資戦略のポイント
– 基本的には引きつけて売りが有効
– 各通貨ペアで重要なサポート・レジスタンスラインを意識
– パウエル発言の影響は一時的で、ファンダメンタルズに注目が必要

川合美智子氏
外国為替ストラテジスト
旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)在勤の1980年より、テクニカル分析の第一人者、若林栄四氏の下でテクニカル分析を研究、習得する。同行退職後、1998年まで在日米銀などでカスタマー・ディーラーや外国為替ストラテジスト、資金為替部長を歴任。現在は外国為替ストラテジストとして、テクニカル分析に基づく為替相場レポートを発信中。各種メディアへの出演も多数。
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ドル円解説 上値が重い展開 150円を試すカギは
重要なのは、先々週大きく続伸し、一旦97円関門直前まで打診したことだ。豪ドル/円は横這いのレンジを形成しながら、上値志向を保ってきたため、これから新たなレンジ変動を形成してくと推測され、上放れ自体が本物のサインだった。
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
トランプ米大統領は、4月2日に発動を予定している広範な相互関税について「柔軟性がある」と発言した。一部の国・地域に対する関税賦課の除外を示唆したと受け止められたことで一時500ドル超下落していたNYダウ平均株価が上昇に転じるなど市場心理が改善。一時はリスク回避で買われていた円にも売り戻しが入った。
米ドル/円相場は先週波乱した。10月3日に一旦150.18円をトライしたものの、当日に147.38円に急落し、介入と思われるほどの値動きだった。ただし、介入の有無は諸説あり、また介入がなかったという見方が有力視され、マーケットの自律調整の可能性が大きかったと思われる。この場合、米ドル高の終焉が示唆されたこともあり、その後は足元の市況に鑑み、頭が重くなっていることもあって、警戒が必要だと思う。
本日のアジア時間からロンドン時間にかけてのドル/円は上値の重い展開。パウエルFRB議長の講演後に下落した反動から、ドル/円は147.527円まで上昇した。しかし、日経平均株価の上昇幅縮小や米国の利下げ観測から上昇一巡後は、147.10円付近まで下げた。
現状レベルの上側の147.400円、147.450円、147.500円、147.600円、147.700円、147.750円、147.800円に売り注文が並んでいるほか、147.400円、147.500円、147.550円、147.600円にストップ買いが確認できる。一方、下側では146.800円、146.950円、147.000円、147.050円、147.100円に買いが観測されるほか、147.150円にストップ売りが確認できる。
むしろ試練があったからこそ、これから身軽に高値をトライしていける。このままだと、97円関門の再打診まで、想定より時間がかからない可能性があるため、リバウンドの強さを軽視すべきではない。ただし、この場合は豪ドル/米ドルのリバウンドが前提条件となる。
まず、移動平均線をみると、200日線は5月以降、149円50銭台から80銭台で横ばいに推移するなか、ドル円は2月中旬に同線をドル安・円高方向に下抜けた後、依然回復できていない状況となっています。次に週足の一目均衡表に目を向けると、三役逆転(週足が雲の下に位置、転換線が基準線の下に位置、遅行線が26週前の週足の下に位置)が確認されており(図表1)、「ドル安・円高」トレンドが示唆されています。
介入の有無を問わず、10月3日の波乱やその後の値動きに鑑み、150円関門以上のトライがこれから難しくなっている、という印象が深い。10月3日の大陰線、長大線の上、そして前後の罫線に対して「インサイド」や「アウトサイド」の関係を示しているため、同線自体が「弱気リバーサル」(これからは弱気アウトサイドの公算も)のサインだったことに鑑み、再度高値更新するには莫大なエネルギーが必要で、時間の推移につれ、上放れの可能性が小さくなりつつあるとみている。
●ドル円は200日移動平均線を下回っており、週足の一目均衡表はドル安・円高のトレンドを示唆。●短期では上値を試しやすいものの149円70銭台や150円70銭台は上値抑制水準になりやすい。●引き続き140円から150円のレンジ推移が見込まれるも、再度150円を試す展開となるかに注目。
しかし、日本の事情が無視され、米ドルの本格的な反落なしでは円が買われることはないため、これから円買いがあっても間接的なものだろう。この意味合いにおいて、当面米ドルの頭が重くても、なお高値圏にて広いレンジを形成できるだろう。本格的な反落はなお先かもしれない。
米ドルは全体的にかなり買われ過ぎの段階にあり、すでに終盤に差し掛かっていた。先週からドル指数自体が頭打ちのサインを点灯し、米長期金利の上昇一服と相まって、これから調整してくる公算が大きい。
豪ドル/円相場は先週大反乱した。米ドル/円の波乱につられた形で一旦93円関門割れがあったものの、大引けは95.31円と高く、週足では典型的な「スパイクロー」のサインを形成した。強気変動の構造をなお維持、また大波乱があったからこそ構造上の強さを維持し、これから高値再更新を果たす見通しだ。
7月半ば以来、日足では大型「上昇ウェッジ」に近いフォーメーションの形成を確認でき、一旦150円関門のトライがあっても許容範囲内だった。ただし、先週の波乱で同フォーメーションの上放れが結局失敗に終わったことを示し、「上昇ウェッジ」の成立に繋がったわけだ。言ってみれば、150円大台の一旦ブレイク自体が「ダマシ」であった。
200日移動平均線は、7月16日時点で149円71銭水準に位置しているため、目先はこの辺りがドルの上値抵抗線として意識されやすいと思われます。また、週足の一目均衡表では、雲(図表1で先行スパン1と先行スパン2に挟まれた領域)の下限(先行スパン2)が、7月11日時点で150円77銭水準に位置しているため、ここもドル円の上値をおさえる水準になりやすいと考えられます。


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