
「ドル/円」をデイトレードする上でFX個人投資家が事前にインプットしておきたいトレードシナリオなどを、ギュッとまとめました。
執筆:外為どっとコム総合研究所 宇栄原 宗平
X(Twitter) : https://twitter.com/gaitamesk_ueha
最新のマーケット情報まとめ
<現在の相場状況>
・ドル円は昨日乱高下したが、レンジ相場は継続
・146円前半で押し目買い、148円後半で戻り売りが優勢という動きが続いている
・来週のFOMCと日銀会合までレンジが続く可能性
<日銀関連報道(前日)>
・日銀が年内利上げを排除しない姿勢との関係者報道により円買い
・ただし、利上げは10月以降との内容だったため市場の反応は行き過ぎだった可能性
・今後、日本の政局不透明感もあり年内利上げがあるかはまだ分からない
・来週の日銀会合での植田総裁の記者会見も注目ポイント
<アメリカ雇用統計・年次改定の影響>
・結果:91.1万人の下方修正(市場予想を大幅に下回る)
・一時ドル売りに反応したが、予想範囲内として買い戻された
・Fed Watchでは9月0.5%利下げ確率がやや後退
・年内3回利下げ観測もやや後退
<インフレ統計への警戒>
・米企業による関税コストの価格転嫁が示唆されている
・今日のPPI、明日のCPIが伸び加速もしくは高止まりを示すと急速な利下げはしづらい
<結論>
ドル円は当面146~148円のレンジ相場が継続する見込み。日銀の年内利上げ観測やアメリカのインフレ動向、日本の政局などが相場の方向性を決める重要な要因となる。新たな材料が出ない限り、方向感の出にくい展開が続く可能性が高い。
お知らせ
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『最新のドル/円相場を解説』
経済指標・イベントの結果について
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お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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これが円買いを誘発し ドル円は148円を割り込む水準まで下落した
石破自民党総裁の辞意表明は2つの点から短期的には円安要因とみています。①総裁選は10月下旬との観測が報道されるなかで、少なくとも日銀による、今年10月など早期の利上げは困難とみられること、②ポスト石破で有力視される顔ぶれの中には、日銀の利上げに明確に反対を表明している議員も存在すること、などです。一方で、8月の米雇用統計は弱い結果となり、今週発表予定の8月の米CPIも、家賃の伸びの減速などにより、9月の米利下げ観測をかき消すほどのインフレの加速はみられないでしょう。したがって、円安要因、ドル安要因が複雑に絡み合い、今週のドル円は変動が激しいなかでも、トレンドは出にくいと予想しています。
市場参加者が最も注目したのは、パウエル議長が「政策が景気抑制的な領域にある現状では、基本見通しとリスクバランスの変化が、政策スタンスの調整を正当化しうる」と、今後の利下げを示唆した部分でした。個人的には、この程度の示唆であれば予想の範囲内ですし、むしろ市場の反応が大きかったことに驚きました。おそらく、前日発表された8月のPMIが強かったことや、FRB高官のタカ派的な発言によって、9月の利下げに対する市場の織り込みが7割程度まで低下していたため、修正が起きたのだと思います。日本時間24日に植田日銀総裁も登壇されるとのことですから、内容次第では週明けの日本の金利やドル円相場にも影響がありそうです。
何でも関税で解決しようとするのが自称「タリフ・マン」であるトランプ大統領のやり方です。「トランプ政権が円安を問題視している」、との解釈から、ドル円ではいったん円高が進行しました。しかし、日本が22年以降行っている介入は円買い介入で、日銀も足下利上げ方向であることから、日本は円安誘導しておらず、為替については米国と政策の方向性は一致しています。加えて、仮にこれを理由にトランプ政権が関税を引き上げれば、米国の輸入インフレに繋がり、米金利先高観からむしろドル高に振れる可能性も出てきます。これまでトランプ大統領の発言に一貫性はないため、市場参加者もあまり一言一言に一喜一憂しないようが良さそうです。
ドル円は先週150円台まで下落したかと思いきや、あっという間に155円台を回復し、200日移動平均線を挟んで往ったり来たりしています。パウエル議長が昨日「当面は景気抑制的な政策を維持したい」と述べたように、利下げを急がない姿勢を示しておりFRBはどちらかといえばタカ派。一方、日銀は様々な情報発信で比較的淡々と利上げする姿勢を示しておりタカ派。従ってドルと円の力関係が綱引きとなりやすい環境です。トランプ政権の関税政策も全体像は見え難く不透明ななかで、ドル円は昨年のような一方向のトレンドは出にくく、しばらくニュースが出る都度上下するような、方向感に欠ける相場が続きそうです。
米関税引き上げがドル円相場に与える影響は、必ずしも一方向ではないように思います。基本的には、米国の財政収支改善、インフレリスクの高まりによる米金利上昇などは、ドル高方向の影響になるとみています。また米国が輸入インフレの上昇を抑えようとすれば、政策金利を高めに維持しつつ、政策的にドル高方向に誘導する必要も出てくるかもしれません。ただし、今後これら貿易相手との報復関税の応酬が始まり、米経済へのマイナスの影響が懸念されるようになれば、米株価の下落に繋がり、ドル円も一時的かもしれませんが「リスクオフの円高」となる可能性もあるため、注意が必要です。
為替はいったん円安に反応していますが、この後も円安・ドル高が続くとは限らないと思います。確かに、25%の関税率が実施されれば日銀は利上げどころではなくなってしまうので、円安の側面はあるものの、14か国一律24%を超える関税率は米国のインフレを加速させ、スタグフレーションのリスクを伴ううえ、肝心な米欧や米中の交渉はまだ出口が見えていません。今後も再び米国の信認低下を伴う「米国離れ」のトリプル安が起きる可能性にも注意が必要でしょう。しばらくドル円は円安・ドル安双方の材料両睨みで、方向感に欠ける相場が続きそうです。
11日からの週は、米国の金融政策を巡る思惑に大きく揺れた一週間だった。週前半は米CPIの発表を前に様子見ムードが広がる中、ドル円は148円台で推移。しかし、発表されたCPIが予想を下回ったことで、FRBの9月利下げ期待が急速に高まり、ドル安が進行した。これによりドル円は147円台、さらには146円台前半まで下落した。週半ばには、ベッセント米財務長官がFRBへの大幅利下げ要求に加え、日銀の利上げを促すような発言をしたことで、ドル安・円高の流れがさらに加速。しかし、週の後半に発表された米PPIが予想を大幅に上回ったことで、市場は一転してドルを買い戻す展開となった。PPIの結果は、行き過ぎた利下げ期待を後退させ、ドル円は再び147円台後半まで急反発。全般的には米9月利下げ期待が高く、ドル売り圧力が優勢だった。円相場は、週末の日本GDP1次速報値の上振れを受けて日銀利上げ観測が広がり、円高圧力がみられた。ポンドは英GDPの回復を受けて利下げ観測がやや後退、特に対ユーロでの堅調さが目立った。市場の関心は、来週のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の今後の金融政策に関する発言へと移ってきている。(11日) 東京市場は山の日の祝日のため休場。 ロンドン市場はドル買いが優勢。ただ、アジア時間のドル安を戻す動きにとどまり、方向感は乏しい。市場は翌日の米消費者物価指数(CPI)発表や米中関税一時停止期限を控え、様子見ムードが強い。この日は東京市場が休場で、英欧米の主要経済指標発表もなく流動性は低め。ドル円は147円台で往って来い、ユーロドルは1.16台、ポンドドルは1.34台でそれぞれ先週末NY終値付近に戻した。クロス円も小動きで、ユーロ円は171円台後半から172円台前半、ポンド円は198円台での推移。米債利回りは小幅低下、米株先物は小幅高。欧州株は独仏株が下落、英株は小高い。トランプ米大統領は中国に米国産大豆輸入を4倍に拡大するよう要求し、関税協議期限を前に圧力を強化。一方、米政府がエヌヴィディアやAMDの対中チップ販売収益の15%徴収との報道もあったが、市場のリスク回避姿勢は限定的だった。 NY市場ではドル円がじり高となり、148円台を回復した。為替市場全体でドル高が優勢。明日の7月米消費者物価指数(CPI)発表を控えた調整の動きだが、148円台では売り圧力もこなしている。7月の米CPIはコア指数で前月比0.3%、前年比3.0%が予想され、6月よりやや高めの数値が見込まれている。予想を上回ればFRBの早期利下げ期待に変化が生じる恐れがあり、ドルは短期的に反発する可能性もある。ユーロドルは売りが優勢で1.15ドル台に下落し、一時21日線を割り込んだが、中期的な上昇トレンドは維持している。15日に予定されるトランプ米大統領とプーチン露大統領のアラスカ会談ではウクライナ問題が協議される見通しで、停戦期待が高まればユーロは堅調に推移する可能性があるが、影響は限定的との見方も出ている。ポンドドルは1.34ドル付近で推移。先週の英中銀金融政策委員会(MPC)では政策経路の不確実性が指摘された。市場では2025年の利下げ回数は従来予想の2回から1回に減らされ、次回は11月と見込まれている。ターミナルレートは3.25%と予想されている。全体として市場は明日の米CPIを前に慎重姿勢を強めており、ドル高優勢ながら明確な方向感は見られない。(12日) 東京市場で、ドル円は148円台前半で推移。午前は日経平均の大幅高を受けたリスク選好で円売りが進み、一時148.40台まで上昇。さらにトランプ米大統領が対中関税交渉を90日間延長する大統領令に署名し、米中貿易摩擦懸念が後退したことも支えとなった。午後には148.45付近まで小幅に高値を更新したが、今夜9時30分発表予定の7月米消費者物価指数(CPI)を控え上値は限定的となり、148円台前半で揉み合った。ユーロ円も円安で一時172円半ばまで上昇後は伸び悩み。豪ドル円は、豪中銀の利下げ発表後に軟化し午後に96.31付近まで下落。ユーロドルは1.16台前半で方向感なく揉み合った。 ロンドン市場は、ポンドが堅調に推移。日本時間午後3時に発表された一連の英雇用統計が雇用市場の底入れの兆しを示したと判断され、ポンド買いを誘った。ポンドは対ドル、対円、対ユーロなど各主要通貨に対して買われている。ポンドドルは1.34台前半から後半へ、ポンド円は199円付近から200円目前まで上昇。ユーロポンドは0.86台半ばから前半に下げている。その他の主要通貨はポジション調整的なドル買いが小幅に入っている。ドル円は148円台前半でじり高の動き。ユーロドルは1.16台前半から1.16ちょうど付近に小安い。ユーロ円は172円台前半と東京市場での上昇は一服。独ZEW景況感指数指数は予想以上に悪化しており、米関税に対する警戒感が根強いことが示された。欧州株では独指数がマイナスに沈んでいる。ただ、英仏指数は小幅高での揉み合い。米消費者物価指数発表待ちとなっている。 NY市場では、米CPI発表後にドルの戻り売りが優勢となった。ドル円は一時148円台半ばまで戻す場面もあったが、最終的に147円台に下落。前年比2.7%と市場予想を下回った。一方、コア指数は前年比3.1%と予想を上回り関税の影響も示唆されたが、FRBの9月利下げ期待(確率90%超)は変わらず、市場は雇用統計の弱さを覆すほどではないと判断。ただ、サービス価格の伸び加速でスーパーコアは1月以来の大幅上昇となり、利下げ観測を全面的に正当化する内容ではなかった。トランプ大統領がFRB本部改修工事巡るパウエル議長訴訟容認姿勢を示したこともドルの重しに。ユーロドルは1.17ドル付近まで上昇、ECB年内利下げ期待は後退し強気派は1.20ドルを視野。ポンドドルは1.35ドル台回復で21日線を上抜け、英賃金高止まりから年内利下げはあと1回見通し。MPC内の意見対立で市場の利下げ確率は65%程度に低下。(13日) 東京市場では、円売りが進んだ。前日の米株高とそれに続く日経平均株価の続伸を好感したリスク選好の動きが中心。ドル円は、朝方の147円台後半での推移から、仲値後には一時148.17付近まで上昇した。しかし、その後は高値からの調整に加え、財務省による5年物国債の入札で応札率が低かったことが判明した。これにより債券価格が下落し、5年国債利回りが上昇。これが円買いを誘発し、ドル円は148円を割り込む水準まで下落した。ロンドン勢の本格参入を前に、調整の動きはさらに広がり、147.80台で推移した。一方、ユーロドルはドル安の流れを受け、1.16ドル台後半で堅調に推移した。ユーロ円は、午前の円安を受けて173円台まで上昇したが、その後の円買い戻しにより172円台後半まで下落した。ポンドも同様に、ドル安から対ドルで堅調、対円では円高の影響を受けて伸び悩んだ。 ロンドン市場は、ドル売りが優勢。ドル円は東京市場で一時148円台乗せも、ロンドン時間には147円台前半へと下落。ユーロドルは1.16台後半から1.17台前半へ、ポンドドルは1.35付近から1.35台後半へと買われている。値動きは東京午後以降、ほぼ一方通行。ドル指数は7月28日以来のドル安水準となっている。米10年債利回りは東京午前の4.30%付近から足元では4.25%へと低下している。昨日の米CPIを通過して、市場での9月米利下げ観測が高まったことが背景。株式市場は利下げ観測を好感して上昇しているが、ドル相場主導となるなかで、クロス円は全般に方向感に欠けている。ロンドン時間にはドル円の下げが先行したことから、クロス円は売りに押され気味。ユーロ円は一時172.50割れまで下押しされた。ただ、東京市場での上げを戻す程度にとどまっている。ポンド円は足元堅調で200円の節目を上回る動き。足元ではドル売りの動きは落ち着いており、NY市場待ちとなっている。 NY市場では、米CPI後のドル安が継続。ドル円は一時147円台前半まで下落し、その後は147円台でのレンジに落ち着いた。特に、ベッセント財務長官が9月に0.50%の大幅利下げを主張したことがドル安を加速させた。来週のジャクソンホール会議での動向が注目される。一方、日銀については、ベッセント財務長官が「利上げするだろう」との私見を示した。日本の第2四半期GDP速報値はプラス成長が予想されており、これが日銀の利上げを後押しする可能性がある。ユーロドルはドル安の恩恵を受けて1.17ドル台を回復し、ポンドドルも上昇トレンドに回帰する動きを見せている。ポンド高は、英中銀が利下げに慎重な姿勢を維持しているのに対し、FRBの利下げ期待が強まっているという政策見通しの違いが背景にある。明日の英GDP速報値が今後の動きを左右する可能性がある。(14日) 東京市場では、ドル円が軟調。ベッセント米財務長官が9月の米FOMCでの0.5%利下げを主張したほか、日銀のインフレ対策は遅れを取っていると指摘した。ドル円は、米利下げ観測や日銀の利上げ観測を受けて朝からドル安・円高傾向となり、午後に一時146.21付近まで下落した。7月24日以来3週間ぶりの安値水準となった。日経平均が7日ぶりに反落したことによるリスク回避の円買いも重石となった。クロス円も円買い優勢。ユーロ円は午後に171.13付近まで、ポンド円は198.60付近まで一段安となった。ユーロドルは揉み合い。1.17ちょうど前後で小幅な値動きにとどまった。 ロンドン市場は、円買い先行も次第に動きは落ち着いてきている。円買いは、ベッセント米財務長官が米FRBに大幅利下げを求め、同時に日銀には利上げ圧力をかけたことが主因。ドル円は東京市場で一時146.21円付近まで下落したが、その後は下げ止まり、146円台半ばで推移した。ユーロ円も171円台を割り込む場面があった。ユーロドルは1.17台乗せ水準から1.16台後半で振幅した。ポンドは、好調な英国GDP発表を受けて買いが先行したものの、円高の流れに押され、対円では198円台半ばまで値を下げた。一方、ポンドドルは1.35台後半で方向感の定まらない動きが続いた。市場全体としては、円買いやドル買いの勢いが弱まりつつある。しかし、米国株先物が調整される中、この後のNY市場の動向が注目される。米国のPPIと新規失業保険申請件数の発表が予定されている。 NY市場は、ドルが買い戻された。予想を大幅に上回る米生産者物価指数(PPI)の予想を上回る結果を受けてドル高が強まり、ドル円は147円台後半まで買い戻された。東京市場で一時146円台前半まで下落していたが、この下げ幅をほぼ帳消しにする動きとなった。PPIの結果は、これまで高まっていた9月の利下げ期待を後退させ、0.50%の大幅利下げ観測は遠のいた。FRBの今後の判断については、来週のジャクソンホール会議が注目される。ユーロドルはドル高の影響で一時1.16ドル台前半に下落したが、大手アナリストは米国との成長見通し乖離を理由に、今後1.22ドルへの上昇を予測する強気の見方を維持している。ポンドドルも戻り売りに押され、1.35ドル台前半まで伸び悩んだ。英国の第2四半期GDP速報値は予想を上回ったものの、エコノミストからは民間需要の弱さを指摘する声も出ている。今回の数字が英中銀の判断に大きな影響を与えるとは考えにくく、むしろ追加利下げの有無については、インフレや労働市場のデータ次第となるとも指摘されている。 (15日) 東京市場は、ドル売りおよび円買いの動きが優勢。朝方に発表された日本GDP一次速報値(第2四半期)の上振れが、日銀利上げ観測を高めたことがドル円やクロス円の下落につながった。ユーロドルもドル安圧力を受けた格好。ドル円は東京早朝の147.87レベルを高値に、その後は一方通行で下落。東京午後には147.05レベルまで安値を広げた。ユーロドルは東京朝方の1.1646レベルを安値に買われ、足元では高値を1.1675付近に伸ばしている。ユーロ円はドル円とともに下落。172.25レベルを高値に売られ、東京午後には一時171.51レベルまで安値を広げた。日経平均は大幅高となっており、GDPの強い結果を好感している。日銀利上げ観測をめぐる悲観的なムードはみられてない。 ロンドン市場は、東京市場の流れを受けて円買いが先行。ドル円は146円台後半、ユーロ円は171円台半ば、ポンド円は199円台割れへと一段と下押しされた。東京朝方に発表された日本の4-6月期GDP一次速報値の上振れが、日銀利上げ観測につながったことが円買いの背景となっている。また、ドル円の下げとともにドル安の動きも波及。ロンドン午前にユーロドルは1.17台手前、ポンドドルは1.35台後半へと高値を伸ばしている。ユーロ対ポンドではユーロが反発しており、今週のユーロ安・ポンド高の流れに週末調整が入ったようだ。欧州株は総じて堅調。米債利回りはやや上昇している。このあとのNY時間には米小売売上高など一連の米雇用統計発表を控えているほか、アラスカ州アンカレッジで米露首脳会談が行われる。 NY市場はドル安が優勢となり、ドル円は一時146円台まで下落する場面も見られた。円高の動きもドル円を圧迫。東京時間に発表になっていた日本の4-6月期GDP速報値が予想外に強い内容だったことから、日銀の利上げ期待を高めている模様。短期金融市場ではいまのところ年内の利上げの確率を67%に上昇させている。ドル円は本日の下げで21日線に上値を拒まれた格好となっており、上値の重いムードは続いている。本日は7月の米小売売上高と8月調査のミシガン大消費者信頼感指数が発表になっていたが、まちまちの内容で市場の反応も限定的となっていた。
米国債の投げ売りはいったん収まったかに見えましたが、ドルの一度崩れかけた信認が完全に元に戻るかどうかは、今後の関税の行方次第となるでしょう。足下ドル円が弱いのは、日本の対米交渉のパッケージの1つとして、為替面での日米協調によるドルの押し下げの「観測」が浮上している面があると思います。この場合、日米協調介入などでドル円を押し下げると、思わぬ水準までオーバーシュートするリスクもあるため、日銀の利上げで対応する可能性もあるのではないでしょうか。一方、米国に売れなくなった中国の余剰生産品が、安価で日本に流入する可能性を踏まえると、将来のデフレ懸念もあり、日銀の利上げは遅くなるほど難しくなりそうです。
日銀は淡々と利上げする可能性もちらつかせておりタカ派的、FRBも利下げを休止するなどハト派色が後退し、為替は円高・ドル高の綱引きとなりやすい環境です。又、トランプ政権の政策も、米国経済への好悪材料が混在しており影響は不透明です。さらに、トランプ大統領から突如何らかの不規則発言が飛び出す可能性もあり、ボラティリティー急騰リスクは円キャリー取引には不向きと言えるでしょう。IMM円ポジションを見ると、足下はほぼフラットになっており、投機筋もポジションを一方向に傾けにくい環境であることが分かります。したがって、ドル円は昨年のように一方向には向かいにくく、当面は方向感に欠ける展開が続くとみています。




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