
本日のロンドン為替市場のユーロドルは、11日の欧州中央銀行(ECB)理事会を控えて動きづらい展開が予想される中、フランスでの内閣信任投票に注目することになる。
ユーロ圏の8月の消費者物価指数(HICP)は前年比+2.1%だったが、本日講演が予定されているビルロワドガロー仏中銀総裁は、「インフレは十分に抑制されており、経済成長も予測通りの水準にある」との見解を示していた。
そして、「フランス経済が抱える最も深刻な問題、極めて過大な財政赤字と債務に対処することが、かつてないほど重要になっている」と指摘しており、本日の講演のテーマも、ブラックアウト期間のため、金融政策ではなく財政政策となることが予想される。
フランスでは予算案の成立が危ぶまれる中で、内閣不信任投票が実施される。バイル仏首相は野党各党と会談したものの、信任投票は否決される公算が高まっている。
否決された場合は、解散総選挙か内閣総辞職が選択肢となるが、マクロン仏大統領は最新の世論調査で支持率が過去最低の15%に落ち込んでいるため、総選挙実施を回避する意向と報じられている。
シュナーベルECB専務理事は、「フランスの政局混迷がユーロに幅広い影響があるとは考えていない」と述べているものの、信任投票の結果やその後のフランスの政治情勢には注目しておきたい。
また、ポンドドルも、11月26日に予定されているスターマー政権の予算案への懸念が上値を抑えており、先週末のレイナー英副首相辞任の影響を見極めることになる。
想定レンジ上限
・ユーロドル:1.1789ドル(7/24高値)
・ユーロ円:173.97(7/28 高値=年初来高値)
・ポンドドル:1.3595ドル(8/14高値)
・ポンド円:200.86円(ピポット・ターニングポイント)
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1644ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ユーロ円:172.39円(日足一目均衡表・転換線)
・ポンドドル:1.3425ドル(日足一目均衡表・基準線)
・ポンド円:198.68円(9/5安値)
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し ロンドン為替見通しユーロドル フランスの内閣信任投票に要警戒か
仏内閣が総辞職に追い込まれると、推し進めようとしていた財政再建策も見直しを迫られる可能性がある。政府・議会が機能不全となれば内政の混迷も深まり、マクロン大統領の求心力低下は避けられない。欧州連合(EU)加盟国では経済規模2位のフランスの混乱は、ユーロにとってネガティブ要因だ。
フランスでは2024年12月にも当時のミシェル・バルニエ内閣対して不信任案が提出され、政治の混乱に対する不安がユーロ安を招いた。この際は不信任成立後、野党の国民連合を率いるマリーヌ・ルペン氏が混乱収束への協力を示唆して政局が一旦は落ち着いたが、足元の混乱でも野党が助け舟を出すがどうかは不透明だ。ユーロ圏経済で2番目の規模を持つフランスの政治の機能不全が深まれば、ユーロ安の材料とみなされることも考えられる。



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