郵便物不配4000通 日本郵便非公表
6月5日、国土交通省関東運輸局は、日本郵便の一般貨物自動車運送事業許可を取り消す予定だと発表した。日本郵便が、法令で定められた「点呼」を適切に実施していなかったことが理由だ。
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日本郵便の運送許可取消に、物流各社「今は注視」
事態を重く見た国交省は、日本郵便に対して最も重い処分を下した。今後の調査を経て、処分の対象が拡大する恐れもある。当面、日本郵便は外部への配送委託を増やし、事業の維持に努めることになるだろう。
日本郵便では、全国の郵便局で使うトラックや軽自動車の配達員に対して、法令で定められた飲酒の有無を確認する点呼が適切に行われていなかったことが明らかになっています。会社では全国で8万3000台余りのバイクを保有し、郵便物の配達などで使っていることから、点呼が適切に行われていたか調査を行い、22日、その結果を発表しました。それによりますと、全国の郵便局など3188か所のうち57%に当たる1834か所で、道路交通法や会社の内規で定められた点呼を実施していなかったり、点呼を適切に行ったように装うため記録を改ざんしたりしていた事案が確認されたということです。このうち、一定台数以上の自動車やバイクを保有する事業者に点呼の実施を義務づける道路交通法の違反が1444か所で確認され、点呼の実施を定めた社内規定の違反が残りの390か所であったということです。また会社は点呼の記録の改ざんがおよそ14万9000件あったとしています。日本郵便をめぐっては、ことし6月、国土交通省がトラックなどおよそ2500台の車両を使った運送事業の許可を取り消す処分を行っていますが、今回のバイクを使った配達は国が許可する運送事業の対象ではないということです。会社では、専門の講習を受けた安全管理者を全国の郵便局に配置し、点呼業務にあたらせるなど、再発防止策を徹底したうえで、バイクの利用を続けるとしています。日本郵便の五味儀裕執行役員は「全国の多くの事業所でなかば常態化するような形で安全の要である点呼の仕組みが有効に機能していない状態だった。こういうことがあったことは、事業の存立そのものに関わる重大な事案だと思っている。これからも公道を使って事業を継続していくためには、ゼロから出直して再発防止にしっかり取り組んでいきたい」と述べました。
万一、他人さまあての郵便物が配達された場合は、郵便物の表面に誤配達である旨記載した付せん等を貼っていただき、郵便差出箱(郵便ポスト)に投函していただくか、郵便物の誤配達があったことを最寄りの郵便局、又はお客様サービス相談センターにご連絡ください。 当社が配達した郵便物等でないものについては、郵便差出箱(郵便ポスト)へ投函する等、当社にお申出いただくことはできません。 当社が配達した郵便物等でないものの主な例は、その表面に「これは郵便物ではありません」、「○○メール便」といった表示がされているものです。 これらの配送物については、その配送物の運送サービスを行った事業者さまにご連絡ください(配送物の表面に連絡先が記載されているものもあります。)。(参考) 郵便法第42条(誤配達郵便物の処理)郵便物の誤配達を受けた者は、その郵便物にその旨を表示して郵便差出箱に差し入れ、又はその旨を会社に通知しなければならない。
日本郵便は、問題発覚後、千田哲也社長が陳謝し、監視カメラによる点呼状況の確認や点呼システムのデジタル化などの再発防止策を発表したが 、その実効性より先に、過去の長年にわたる組織的な不正行為に対する厳しい行政判断が下される形となった。
ただし、今回明るみに出たのは氷山の一角にすぎないかもしれない。どうも、日本郵便の組織の欠陥のような大きな要素が隠れている気がしてならないのだ。
全国の郵便局が取り扱った郵便物で、局員らに捨てられたり放置されたりして適切に届かなかったことがわかった事案の中に、日本郵便が公表していないケースがあることがわかった。同社によると、非公表事案の中には郵便物の差出人を特定できていない例がある。差出人にとって、非公表とされたことで、相手に届かなかったことに気づけない恐れがある。
あわせて発表された資料によれば、現在全国の支社で扱う郵便・物流サービス(月間便数)の合計を100として、行政処分執行後の「郵政グループ外の他の運送会社への委託」は34%、「日本郵便輸送株式会社からの郵政グループ外への再委託」が23%、「日本郵便輸送株式会社による自社執行」が1%、「自社軽四車両による代替」が42%となっている。
国土交通省は今後、郵便配達の主力である軽自動車(3万2000台)についても監査を本格化させる。これらは届け出制のため許可取り消しはないが、点呼義務は同様に課されており、多くの郵便局で車両使用停止などの行政処分が下される可能性が高い。
日本郵便内部では、許可制のトラック輸送から届け出制の軽貨物車へのシフトや、車両・人員の子会社への移管などが検討されているとの情報もあるが、国土交通省はこうした動きが事実上の「処分逃れ」とならないよう、厳しく監視する姿勢を示している。
例えば2020年9月に発表された事案では、佐賀県の30代の配達員が、556個の荷物を配達せず、配達エリア内にある祠の下や、空き家の郵便受け、自家用車に隠していた。警察から「祠の下から荷物が発見された」という連絡が佐賀北郵便局にあり、判明している。
日本郵便は郵便局における点呼業務不備事案について、これまでに調査結果・原因分析・再発防止策等を公表してきたが、2025年6月5日に国土交通省から「一般貨物自動車運送事業」の許可の取消処分に関する聴聞通知を受領。日本郵便はこの行政処分を受け入れることとし、6月17日、その旨を同省に報告した。行政処分執行後は、一般貨物自動車運送事業において使用している1トン以上の車両約2500台(全国約330局の郵便局で使用)が使用できなくなるが、郵便物および荷物(ゆうパック等)のサービスについては、他の運送会社への委託を基本に、確実な点呼の実施を大前提として、日本郵便が保有する約3万2000台の軽四車両等を活用することで、行政処分執行後も引き続き提供していくと発表した。
日本郵便東北支社は、差出人や受取人におわびした上で、配達や料金返却などの対応を取ることにしています。


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