
12日の日経平均は大幅に3日続伸。終値は395円高の44768円。
日経平均は3日連続の3桁上昇。8月CPIが米国株の買い材料となったことで三連休を前にしても売り急ぎは手控えられ、一段と上を試しにいった。高値は44888円まであり、45000円が射程圏内に入っている。
来週はドル円の動向に注意を払っておきたい。FOMCでは0.25%の利下げ、日銀会合は据え置きが濃厚とみられているが、FRBはこの先、複数回の利下げを実施する可能性がある一方、日銀は年内のどこかで利上げを実施するとの見方が多い。市場で日米の金利差縮小が強く意識された場合には、円高(ドル安)が進みやすくなる。今週は米国の物価指標を確認しながら米国の長期金利(10年債利回り)は低下したが、それほど円高が進まなかった。為替の落ち着きは日本株の上昇に一役買ったと考えられる。今の日本株であれば、多少の円高は内需を買う理由になると好意的に受け止めるだろうが、大きく円高が進んだ場合には楽観ムードが急速に冷え込む可能性はあるだけに、振れ幅が大きくならない方が好ましい。
【来週の見通し】
堅調か。月曜が休場で立ち合いは4日。16~17日にFOMC、18~19日に日銀金融政策決定会合と中央銀行イベントが相次ぐ。なお、日銀会合後の植田総裁会見は金曜の引け後となり、東京市場の現物市場では消化できない。金融政策に関しては、米国の0.25%の利下げと日本の据え置きに対する織り込みが進んでおり、今回は波乱の要素は少ない。日米株ともに高値圏で推移しているだけに、これらのイベント近辺では利益確定目的の売りが出てくる可能性はある。ただ、米国の利下げ継続に対する期待が高いだけに、押し目があれば買いが入る公算が大きい。サプライズの少ない会合を無難に消化しながら買いが買いを呼ぶ展開も十分期待でき、上向きの基調が継続すると予想する。
【今週を振り返る】
大幅高となった。日曜7日に石破首相が自民党の総裁を辞任すると発表。週明け8日は政治の変化に対する期待が高まり、日経平均は前週末の米国株安を跳ね返して600円を超える上昇となった。9日は反動売りに押されたものの、10日に大幅高となって史上最高値を更新すると、11日は終値で初めて44000円を上回り、12日には一時44800円台まで水準を切り上げた。米オラクルの業績に関するリリースが生成AI関連を刺激したことで、ソフトバンクグループ、アドバンテスト、フジクラなどが大幅上昇。週後半にかけては米国の物価指標が利下げに対する期待を高め、これらを材料にリスク選好ムードが強まった。日経平均は週間では約1749円の上昇となり、週足では2週連続で陽線を形成した。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
専門知識を活かした相場解説や今後の見通しを知るうえで有効です
17日の日経平均は5日ぶり反落。終値は111円安の44790円。米国株安を受けて3桁下落スタート。安く始まった後はプラス圏とマイナス圏を行き来した。広範囲に売りが出たことで、序盤は下を試しにいった。東京エレクトロン<8035.T>やディスコ<6146.T>など半導体株の一角が強く、売り一巡後は切り返してプラス圏に浮上。上げ幅を3桁に広げて45000円台に乗せたが、そこから上は重かった。値下がり銘柄が圧倒的に多い状態が続く中、13時辺りからは失速してマイナス転換。再び下げに転じた後は、マイナス圏で方向感に欠ける動きが引けまで続いた。 東証プライムの売買代金は概算で4兆6100億円。業種別では空運、小売、輸送用機器などが上昇した一方、非鉄金属、電気・ガス、保険などが下落した。創立75周年の記念配当を実施予定と発表したいちよし証券<8624.T>が後場急伸。半面、イタリアンレストランチェーン店運営企業の完全子会社化に伴い、第三者割当増資を実施すると発表した串カツ田中ホールディングス<3547.T>が急落した。 東証プライムの騰落銘柄数は値上がり312/値下がり1267。東京エレクトロンが5%を超える上昇。日経平均を一時プラスに押し上げる原動力にもなった。半導体関連ではKOKUSAIも大幅高となったほか、ディスコが商いを伴って上昇した。証券会社が目標株価を引き上げたTDKが年初来高値を更新。ドル円がやや円高に振れたことを手がかりに、ニトリHDや神戸物産など内需小売の一角に資金が向かった。オアシスマネジメントの大株主浮上が判明したカルビーが急伸。株主優待の導入を発表したインタースペースがストップ高比例配分となった。 一方、半導体関連は濃淡あり、キオクシアやソシオネクストが大幅安。フジクラなど電線株やIHIなど防衛関連が弱かった。東電HDや北海道電力など電力株が軒並み安。9月のFOMCでは利下げが確実とみられている中、MS&ADやT&Dなど保険株が売りに押された。決算が失望を誘ったパーク24やテラドローンが急落。TOKYOBASEは通期見通しおよび中期経営計画の上方修正が好感されず、2桁の下落率となった。 日経平均は5日ぶり反落。結局下落で終えたが、プライムで1000を超える銘柄が値下がりした割には、111円安(44790円)とさほど下に値幅が出なかった。安値(44612円)でも節目の44500円は割り込んでおらず、押し目買い意欲の強さが垣間見えた。 今回のFOMCでは0.25%の利下げが濃厚とみられている。直前でそれを覆すような報道もなく、金融政策はノーサプライズだろう。日本株を見る上でのリスクは、(1)パウエルFRB議長が会見で次回以降の利下げに消極的な姿勢を示して米国株が大幅安となる、(2)逆に、積極利下げ姿勢を打ち出すことで米長期金利が急低下してドル安(円高)が急速に進行する―の2点となる。こういった動きにならなければ、右肩上がりのトレンドが継続する公算が大きい。米国株が大きく上昇して為替が落ち着いていれば、リスクオンの流れに弾みがつく展開も期待できる。日経平均はきょうも45000円を上回る場面があり、天井感は出てきていない。あすは終値で45000円を上回ることができるかに注目したい。
永く第一線でディーラーとして活躍したYEN蔵氏。専門知識を活かした相場解説や今後の見通しを知るうえで有効です。


コメント