サーモンに続け 拡大続くサバ養殖

一方、海水温の上昇による秋サケの不漁も養殖が増える一因となっている。「宮古トラウトサーモン」の養殖も、不漁が理由の一つだった。

「ご当地サーモン」が全国に広がった背景には、２０１１年の東日本大震災が関係している。津波で被災した東北沿岸部の養殖関連施設の拠点を県外に移したり、出荷先を失った稚魚を全国の業者が買い取ったりしたことが理由だ。

サーモン人気を追いかけるように、「ご当地サーモン」は各地で誕生した。同機構宮古庁舎（岩手県宮古市）の今井智主任研究員の調査によると、全国の海面・陸上の養殖地は今年５月時点で計１２７か所。計５４か所だった２０１５年１２月の調査から約２．４倍に増えた。

そうですよね。サバでも同じ世界観が作れるんじゃないかと思っていて。これまで一般的に食べられていた“サバ”と、弊社が養殖しているような生食できる“サバ”。この２つは、たしかに同じ“サバ”なんですが、シャケとサーモンと同じように味は別物です。

岩手県大槌町の「桃畑学園サーモン」は、観光客が養殖池から釣り上げることができる。同サーモンの誕生は２１年で、ご当地サーモンの中では後発。知名度アップを図るため、地元ＮＰＯ法人が昨年秋から始めた。理事の大場理幹さん（２７）は「サーモンの競争は激しくなっている。普通はできないサーモンの釣り体験は、ほかとの差別化になる」と話す。

日本人が回転ずしで最も好きなサーモンの主産地がノルウェーだ。150カ国以上に養殖物を輸出しており、2023年の輸出額は生産・輸出を始めた1960年代以降で最高だ。マリアンネ・シーヴェットセン・ネス漁業・海洋政策相に展望を聞いた。

［Ｎｅｗ門］は、旬のニュースを記者が解き明かすコーナーです。今回のテーマは「ご当地サーモン」。

盛岡支局 三品麻希子 岩手県沿岸部の行政や産業、町の話題まで幅広く取材。マイブームはサーモンの食べ比べ。

岩手県の業者からニジマスの稚魚を仕入れた香川県は、「讃岐さーもん」として養殖。今春からは特産のオリーブの葉の粉末を飼料に混ぜた「オリーブサーモン」の販売を本格的に始め、ご当地を強調している。

産地では、差別化に知恵を絞っている。いよかんのオイルを餌に加えて臭みを抑えた「宇和島サーモン」（愛媛県）や、地元産レモン果汁を与えた「広島レモンサーモン」（広島県）は、特産物で育てることでブランド化。富士山の湧き水で養殖した「ホワイト富士山サーモン」（静岡県）は、赤身の印象があるニジマスに赤い色素成分「アスタキサンチン」が入っていない餌を与え、本来の白身魚として売り出している。

加熱して食べるのが一般的だったが、８０年代にノルウェーから安価な養殖サーモンが輸入されると、生食文化が浸透。あぶりやカルパッチョなどアレンジが多様なサーモンは、回転ずしの定番ネタとして瞬く間に人気になった。水産大手・マルハニチロの今年の調査では、回転ずしのネタの人気１位は１３年連続で「サーモン」だ。

サバの陸上養殖を成功させるというのはもちろんですが、SABARに関しては、まずは38（サバ）店舗まで拡大することですね。わたしが達成できなかった夢を平松社長に託し、必ず38店舗を達成したいですね！

鹿児島大の佐野雅昭教授（水産経済学）によると、国内で販売される養殖サーモンは輸入が多く、国産は２３年で推定約１万トン。円安による輸入品の価格高騰もあり、「今後も国内の養殖サーモンは拡大・発展していくだろう」と話している。

――日本で消費するサーモンの85%がノルウェー産などの輸入品です。

石川県志賀町でも震災後から岩手県の稚魚を仕入れ続け、「西海サーモン」を生産している。だが、能登半島地震の津波で出荷前のサーモンが半分ほど死んでしまった。生産会社「西海丸定置」の高岩権治相談役は、「最初は病気が多く、苦労したが、今ではおいしいと評判の県内唯一のサーモン。先行きは不透明だが、事業を続けていきたい」と話す。