
29日の香港市場は反発して始まるか。ハンセン指数は前日まで3日続落した後だけに、割安感がある優良株の買い直しが相場を押し上げそうだ。好業績銘柄を個別物色する動きも引き続き活発だろう。米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを決めるとの期待が強いなか、米長期金利の低下が投資家心理の支えとなりそうだ。
きょうはアリババ集団(09988)が2025年4-6月期決算を発表するほか、中国中信(00267)、BYDエレクトロニック(00285)、美的集団(00300)、中国神華能源(01088)、BYD(01211)、中国工商銀行(01398)、中銀香港(02388)、招商銀行(03968)、中国銀行(03988)が25年6月中間決算発表を予定している。
もっとも、ハンセン指数は心理的節目の25000ポイントを超えると伸び悩む場面が最近目立っており、買い一巡後は上値が重い展開があり得る。また、米国のインフレ指標として重視される7月の米個人消費支出(PCE)が香港時間きょう夜に発表され、31日には中国の国家統計局が8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)を発表する。内容を見極めたい投資が積極的な売買を手控える可能性がある。
28日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3日続伸し、4営業日ぶりに終値の最高値を更新した。S&P500とナスダック総合も3日続伸した。同日の香港株の米国預託証券(ADR)はネット株のテンセント(00700)、JDドットコム(09618)、アリババ集団(09988)、美団(03690)、自動車株の理想汽車(02015)、保険株のAIAグループ(01299)が香港終値を上回った半面、香港公益株のホンコン・チャイナガス(00003)と電能実業(00006)が下回って引けた。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
【11月相場見通し】決算発表シーズン一巡
(長期で魅力的なビジネス) 同社が展開する損保ビジネスは、海外での成長余地が膨大にあること、また成熟化している日本国内では高水準で安定した利益が生み出されていることから、「魅力的なビジネス」であると当ファンドでは考えております。同社が経営指標として重視する修正ROEは12.7%(2022年3月期実績。会計上のROEでみても10.9%)と、資本収益性も日本企業の平均を上回っています。 日本国内における損保産業は自動車保険、火災保険ともに広く普及している結果成熟化が進んでおり、高い成長性を求めるのは難しい環境にあると考えます。しかし同社は海外の保険会社買収により、平均して年率一桁半ばの利益成長率をこれまで実現しています。 この買収戦略を可能にしているのが、過去20年でメガ損保3グループを中心に進んだ国内業界再編による市場寡占化(=高い参入障壁)と、豊富な含み益を持つ政策保有株の存在です。寡占化によって国内市場で潤沢な利益が生み出されるようになったことに加え、以前は非効率な金融資産と見なされていた政策保有株も、今日では売却資金化によって戦略的活用が可能となりました。政策保有株は、世界的にも珍しい日本のメガ損保独自の競争優位性となっています。同社の政策保有株の規模は、今日現在でも時価2.4兆円程度に上ります。このうち、毎年の売却資金額は年1,000億円規模です。 生み出されたこれらの資金は、海外企業の買収だけでなく、継続的な自社株買いにも活用されます。会計上、政策保有株の未実現利益の変動は貸借対照表の純資産の部(その他有価証券評価差額金)に反映されますが、日本の株式市場が好調な場合、未実現利益の拡大によって当期純利益の増大を伴わずに純資産が膨れ上がることを意味します。同社は政策保有株の売却資金を自社株買いにまわすことで、分母である資本面からもROEを高めることが可能なポジションにあると考えます。 自社株買い・消却によるメリットは、一株当たり利益の引き上げにもつながります。同社の中期経営計画の主要な目標は「修正純利益CAGR(年平均成長率)+3~7%」ですが、継続的に自社株買い・消却を進めることで、「一株当たりの分け前」が増えることになります。過去の実績を鑑みると、今後も一株当たり利益の伸び率は、当期純利益全体の成長率よりも1.5~2.5%程度高くなることが予想されます。従って、持続性のある一株当たりの利益成長率見通しは保守的に見ても一桁半ばから後半とみなすことができると考えます。同社の自社株買いは2017年3月期以降、少ない時でも年500億円、多い時で年1,500億円実施しています。 このように同社は、会社の利益全体を引き上げる効果がある海外買収案件が見つかればM&Aに、なければ一株当たり利益を引き上げる効果がある自社株買いに資金を活用することで、最適な資本配分を行っているのです。当然、自社株買いも自社の株価水準が割安であるかどうかが実施の判断基準となります。 さらに同社は成長投資に資金を振り向けてもなお、潤沢なキャッシュフローが手元に残るため、配当性向の継続的な引上げも行っています(2017年3月期実績:配当性向36%、一株当たり配当金140円、2023年3月期計画:同50%弱程度、同300円)。現在の中期経営計画における2024年3月期の配当性向目標は50%です。2022年6月末時点の株価だと配当利回りは4%前後になるため、同社株を保有することによる期待リターンは下記の通り年率一桁後半から10%前後となると考えます。
当ファンドでは最近、東京海上ホールディングスへの新規投資を行いました。新規銘柄の組み入れは、昨年の日立製作所以来となります。 東京海上ホールディングスは、1879年に日本初の損害保険会社として創業しました。同社は国内のメガ損保グループ3社のなかでも最大手であり、保険引受事業の収益性を示すコンバインドレシオも安定して業界トップ水準にあります。 当ファンドでは、同社への投資によって株主が得られるリターンとして年率一桁後半から10%前後が長期間にわたって期待できると考え、投資を行いました。この「年率一桁後半から10%前後」の期待リターンは、当ファンドで組み入れている高成長銘柄群の期待リターンと遜色ない水準ですが、両者のリターンの源泉には大きな違いがあると考えています。高成長銘柄群の株価押し上げ要因は、年率一桁後半から10%前後が見込まれるビジネスそのものの利益成長率に主に依存しています。例えば、毎年事業利益が10%成長すると株価が10%上昇する、といった具合です。そして配当利回りは相対的に低く、自社株買い・消却による一株当たり利益の押し上げ要因は小さいのが特徴です。 一方、東京海上ホールディングスは、ビジネス全体の利益成長率見通しこそ年率一桁前半から半ばとやや低めですが、相対的に配当利回りが高く、継続的な自社株買い・消却による一株当たり利益の押し上げ要因が大きいのが特徴です。後述するように、これら3つの要因(利益成長率、自社株買い、配当利回り)を合計すると「一桁後半から10%前後」が年率期待リターンとなります。PER(株価収益率)などでみた株価指標も現在の日本の株式市場平均に比べ安く、バリュエーションの切り下がりリスクも小さいと判断しています*1。*1 会計上の当期純利益をベースとしたPERでみても13倍程度、同社が経営指標としている修正純利益*2をベースとするとPER10倍程度と割安にとどまります。*2 修正純利益とは当期純利益に、保険ビジネス特有の異常危険準備金、危険準備金、価格変動準備金などの年度繰入額を足し戻したうえ、企業買収に伴って発生する無形固定資産の定期償却額やその他評価性引当金を足し戻すことで計算されるキャッシュフロー利益に近い概念です。損保各社が使っている同利益指標は、より適正な資本効率(修正ROE)を示したり、配当原資を計算する根拠になっています。
【11月相場見通し】決算発表シーズン一巡。業績進捗度の高い銘柄に注目!
コアウィーブ、サークルインターネットなどの株価が大幅に上昇して、米国のIPO市場に対する関心が高まっています。年初来のIPO銘柄の動向を振り返り、今後の見通しについても考えてみます。
先週は景気見通しの改善による相場へのプラスと金利上昇による相場へのマイナスが相殺して、週を通じてはもみ合いとなりました。今週の株価材料として、FOMC議事要旨、大手小売の決算発表、米10-12月期実質GDPの改定値、などが注目されます。 ...
このように、当ファンドで大きく組み入れている銘柄は、少数派意見でありながらも自分たちの見通し通りになれば大幅な株価上昇が期待できる一方、予想が当たらなくても大きな株価下落にはならないであろうという考えに基づいています。 株式市場に参加する際には、「正しい少数意見」をもって投資に望むことが重要です。多数派の意見は、すでに株価に織り込まれたものであり、そこで大きな利益を得るのは難しいことを理解しなくてはなりません。真に大きなリターンは、投資した段階で少数派であった自分たちの意見が、時間を経て多数派意見になる過程で初めて生み出されるものです。つまり、株式市場がまだ注目していないような有望企業を発掘したり、市場参加者が懐疑的なうちに未来を信じて大きく投資を行ったりすることです。それらが将来、誰もが認める優良企業に変貌していくことで、株価上昇を通じて当ファンドの意見が「正しい」と証明されるのです。すなわち、投資で真に成功したいのであれば、人と違うことをしなくてはなりません。これが差別化ポートフォリオにつながります。
リクルートホールディングス 2023年3月期第1四半期決算では、売上収益は前年同期比26.8%増、調整後EBITDAは同15.9%増と当四半期は好調な決算が続きました。しかし、経営陣は主力のオンライン求人広告事業(HRテクノロジー部門)について、金利上昇に伴う景気減速感の台頭で7月以降に売上伸び率にも減速の兆しがでてきていることを認めており、通期の見通しは慎重に見たほうが良さそうです。とはいえ、同分野における同社の市場シェア・競争力ともに圧倒的と言われており(同社の2022年3月期決算説明会によると2021年の人材マッチング市場は前年比64%成長に対し、同社の売上増加率は100%以上)、労働市場環境が正常化すれば力強い成長力が戻ってくる可能性は高いと思われます。また国内で販促メディアを手掛けるマッチング&ソリューション部門では、コロナ終息後の経済再開に伴い成長軌道への回帰が見込めます。加えて、近年は顧客企業(飲食店、ヘアサロン、小売店など主に零細のパパママストア)の業務効率化を支援するためのSaaS(Software as a Service、ソフトウェアをインターネット経由で利用できるサービス)ベースのソリューション「Airビジネスツールズ」に注力しており、今後の牽引役になることも期待されます。同社の利益水準は過去5年でほぼ倍になっているうえ、同期間の平均ROEは18.8%と日本の上場大企業のなかでは屈指の水準です。
4/23(水)午前の東京株式市場では、日経平均が3営業日ぶりに反発し、一時4/3(木)以来の35,000円を回復しました。ベッセント米財務長官が米中貿易摩擦に楽観的な見通しを述べたことを好感し、米国株が上昇した流れを引き継ぎました。
2024年9月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.53%の下落、日経平均株価は同1.88%の下落となりました。 月前半は米国のISM製造業景況感指数や雇用統計が予想を下回ったことで、米国経済の減速懸念が高まり市場心理に影響を与えました。さらに米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げ期待と日銀の利上げ期待の高まりにより、月半ばにかけて円高が進行しました。このような状況の中、株式市場は一時的に下落した後、反発が見られたものの上値は重く、投資家は慎重な姿勢を維持しました。 月後半はFOMCが0.5%の利下げを決定した後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が緩和を急がない姿勢を示したことや、日銀が金融政策を現状維持したことから円高が一服し、輸出関連株や半導体関連株の買い戻しが進みました。また、自民党総裁選挙で高市早苗氏が当選し、金融緩和が再開されるとの見通しが高まったことで日経平均株価は26日から27日にかけて大きく上昇しました。しかし、最終的には石破茂氏が勝利し、経済政策への警戒感が高まったことなどから30日の日本株式市場は全面安の展開となり、前月末比で下落して当月の取引を終えました。
2024年10月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.88%の上昇、日経平均株価は同3.06%の上昇となりました。 月前半は、全米企業エコノミスト協会の年次総会に登壇したパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が今後の利下げについて「急ぐ必要はない」と強調したことや、米国雇用統計が市場予想を大幅に上回ったこと等から利下げ観測が後退したこと、石破茂首相から日銀の早期の追加利上げに否定的な見解が示されたこと等からドル高円安が進行しました。また、中東情勢の悪化により株価が一時的に下落する局面もありましたが、前述のように円安の進行や米国経済の底堅さ、石破政権が岸田前政権の経済政策を継承するとの方針が確認されたこと等から株式市場は上昇いたしました。 月半ばから後半にかけては、オランダの半導体製造装置大手ASML Holding社の決算発表で2025年12月期の業績見通しが引き下げられたことで半導体関連株に売りが広がったことや、日米長期金利の上昇基調の継続が意識されたこと、27日投開票の衆議院選挙で与党自民・公明両党が過半数議席の確保が微妙な状況と報じられたこと等から株式市場は軟調な推移となりました。 衆議院選挙では連立与党が2009年以来15年ぶりに過半数を割り込む結果となり、今後の政権の枠組みは少数与党が政策や法案ごとに野党に協力を求める「パーシャル(部分)連合」になるのではないかという見方が強まりました。財政拡張的な政策を掲げる野党との協力により景気刺激的な政策が実行される可能性が意識されたことや、リスクイベント通過に伴う先物の買戻し等から株式市場は衆議院選挙を境に一転し、前月末比で上昇して当月の取引を終えました。
当月は当ファンドで保有している日用品3社(ロート製薬、花王、ユニ・チャーム)の近況についてご説明します。これら3社は当ファンドで2008年頃から投資を行っています。消費財・日用品企業の特徴は、本来景気に左右されにくい安定したビジネスである点です。当ファンドが着目している市販目薬、スキンケア化粧品、紙おむつ、その他家庭用品などは比較的安価な商品であるうえ、生活必需品に近いため、不景気時においてもそれほど需要は落ち込まないと考えられます。とりわけ日本発の高品質、高付加価値を武器に、各社ともグローバル市場で着実に成長を続けられることが期待されます。 ロート製薬は創業時の胃腸薬販売から始まり、20世紀初頭に市販目薬事業、1990年代から2000年代にかけてスキンケア事業を加えてきました。目薬、スキンケア商品はいずれも今日の稼ぎ頭です。2023年3月期第1四半期決算は、連結売上が前年同期比23.5%増、営業利益が同37.8%増と大変好調でした。全体売上の約6割を占める日本では、コロナ禍のリモートワークで需要が高まっている高額目薬や、行動制限の緩和に伴って外出機会が増加したことから日焼け止めや、スキンケアシリーズの「メラノCC」などが大幅に伸びました。海外も大変好調です。全体売上の約4分の1を占めるアジアではコロナ禍が収束に向かうベトナムでV字回復となり、インドネシアも好調です。また売上規模は小さいですが米国とヨーロッパも増収増益となっておりポジティブです。 同社の魅力は市販目薬(アイケア部門)や化粧品(スキンケア部門)のアジアにおけるニッチなブランド力です。インドネシア、ベトナム、カンボジアなどの国々では今後、全人口に占める生産年齢人口の割合が高まっていく、所謂「人口ボーナス」期への移行が予想されます。現段階から同社ブランドの消費者認知度を高めるため先行投資を行うことは、長期的にみて正しい戦略であると当ファンドでは考えます。もう一点将来楽しみなのは、10年ほど前から国内で取り組み始めた再生医療事業と、近年開始した眼科用医療用医薬品事業です。再生医療について同社が進めているのは、脂肪由来の幹細胞を利用した再生医療用製剤で、肝硬変、新型コロナ肺炎、肺線維症、重症心不全などの適応症向けに治験が進められています。独自開発した自動培養システムを使って、再生医療用細胞を受託製造するビジネスも本格展開する予定です。 このような新規分野への進出について、当ファンドでは1)同社が100年を越える歴史のなかで、これまでも事業ポートフォリオを多角化させる事に成功している点、2)現会長が創業家出身の四代目であり、長期的な視点で新規ビジネスの育成を進めていること(なお現社長は武田コンシューマーヘルスケア出身の杉本氏が2019年に就任)、そして3)再生医療には、目薬とスキンケア事業で培った「細胞を扱う技術」と「無菌製剤技術」の応用が可能(一見関連性の低いと思われる再生医療事業への進出理由はここにあると考えられます)なことから、引き続き今後の展開を興味深く見守っていく方針です。 最後に、企業買収面では2020年に㈱日本点眼薬研究所(現ロートニッテン㈱)を、2021年には痔の薬「ボラギノール®」で有名な天藤製薬㈱を買収しており、商品ポートフォリオの拡充も進めています。 花王は、2018年10月に株価のピークをつけて以降、業績の悪化が続き株価が調整しました。当ファンドでは数年前より同社の日用品ブランドのアジア(特に中国)における強みに陰りがでてきたことを理由に一旦保有比率を下げてきましたが、その後もコロナ禍による訪日客の減少や、国内でも洗剤等日用品分野での競合激化や原材料価格の上昇など、逆風が続いています。2022年12月期第2四半期決算は、連結売上が前年同期比8.7%増、営業利益が同23.9%減と苦戦したため、会社側は今期通期営業利益見通しを期初時点に比べて若干の下方修正をしています。同社が短期的に業績回復を遂げるかは不透明です。しかし、社内における意識改革は進んでおり、社員が危機感をもって現在収益性の改善に取り組んでいると考えます。とりわけ改革が先行していた化粧品事業においてはかつて49あったブランドを19にまで絞り込み、広告宣伝費のメリハリをつけることで少しずつヒット商品も登場するようになっています。現在は他の日用品分野においても集中と選択をすすめています。原材料価格の高騰を受けて値上げも実施し、またコスト合理化策も実施することで目下、連結業績の底入れを目指しています。同社は当期純利益がピークをつけた2018年度まで過去20年の一株当たり増益率が年率11%、平均ROE13%、そして今期を含めて33期連続の増配記録を更新中の優良かつ実績のある企業です。同社の2030年までの長期ビジョンでは売上高2.5兆円、営業利益率17%、ROE20%を超える水準を目標としています。 一方、ユニ・チャームは、2019年12月期に中国における乳幼児用おむつ事業の減損損失計上に踏み切って以降、生理用品と大人用紙おむつ事業への収益構造シフトを鮮明にしています。このため、アジア中東(中国、タイ、インドネシア、ベトナム、インド、サウジアラビア)では生理用品が、日本では生理用品および大人用紙おむつが収益の柱となっています。とりわけアジアの生理用品市場における同社の市場シェアは平均3-4割と首位にあります。北米では近年ペットケア事業が成長しているのが注目です。長期的にはアジアの人口高齢化で大人用紙おむつの成長、中国などにおいてはペット人口が増えることでペットケア事業などが成長ドライバとして上乗せされることが期待されます。同社は海外売上比率が6割を超えており、2007年当時の3割から大幅に拡大しました。同社の経営指標のひとつであるコア営業利益率も安定して10%台前半を維持しており、上述2社に比べて収益性が高いのが特徴です。2022年12月期第2四半期決算は、連結売上が前年同期比11.8%増、コア営業利益が同10.3%減と売上は堅調だったものの、原材料コストや物流費の上昇により花王同様に減益を余儀なくされました。下期以降は値上げや、生産性改善などで吸収し、通期業績で3%増益を達成する意気込みです。 最後に、事業が一部重複しているロート製薬、花王、ユニ・チャームの3社について、長期的には当ファンドはそれぞれの企業に対して異なる投資魅力があると考えております。ロート製薬は規模が他の2社に比べて小さく、小回りのきく経営が可能です。ニッチな分野で新商品を発売することで業績を伸ばすことが比較的容易であると考えられます。また現時点で評価は難しいですが、再生医療事業も楽しみな分野です。原料コスト面も石油化学品を使用する割合が低いことから、相対的に影響が少ないのが特徴です。 花王に期待されるのは、同社が持つ幅広い日用品ラインアップのアジア全地域での展開が本格化していくことです。足元の業績こそ低迷していますが、同社の製品群は家庭用清掃品、衣料用洗剤、化粧品など多岐にわたっており、得意とする高付加価値を武器に長期的にはアジアでシェアを伸ばしていくことを期待しています。 一方、ユニ・チャームは大人用オムツ、生理用品、ペット用トイレシートなど吸収体をベースとしたパーソナルケア製品に強みを持っています。専業プレーヤーとして花王に比べ世界展開が進んでおり、東南アジアだけでなく、インドや中東、北中南米などにも広がりをみせているのが特徴です。 3社とも数十年にわたり有能な経営陣によって経営されていると当ファンドでは考えます。過去10年、20年間における各社の一株当たり利益成長率は、それぞれロート製薬が年率10.2%と11.4%、花王が同10.2%と4.4%、ユニ・チャームは同7.4%と10.8%です。長期の安定した売上成長に加え、花王の場合は継続的な自社株買いが成長の下支えとなっています。さらに直近期におけるROE(株主資本利益率)はロート製薬が12.6%、花王が11.6%、ユニ・チャームが13.8%と日本企業平均を上回る水準です。 一方、経営体制は3社で異なります。ロート製薬では再生医療事業のような新規分野を創業家出身の山田会長が手掛け、既存事業一般を外部採用した杉本社長が担当しています。花王は二代目社長までは創業家出身でしたが、それ以降は国内の一般大企業と同様に生え抜き社員から選ばれた社長(現在は長谷部佳宏社長)が経営にあたっており、ユニ・チャームは創業者の息子にあたる高原豪久社長が今日率いています。統計上はオーナー系企業が長期的に株主価値を生み出す力が強く、ひいては株価パフォーマンスもサラリーマン社長が経営する会社を上回る傾向があると考えます。一方、そのようなカリスマ社長の場合は後継者問題が常につきまとうものです。当ファンドでは、異なる経営体制の企業をバランスよく保有することで、リスクの分散を図っています。
【日経平均5万円への道】日本株の今後の見通しについて藤野氏が解説!
花王 2022年12月期の第2四半期累計(1~6月)の売上高は前年同期比8.7%増となりましたが、営業利益は同23.9%減と苦戦しています。2018年10月に株価がピークをつけて以降、同社は業績の低迷が続いています。2018年ごろより日用品ブランドのアジア(特に中国)における強みに陰りがでてきただけでなく、その後も国内で新型コロナウイルス感染拡大による訪日客の減少、いくつかの製品分野での競争激化や原材料価格の上昇など逆風が続いています。現在は、既存製品の高付加価値化やマーケティング手法の改善、原材料コスト高騰に対応した製品値上げ、コスト構造改革などで成長軌道への回帰を模索している段階にあります。同社が短期的に業績回復を遂げるかは不透明ですが、当上期の決算内容を見る限り、国内において衣料用洗剤や生理用品などにおいてわずかながら市場シェア拡大の兆しが見えています。またアジアではインドネシアが比較的好調を維持しています。同社は2018年度のピークまで過去20年の一株当たり増益率が年率10.8%、平均ROE13.2%、そして今期を含めて33期連続の増配記録を更新する見通しの優良かつ実績のある企業です。同社の2030年までの長期ビジョンでは売上高2.5兆円、営業利益率17%、ROE20%を超える水準を目標としています。
2025年5月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)が前月末比5.10%の上昇、日経平均株価も同5.33%の上昇となりました。当月の日本株式市場は、月前半に大幅上昇した後、月半ばに調整を挟みつつも月後半にかけて持ち直し、レンジ内での回復基調を維持したまま当月を終えました。 月前半は、前月末から続く米国の関税交渉進展への期待が支援材料となったことや、日銀が展望リポートで実質GDP成長率と物価上昇率の見通しを下方修正し追加利上げに慎重な姿勢を示したことや進行した円安も相まって、株式市場は堅調に推移しました。こうした中、米英貿易協定の合意や米中双方による市場の想定以上の関税率の引き下げを受け、指数は大幅に上昇しました。月半ばには好材料が一巡したことに加え、円高・ドル安の進行や、米国債格下げをきっかけに米国の財政悪化懸念が高まったことも相場の重荷となりました。月後半にかけては、米国による対EU追加関税の延期や、日本国内での超長期国債発行計画の見直し観測による円安の進行等により主力株を中心に買いが入り、日本株式市場は再び上昇に転じました。さらに、28日に米国際貿易裁判所がトランプ政権の関税政策を違法と判断し関税の差し止めを命じたことを受けて円安が加速し、株式市場も大幅高となりました。しかしその後、米連邦巡回区控訴裁判所が関税差し止めの執行を一時的に停止する判断を下したことでドル円相場とともに株式市場は反落しました。 結果として、米国の関税政策をめぐる不透明感に振り回されながらも、日本株式市場は前月末比で上昇して取引を終えました。
【日経平均5万円への道】日本株の今後の見通しについてたけぞう氏が解説!


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