
本日のロンドン為替市場でポンド相場は、昨日急速に高まった英財政悪化に対する懸念の度合いを探りながら上下することになりそうだ。英国からは、ブリーデン英中銀(BOE)副総裁の講演や改定値だが8月英サービス部門購買担当者景気指数(PMI)の発表が予定されている。
昨日同様にポンド主導の動きとなれば、ユーロドルはポンドドルとユーロポンドに挟まれて動きづらいかもしれない。ただ、欧州序盤に予定されているラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁の講演には要注目か。経済指標は、仏・独・ユーロ圏の8月サービス部門PMI改定値や7月ユーロ圏卸売物価指数(PPI)が発表予定。
昨日は英財務省が10年国債を発行し、過去最高となる140億ポンドを調達することが報じられた。調達価格が魅力的だとし、この新発10年債には10倍以上の応札があったもよう。しかしながら債務拡大への警戒感は高まり、超長期債は売りが優勢に(利回りは上昇)。英30年債利回りは一時5.72%と、1998年以来の水準まで上昇した。
英国の秋季予算案をリーブス財務相が明らかにするのは、確定ではないが10月29日の見込み(一部では翌週とする見方もある)。2カ月近くも先であり、それまでは英財政改革に対する信頼感よりも不安感のほうが広まりやすそうだ。市場を落ち着かせようとスターマー首相やリーブス財務相が何かしら発言する可能性もあり、本日はその辺りも注意してみておきたい。
講演が予定されているブリーデンBOE副総裁も、昨日の超長期債利回りの上昇について述べるかもしれない。英金融政策委員会(MPC)における投票行動を見る限り、ブリーデン副総裁はベイリーBOE総裁と同じ金融政策スタンスだ。市場は、BOEが年末まで政策金利を据え置くと見始めている。年内3会合に向けたヒントも、ブリーデン氏の講演で探すことになる。
想定レンジ上限
・ポンドドル、21日移動平均線1.3477ドル
・ユーロポンド、8月7日高値0.8744ポンド
・ユーロドル、2日高値1.1718ドル
想定レンジ下限
・ポンドドル、8月4日安値1.3254ドル
・ユーロポンド、21移動平均線0.8652ポンド
・ユーロドル、日足一目均衡表・基準線1.1568ドル
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
しかしこの見通しについては楽観的すぎるとの批判がある
9月末の「協調のとれた行動」で政府は労使双方に対して,75年の勤労者所得の伸び率を9.5%に抑えられるならばという前提の上で,75年の実質成長率3%という見通を示したが,その後の景気悪化から11月に見通しを修正して実質成長率2.5%とした。11月の修正数字によると,消費者物価の上昇率6.5%(74年見込みは約7.5%),失業率2.5%(74年見込みは約2.5%)となっており,さらに勤労所得の増加率9.0%,企業所得の増加は9.5%と予想されている。
NIESR(全英経済社会研究所)によると,実質国内総生産は74年の0.3%減のあと,75年上期にはほぼ横ばい,下期は前期比年率0.8%増,年間では1.6%増となっている。政府見通しと異なって,個人消費が実質可処分所得の減少(75年2%減)により若干減少するとみていること,また,個人住宅投資が10~15%の大幅減となることが主因とされる。
しかし半面では,主要国の景気沈滞による輸出の頭打ちが予想されるし,74年中節約ムードを高めてきた消費者の購買態度いかんによっては減税の刺激効果も薄れてくる。企業の設備投資にしても,コスト増による利潤減や景気見通しの悪化により既に冷えており,投資補助金の交付だけで直ちに企業投資が増加するかどうか,若干の疑念もあろう。
このNIESRの見通しは,産油国からの資金還流が公的機関を通してスムーズに行われ,先進国がこれ以上引締め措置や貿易制限をとる必要がなく,世界経済が大きな景気後退に見舞われない.ことを前提としている,また,ポンドの実効レートについて,はじめて計数的な予測値が示された(74年第3四半期から75年末までに4%低下)。
企業の設備投資意欲は,73年春の一連の投資抑制策で急激に頭打ちとなり,同年末の投資抑制措置の解除などで一時回復のきざしをみせたものの,金融引締めの堅持とコスト増による資金難,景気見通しの悪化などから再び低落した。これを国民所得統計による設備投資(固定投資から建設投資を除いたもの)の動きでみると,72年に実質0.1%減のあと,73年上期に前年同期比3.5%増と一時的に回復したが,同年下期には前年同期比0.5%増にとどまり,さらに74年上期には前年同期比9%減となった。また先行指標である資本財国内受注は,73年第1四半期のピークから第4四半期まで実質13.6%減少したあと,74年第1四半期には前期比6.3%増と回復したが,その後再び減少をつづけ,第3四半期の水準は第1四半期比12.9%減,73年第1四半期のピーク比で20.7%もの減少となった(74年1-9月間では前年同期比6.3%減)。また産業用建物の許可面積も,73年第1四半期のピークから74年第3四半期までの間に35%もの減少をみている。また投資予測調査でみても(IFO研究所調査),製造業の投資は73年に実質4.0%減のあと,74年も実質5.4%減とされ,さらに75年の予測も役1%減となっている。このほか同じ投資調査によれば,建設業の投資は74年に40%減,小売業15%減,卸売業7%減(いずれも名目)となっている。
また,「土地金庫出資」のため300億ウォンを韓国銀行から借入ることになっており,支出面でも国防費が約28%占めていることなどから,野党はさらに高インフレを招くとして強く反発している。その他,政府見通しでは75年は8%経済成長率(実質)と輸出65億ドルを目標としている。
72年後半から73年にかけての世界的な景気の高まりからフランスでも生産面で設備,労働力,原料供給などにボトルネックを生ずるようになった。経営者のアンケート調査をみてもこの傾向は顕著で特に設備関係のボトルネック感は労働力,原料供給のそれを上回るとされた(第5-2図)。これを財別にみると(第5-3図)消費財生産でのボトルネック感は73年初から半ばにピークに達したあと簿れてきている。これは石油危機の自動車産業への影響が大きいことから説明されよう。一方中間財,設備財は74年にかけてもひっ迫感は強いが設備財が鉄鋼など好況業種を抱え74年春頃にも不足を訴えていたのに対し中間財はやや弱含みに推移している。しかし一方で引締め政策が強化され,高金利,信用規制から企業の財務状態もひっ迫していくにつれ(第5-2図)景気先行き見通し難も加わり設備投資意欲は最近に至り徐々に鎮静化へ向かっている模様で9月の経営者アンケート調査では「生産能力は長期にわたった飽和から最近は緩和に向かいつつある」と指摘している。政府見通しでも他の諸国より高いとはいえ74年は4.7%増と73年の6.6%を下回る予想となっている。
最後にイタリアの経済情勢の現状をふまえたうえで,OECDの見解に沿って今後の見通しについてふれてみよう。これまでみてきたように,金融・財政の引締め政策により,74年夏以降生産は急速に停滞傾向となり,需要も74年後半には実質減少しているとみられる。75年にも生産の停滞は続き,需要も横ばいで推移するとみられる。
予算編成に際し発表された75年の経済見通し(第5-1表)は実質経済成長率.2%,消費者物価上昇率8%,輸出入収支赤字額は120億フランと予想している。しかしこの見通しは75年中に石油価格が安定することを前提としているため,価格の動きいかんによっては目標が達成されないことも考えられ,景気動向ともからみ新らたな予算措置がとられる可能性もあるといえよう。,なおインフレ対策の項でも述べたように景気先行き不安から最近引締め政策の部分的手直しが行なわれているが,政府は必要に応じて75年初めにも企業の自己資金確保,機構改善のための低利貸付けなど弾力的措置をとる考えである。
また,74年12月発表のOECD経済見通しによれば,75年の実質成長率は3.5%,物価上昇率は11.5%となっている。
次に簡単に在庫の動きに触れておくと74年後半からの景気好転により縮小傾向をみせていた在庫水準は73年後半でほぼ底を打ち74年初にかけては増加傾向にあり半ば以降は経営者見通しでは受注水準と逆転し急増している。これを財別にみると(第5-4図)消費財部門での在庫は自動車の意図せざる在庫 (第5-5図)も含めいち早く増加に転じたが中間財部門などでは受注が好調であるところから在庫水準は比較的低い。今後は景気の鎮静化,欧米先進国の景気停滞からくる輸出需要の低下などから受注がおちてくると予想されるため製品在庫を中心に増加に向かうとみられる。
求職者数は景気回復下での減少もはかばかしく進まないうちに73年後半からは石油危機による景気見通し難からくる経営者の雇用手控えや女性労働者の市場進出から増加に向かった。そして,74年夏以降は季節的な新規学卒者の市場参入のほか自動車業界,繊維業界など不況業界からの失業増も相まち急増に転 じている。この増加ペースは他のEC主要国のうちでも西ドイツに次ぐものである(第5-9図)。また最近自動車業界では工場の一時閉鎖が拡がりレイオフも増大している。
カナダ経済は,実質成長率,71,72年とも5.8%,73年6.8%と順調に拡大してきたが,74年第2四半期からは,世界景気の後退の影響を受けて,鈍化に向いつつある。ターナー蔵相は,11月の予算演説において,74年の実質成長率を4-4,5%,75年は約4%との見通しを明らかにした。個人消費支出は,実質所得が安定的に増加しても,これまでのように景気を主導する力はなく,輸出,住宅建築にも多くを望み得ず,民間設備投資に最も期待がかけられている。
今後の見通しについて政府は1~10月累計で約170億フランに達している貿易収支赤字額を74年年間で220億フランに押え,75年年間ではその半分程度にとどめて75年末時点では収支均衡へ持って行きたいとしている。 しかしこの見通しについては楽観的すぎるとの批判がある。すなわちアメリカの景気回復がはかばかしくないところから世界景気の回復は予想よりも遅延する可能性が強く,輸出増進維持が困難とみられるほか,計算根拠である石油輸入コストが過少評価されている点も指摘されている。
石油危機以降の過去1年間,イギリス経済は,景気停滞のなかで,インフレと経常収支が一段と悪化するという大きな困難に悩まされ続けたが,この・三重苦からの脱出にはっきりした見通しがつかないまま新しい年を迎えようとしている。 政府の第2次補正予算案発表時の経済見通しは,工業品世界貿易量の小幅な上昇持続と国内生産の堅調化という前提に立って,実質国内総生産は74年の0.2%減に対して,75年上期には前期比年率2.6%増としている。輸出および政府投資の回復,個人消費と政府消費が増勢鈍化ながら上昇を持続することなどによるものであり,民間投資,在庫投資は低下,輸入も大幅な増加が予想されている。失業者の増加についても小幅にとどまり,100万人をかなり下回るとみている。 こうした政府見通しに対して,民間の予測はより厳しいものになっている。


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