最低賃金の引き上げだけでは経済成長につながらないという意見もある
令和7年度の最低賃金の全国加重平均は1,118円となる見込みで、引上げ額は過去最高の63円(対前年度引上げ率6.0%)となりました。これは昭和53年度に目安制度が始まって以来の最高額です。この目安どおりに改定されれば、現在900円台の31県を含め、すべての都道府県で最低賃金が1,000円を超えることになります。都道府県別の目安は、A・Bランクが63円、Cランクは地域間格差是正のため64円の引上げが提示されました。
手作業による管理では、計算ミスなどから最低賃金法違反の状態となったり、社会保険の加入条件を誤ったりするおそれもあります。このような事態を避けるためには、勤怠管理システムの活用がお勧めです。特に人件費概算機能を備えたシステムであれば、時給や日給などの単価を登録することで、人件費の概算が計算できます。勤務シフトの調整や労働時間の管理を効率的かつ正確に行う大きな助けとなるため、ぜひ導入を検討してください。
「地域別最低賃金」は都道府県ごとに定められており、産業・職種に関係なく、その都道府県で働くすべての労働者に適用される。中央最低賃金審議会から示される金額改定の目安をもとに、地方最低賃金審議会が地域の実情に即した改正の審議を行い、最終的に都道府県労働局長が賃金額を決定する。
最低賃金の適用について、ミスが起こりがちな例を紹介します。
日本も賃金は上昇しているが、直近5年間の上昇率を他国と比較すると、上昇幅が小さいことがわかる。なお、アメリカの最低賃金は、連邦政府と各州政府によって定められており、連邦最低賃金は全国一律で、各州はそれを下回ることはできないが、上回ることは可能というルールのもと、各州の最低賃金は地域の経済状況や労働市場の状況により異なる。【表1】を見ると2020年から2024年まで金額が一定になっているが、独立行政法人労働政策研究・研修機構の報告 によると、2024年1月には全米50州のうち、22州で最低賃金が引き上げられており、その金額もまた、最低賃金の7.25ドルを上回る金額で設定されている。
今回の最低賃金の引き上げの目安について、大和総研の神田慶司シニアエコノミストは、「物価の上昇率を明確に上回る水準になるので、パートタイマーなど最低賃金の引き上げの影響が及びやすい人たちの生活水準は確実に改善しやすくなると思う。ことしの春闘での賃上げ率は非常に高い水準だが、その流れを最低賃金の近傍で働く人にもつなげることで、個人消費にとってもプラスになるし、社会の安定にもつながると思う」と指摘します。一方で、「どんどん最低賃金だけを上げてしまうと経済実態を逸脱したような形になり、企業の負担が重くなってしまうこともありえる。そうなると、正社員の賃上げの抑制や雇用を調整するなどの悪影響も出る可能性があるので、そこはバランスを取って今後は見ていく必要がある」と話します。その上で、「特に今はアメリカの関税措置の影響で、日本の輸出が減少して日本の景気が悪化するリスクもあるので、そのあたりの影響と最低賃金を大幅に引き上げる影響をしっかり見て、必要によっては追加の政策対応も検討すべきだと思う」と述べました。また、政府が2020年代に最低賃金を1500円とする目標を掲げたことについて、「達成には年平均で7.3%の引き上げが必要だったわけだが、それに比べると抑えられた印象だ。『目標ありき』というわけではなく、企業の負担や経済状況などを見ながら調整した結果だと思う」と分析します。そして、「企業が高い賃金を払えるようにするには、収益を高めていく必要がある。企業は積極的に設備投資を行い事業を展開して、高い賃金を払えるような体質に変えていくための努力が求められる」と述べて、政府がすでに取り組む支援策を企業は十分に活用し、それでも難しいところには政府が支援を強化していく必要があると指摘しました。
令和7年度の最低賃金が過去最高の63円引き上げられ、全国平均は1,118円となる見込みです。これにより、すべての都道府県で時給1,000円を超える時代が到来します。本記事では、この大幅な引き上げが企業経営に与える「人件費の増加」や「人手不足の深刻化」といった課題を整理し、具体的な対応策を分かりやすく解説します。単なるコスト増で終わらせないための、今すぐ取り組める実践的なヒントが満載です。
目安は、労使の代表と公益代表の有識者で構成する中央審議会が毎年、都道府県を3ランクに分けて提示。東京など大都市部のAランクとBランクは63円、地方などのCランクは64円だった。地域間格差の是正を図るため、経済力の低いCランクの引き上げ額を、AランクやBランクより初めて高くした。今後、これを参考に都道府県ごとの最低賃金を地方審議会が決め、秋に改定する。
日本商工会議所の小林会頭はコメントを発表しました。この中ではまず、「物価や賃金の上昇が続く中、最低賃金の引き上げ自体には異論はないが、問題はその引き上げ幅とスピードである。地方・小規模事業者を含む企業の支払い能力を踏まえれば、極めて厳しい結果と言わざるを得ない」としています。その上で「地方最低賃金審議会においては、近年、隣県との過度な競争意識から、目安を大きく上回る引き上げ額が示されることが増えているが、地域や企業の実態を十分に踏まえ、発効日も含め、納得感ある審議決定がなされることを強く期待する」としています。そして「最低賃金引き上げの影響を受ける中小企業・小規模事業者は年々増加している」として、政府に対し、「企業が自発的かつ持続的に賃上げできる環境の整備に一層、力強く取り組まれたい」としています。
政府は、最低賃金について2025年には全都道府県で1,000円を超えることを目指すと宣言しており、今回も順当に引き上げられたといえるだろう。本コラムでは「最低賃金」について、そもそもの歴史や日本の現状、世界との比較を行い、今後の見通しについて述べていきたい。
最低賃金の引上げは、企業にとって大きな負担です。しかし、引上げを単なる負担増と捉えては、企業の更なる成長は望めません。労働時間の短縮や、柔軟な働き方の導入、多様な正社員制度の構築など、働き方改革実践の契機として捉え、企業の更なる成長の糧としてください。
「最低賃金」は、1959年に制定された「最低賃金法」によって定められた、雇用している者が労働者に支払うべき賃金の最低基準のことで、労働者の生活水準や勤労意欲を高めることを目的として、国内の各地域でその金額が設定されている。「最低賃金法」に従って、国が賃金の下限を示し、雇用している者はその規定額以上の賃金を支払わなくてはならず、この最低賃金には、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類が存在する。
47都道府県の最低賃金(時給)の2025年度改定額が4日、出そろった。共同通信の集計によると、8割に当たる39道府県が国の示した引き上げ額の目安を超えた。上乗せ額の最大は熊本の18円。大分が17円、秋田が16円で続いた。時給は、最高が東京の1226円で、最も低いのは高知、宮崎、沖縄の1023円。全都道府県で初めて千円を突破する。
最低賃金の引き上げだけでは経済成長につながらないという意見もある。労働者の能力向上や生産性の改善など、構造的な改革を同時に行わなければ、労働者にとってメリットにならないからだ。労働者、企業、政府の協力・調整が必要であり、経済成長と社会的公正を両立するバランスのとれた政策として実施しなければならないだろう。
2025年度の最低賃金改定で、都道府県ごとの引き上げ額が4日出そろい、初めて全都道府県で1000円を超えた。


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