ドル円 動かず 雇用統計待ちでレンジ相場続く【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2025/8/28
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
動画要約・まとめ
現在の相場状況
– 相場が全く動かなくなっている状態
– ドル円は146円台半ばから148円台半ばの2円程度のレンジで推移
パウエルFRB議長のジャクソンホール講演について
– 9月のFOMCで利下げを示唆する発言
– 一時的にドル安が進んだが、反応としてはおかしかった
– 理由:市場は既に9月利下げを7-8割織り込み済み
– 講演内容では長期的なインフレリスクと関税の影響への懸念も表明
– 9月は利下げするが、その先は慎重姿勢を示している
トランプ大統領のFRB理事解任について
– 利下げ反対が理由ではなく、疑惑があるため
– 直接的な市場への影響はなかった
– FRB人事への介入と受け取られ反応したが、過剰反応だった
次の注目材料
– 雇用統計が次の大きな節目となる見込み
– 前回の雇用統計で過去2ヶ月分が大幅下方修正
– 「アメリカの雇用は実際には悪いのでは」というムードが広がっている
– 来週金曜日の雇用統計は注目度が非常に高い
結論
現在の市場は材料不足で膠着状態にある。パウエル議長の発言やトランプ大統領のFRB人事介入も一時的な反応に留まった。次の大きな転換点は来週金曜日の雇用統計で、前回の大幅下方修正を受けて市場の注目度は極めて高い。それまでは神経質な展開が続くと予想され、レンジ相場での細かいトレードか、スワップポイント狙いの戦略が有効と考えられる。
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株式会社マットキャピタルマネージメント 代表取締役
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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-前営業日サマリー- ドル円は 151.63円でオープン
186円までの下落を警戒 1月の米雇用統計で非農業部門雇用者数と平均時給が予想よりも大幅に減少・低下し、かつ失業率が予想以上に上昇する場合は、ドル円(USD/JPY)の下落幅拡大を警戒したい。変動幅の拡大しやすいポンド円(GBP/JPY)は186.00をトライする可能性がある。
さて、今後のドル円相場についてですが、注目すべきキーワードは「緩和の打ち止め」でしょうか。
米雇用統計でドル円急反発なら191円までの上昇を想定 一方、今晩の米雇用統計を受けて米金利が急反発すれば、ドル円(USD/JPY)もこの動きに追随することが予想される。ドル円との相関性が高く、また変動幅が拡大しやすいポンド円(GBP/JPY)は191.00を視野に上昇幅が拡大する可能性がある。
ドル円→秋に下値試した後は上昇?来年150円超へ。FRB9月利下げ再開へ→インフレ指標の推移に注目。
ドル円が146.15レベルをトライするサインとして、3つのテクニカルラインの攻防に注目したい。ひとつは、レジスタンスラインへ転換する兆しが見られる21日線である。レポート掲載時点で、この移動平均線は144.60台で推移している。1時間足チャートをみると、すぐ下の144.50レベルはレジスタンスへ転換する兆しが見られる(緑矢印を参照)。144.50-60をレジスタンスゾーンと想定し、上限の21日線を上方ブレイクする場合は、145円を目指すサインと捉えたい。
-前営業日サマリー- ドル円は、151.63円でオープン。東京市場では、152円にトライしていくような積極的な値動きとはならずに、米雇用統計を控えて151円台後半での落ち着いた値動きとなりました。ロンドン市場では、欧州株や米株先物が底堅く推移したことで一時151.76円付近まで買われる場面は見られたものの、それ以上の上値追いとはならずに東京時間に引き続き動意に欠ける相場展開でした。NY市場では、寄り付きこそ底堅く推移していた米株が一転して軟調な推移となったことでリスクオフの円買いが強まり、ドル円は151円前半まで下押し。そのまま151.29円で取引を終えました。
ドル円相場はその後、3月の決算期末に向けた国内勢のリパトリ(日本円買い、外貨売り)などもあって、3月末にかけては一時111円台まで下落する場面もありましたが、113円台半ばまで戻しています。2月後半以降の111円~114円のレンジに収まっている格好です。
現在の米債市場は経済指標の内容に反応する地合いにある。10年債利回りは予想を下回った1月米ISM非製造業景気指数を受け4.5%の水準を下方ブレイクする状況にある。今晩の米雇用統計で労働市場の軟化が示される場合は、「米金利の低下→米ドル安→ドル円の下落幅拡大」を想定したい。米雇用統計でドル円が下落する場合、ポンド円(GBP/JPY)は下でまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
雇用統計の結果が強弱入り混じった内容だったことで、トレンドが出にくく、投資家が積極的にポジションを取りに行く流れとはならなかったようです。実際、ドル円ポジションのQUICKが集計した店頭FX建玉統計を見てみると、雇用統計が発表される前の週と比較して多少買い越し建玉が減少しているもののほとんどポジションは変わっていません。少なくとも、個人投資家は、雇用統計前にポジション調整を行い、以後、積極的にポジションを取りに行ってはいないと言えるのではないでしょうか。
142円割れやレジスタンス転換なら140.00トライの可能性も 関税政策での米政権要人の強硬な言動は、5月の米株高トレンドに水を差す可能性がある。さえない経済指標による米ドル安の進行も重なり、筆者の想定を超えてドル円の下落幅が拡大する場合は、心理的節目の140.00を視野に下落幅の拡大を想定したい。142.00を下方ブレイクした後に反発しても、この水準がレジスタンスラインへ転換する場合もまた、140.00をトライするサインになり得る。
まず3月のドル円相場について振り返りましょう。111円台~114円台という狭いレンジで推移しましたが、いくつかの大きなイベントを受けての結果となります。
これらの状況を総合的に考えると、米雇用統計がよほど強い内容とならない限りは、ドル円相場は中長期的に円高方向に進む可能性が高いかもしれません。ドル円ポジションでCME日本円通貨先物のポジションを見ていただくとわかりますが、今年になってからドル売り、円買い方向となっています。直近もドル売り、円買いの持ち高が増加しています。投機筋は円高方向に進む可能性が高いと考えていることが分かります。
ドル円が145円台の攻防となる場合は、50日線と半値戻しの水準145.38の攻防に注目したい(日足チャート)。後者のテクニカルラインを突破する場合は、予想レンジの上限146.15のトライを意識したい。
なお、今晩の米雇用統計をきっかけにドル円の下落トレンドがいったん下火となり、来週以降154円台へ反発する場合は、21日線(今日現在155.20前後)のトライが焦点に浮上しよう。
ドル円が153円台まで反発しNYクローズを迎える場合は、来週以降10日線(今日現在158.80台)と154.00のトライが焦点に浮上しよう(雇用統計が相当に強い内容となれば、今晩に10日線をトライする可能性もある)。先月の22日以降、10日線は相場の反発を止め続けている。




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