
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2025年9月8日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田卓也
目次
▼5日(金)の為替相場
(1):日本実質賃金 7カ月ぶりのプラス
(2):英小売売上高 予想上回る伸び
(3):米8月雇用統計 ドル円下落
(4):シカゴ連銀総裁 次回FOMCへの方向「まだ決めていない」
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:先週のレンジ内での取引続く/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
5日(金)の為替相場
期間:5日(金)午前6時10分~6日(土)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日本実質賃金 7カ月ぶりのプラス
日本7月毎月勤労統計で現金給与総額は前年比+4.1%となり、市場予想(+3.0%)を大幅に上回った。これにより、物価上昇の影響を除いた実質賃金は前年比+0.5%と、7カ月ぶりのプラスとなった。
(2):英小売売上高 予想上回る伸び
英7月小売売上高は前月比+0.6%と市場予想(+0.2%)を上回った。変動の大きい自動車燃料を除いた売上高も前月比+0.5%と予想を上回った。
(3):米8月雇用統計 ドル円下落
米8月雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比2.2万人増と市場予想(7.5万人増)を下回った。7月分は7.3万人増から7.9万人増へと小幅に上方修正されたが、6月分は1.4万人増から1.3万人減へと下方修正。非農業部門雇用者数が前月比で減少するのは2020年12月以来となった。また、8月失業率は4.3%となり、2021年10月以来3年10カ月ぶりの水準に上昇した。同労働参加率は62.3%(予想62.2%)、同平均時給は前年比+3.7%(予想+3.8%)だった。その後、トランプ米大統領は「とっくに利下げしておくべきだった。相変わらず『遅すぎる!』」とSNSでパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長を批判した。
(4):シカゴ連銀総裁 次回FOMCへの方向「まだ決めていない」
シカゴ連銀のグールズビー総裁は、今月16-17日の連邦公開市場委員会(FOMC)でどのような行動を支持するかを尋ねられると「もっと情報を得たい。私はまだ決めていない」「インフレ面も確認しなければならない」などと回答。また、足元の就業者数の動向は移民政策の影響を受けるため「景気循環の指標として解釈するには極めて慎重であるべきだ」と指摘し、雇用統計の結果を過大評価しない考えを示した。
5日(金)の株・債券・商品市場

ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)

【情報提供:外為どっとコム】
- ※ 「外為注文情報」とは、外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』でお取引をされているお客さまの指値やストップ注文の状況を確認できるツールのことを指します。
- ※また、高機能チャート(無料)では「取引分析」 を選択することで、チャート上に注文情報の表示が可能です。
- ※ 尚、この外為注文情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。
人気通貨ペア 本日の予想レンジ

ドル/円の見通し:先週のレンジ内での取引続く
5日のドル/円は米雇用統計の発表後に急落。米国の8月非農業部門雇用者数は前月比2.2万人増にとどまり、同失業率は約4年ぶりに4.3%へ上昇した。米労働市場の減速があらためて意識される中、ドル/円は一時146.82円前後まで下落。約0.7%ドル安・円高の147.39円前後で取引を終えた。なお、米金利先物は9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における25bp(0.25%ポイント)の利下げを完全に織り込み、50bp利下げの可能性も約1割織り込んだ。一方、国内では石破首相が7日に辞任の意向を表明。自民党総裁選、首相(首班)指名選挙へと続く今後の政局は不透明と言わざるを得ない。
こうした中で、本日は円売りが先行しており、ドル/円は148円台を回復している。ただ、大幅利下げ観測がくすぶるドルに対して大幅に円安が進むことも考えにくい。上値メドは、200日移動平均線が通る148.80円付近だろう。半面、146円台の下値の堅さを踏まえると147円台前半の下値は堅そうだ。結果的に、ドル/円は先週のレンジ(146.79~149.14円前後)内での取引が続くだろう。
注目の経済指標:中国貿易収支

注目のイベント:FRB高官発言
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
FX 為替 米国の利下げ観測と日本の政局不透明感が綱引きへ
トランプ米大統領は就任当日の関税発動を見送ったものの、メキシコ・カナダへ2月1日に25%の関税賦課を検討すると表明した。移民問題と国境警備を優先事項にすると伝えられており、ドル円は東京市場で154円台後半へ急落後、一時156円台前半へ急反騰する動きに。祝日明けの米国市場では居所を探る展開となろうが、ドルインデックスが108を超える高水準を維持し、先週来の米国債利回り低下に歯止めが掛かれば足元のドル安は一巡するとみている。他方、23、24日開催の日銀金融政策決定会合を受けて円が一段高となれば、ドル円は昨年12月以降の上昇幅に対する半値戻しとなる153円台後半が次の下値メドとして意識されよう。
現地1月29日に米国のFOMC(米連邦公開市場委員会、日本の金融政策決定会合に該当)が開催され、政策金利は市場予想通り据え置きとなりました。
ドル円は3日のアジア市場では147円台前半まで下落し3週間ぶりの安値を付けている。中国や欧州が報復措置を講じるなど強硬姿勢に及べば、市場のリスクセンチメントはさらに悪化。米国のインフレ再燃と景気減速への懸念も根強く、ドル円は早晩3月安値146円台半ばを視野に入れる展開も想定される。ただ、円高と日本株安が続けば、日銀は追加利上げに慎重姿勢を強め、市場の円高期待は弱まるかもしれない。シカゴ投機筋による円の買い持ち高は高水準を維持しているが、ドルの買い持ち高の急減はユーロやポンドの買い持ち高増加も一因。3、4日に公表される米指標は低調となる見込みのため、ドル安が対欧州通貨でも継続するか注視へ。
複数の米連邦公開市場委員会(FOMC)参加者は0.25%の利下げが好ましいと考えていたことが明らかとなったが、米連邦準備理事会(FRB)の大幅利下げ観測は後退しており、FOMC議事要旨によるドル相場への影響は限定された。FF金利先物市場では11月6、7日のFOMCでは政策金利が据え置かれるとの見方も少数ながら出始めた。ドル円は8月に付けた高値149円台前半まで上値を伸ばした一方、主要通貨に対するドルの強弱を示すドルインデックスの騰勢がやや弱まるなかで、今晩米国で公表される9月消費者物価指数と週間新規失業保険申請件数を受けて、節目の150円に近づくか注目される。
21日までの米週間新規失業保険申請件数は1カ月ぶりの低水準に減少した一方、継続受給件数が2021年11月以来の高水準となり失業長期化が示唆された。ただ、米国の利下げペース鈍化や利下げ停止への思惑は根強い。今朝公表された日銀金融政策決定会合(18、19日開催分)の主な意見では、春季労使交渉に向けた賃金動向や米新政権発足を確認していくとの認識が示された。現状では物価のアップサイドリスクについて利上げの切迫した理由にはなっていないと指摘しており、市場の追加利上げ先送り観測を修正するには至らないだろう。ドル円は日米金利差を意識したドル高・円安の流れが続き底堅く推移するとみている。
ドル円は、ドル安主導で昨年9月16日安値139円58銭を視野に入れる一方、ユーロなどドル以外の主要通貨に対して円は小動きにとどまっている。だが、トランプ米大統領は「非関税障壁」の一つに為替操作を挙げており、24日に予定されている日米財務相会合で円安是正が求められれば円高意欲は強まりやすく、ドル全面安から円全面高の展開に移る可能性も否めない。ドル円が一段と下げを強めれば、テクニカルには2020年3月から2024年7月までの上昇幅(101円17銭→161円99銭)に対する38.2%押し138円76銭が次のメドになるとみている。


コメント