川崎重工 海自艦の検査で改ざんか
川崎重工業の橋本康彦社長は27日午後、記者会見を開き、船舶用エンジンで燃費性能のデータを改ざんしていた問題などについて「たび重なるコンプライアンス違反について皆様にご心配やご迷惑をおかけし、大変申し訳なく心からおわび申し上げます」と述べ、陳謝しました。その上で「すべてのうみを出し切る覚悟でコンプライアンス・ガバナンス体制の再構築、また再発防止に向けた取り組みを徹底し、信頼回復に向けて企業風土の改革に全力で努めてまいります」と述べました。また、自衛隊から請け負った潜水艦の修理で捻出した裏金を不正に流用していた問題については「聞いた時にはトップとしても大変ショックでしたし、まだこの時代に行われていたことに大変反省すべきことだと考えました。防衛に対する理解をいただいているという状況で、こうした事案が起こるのは、国民の皆さんに対する信頼を失墜する内容で申し訳ない」と述べました。そして、外部の弁護士による特別調査委員会が調査を続けているとした上で、その結果を年内に公表するとしています。
具体的には、舶用エンジンの工場試運転時に燃料消費率を顧客先の仕様に基づく許容値に収めたり、各種データのばらつきを抑えたりするために、検査装置を操作し、データを書き換えていた。NOx放出量に影響を及ぼしている可能性もあるという。ただ、現時点では、川崎重工業製エンジンの試運転および実際の使用時において、安全性に影響する事案は確認されてはいないとしている。
川崎重工業(川重)が海上自衛隊の潜水艦乗組員らに物品・飲食代を裏金から支出していた問題で、大阪国税局が約12億円を「交際費」とみなし、経費として認めないと指摘した。川重はこれを受け、修正申告する方針だ。
川崎重工業では今後、国際海事機関が定めるNOx放出量規制への影響やCO2放出量規制への影響について調査を行う。さらに、外部有識者で構成する特別調査委員会を設置し、詳細な事実関係や原因の究明、再発防止策の検討を進める。
舶用エンジンでは、2024年4月にIHIで発覚して以降、同年7月に日立造船グループ、そして今回の川崎重工業と、検査不正が相次いでいる。
川崎重工業が船舶用エンジンで燃費性能データを改ざんしていた問題で、会社は27日、社内調査の結果をまとめ、国土交通省に提出しました。不正の背景には品質よりも納期や利益を優先する意識があったなどとしています。
川崎重工業では、NOx一次規制以降の規制対象となるエンジン674台に対して社内調査を進めたが、その結果、NOx放出量確認試験を含む工場試運転において、商船向け舶洋2ストロークエンジン673台において検査不正が確認された。なお、商船向け舶用2ストロークエンジン以外では不正はなかったという。
川崎重工業は有害な窒素酸化物の規制が始まった2000年以降、大型貨物船やコンテナ船、タンカーなどに搭載された船舶用エンジン673台で燃費性能に関わる測定データを改ざんしていたと先月発表しました。問題を受けて、会社は社内調査を行い、27日、国土交通省に中間報告書を提出しました。この中では、燃費の性能を満たさなければならないというプレッシャーから検査不正が行われてきたと指摘したうえで、背景として、コンプライアンス違反の認識があっても言いだせない組織風土や、品質よりも納期や利益を優先してしまう意識があったとしています。会社では、グループ会社の不適切行為を受けて2年前にも一斉調査を行いましたが、不正を認識していた従業員がいたにもかかわらず、是正につなげられなかったとしています。そのうえで再発防止策として、計測データの改ざんができないようパソコンを改修したほか、事業部門の検査に直接関わらない品質保証本部の監査員がデータの妥当性を確認するなどとしています。この問題では外部の有識者からなる特別調査委員会が調査を続けていて、詳しい原因究明や再発防止策の検討を進めています。


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