
15日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、16-17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げがほぼ確実視される中、147.23円まで下落した。ユーロドルは、欧米金融当局の金融政策の方向性の違いを意識したユーロ買い・ドル売りで1.1774ドルまで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、本日からの米連邦公開市場委員会(FOMC)への思惑から上値が重い展開が予想される。また引き続き、自民党総裁選関連のヘッドラインやトランプ大統領の突発的な発言には警戒しておきたい。
本日からのFOMCでは、FF金利誘導目標の0.25%の引き下げはほぼ確実視されているものの、0.50%の大幅引き下げの可能性も残されている。年内残り2回の追加利下げの可能性が示されることへの警戒感から、日足一目均衡表・基準線147.68円付近が重い展開が予想される。
0.25%の利下げがほぼ確実視されている背景には、ジャクソンホール会合でパウエルFRB議長が、2つの責務の内、「物価の安定」から「雇用の最大化」に軸足を移したこと、7月と8月の雇用統計が雇用情勢の悪化を示していたことが挙げられる。
7月のFOMCでの労働市場に関する判断の根拠の1つとなっていた数値は、3カ月平均で15万人という水準だったが、現状の3カ月(8月、7月、6月)平均は+2.9万人。さらに、2024年4月から2025年3月までの雇用者数は、ベンチマークの改正により、月平均+7.45万人となっている。すなわち、7月FOMCで労働市場の悪化懸念から利下げを主張していたウォラーFRB理事とボウマンFRB副議長の見立てが正しかったことになる。
さらに、7月FOMCの段階で7月雇用統計を知らされていた場合、0.25%の利下げが行われ、8月雇用統計が知らされている9月FOMCでも0.25%の利下げ、つまり0.50%の利下げが正当とするベッセント米財務長官の見解が現実となる可能性もある。
CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウォッチ」では、9月に0.25%の利下げを予想する確率は95%超、0.50%の利下げ確率は約4%と、9月の利下げを完全に織り込んだ。10月と12月のFOMCでも利下げが予想されており、12月のFF金利誘導目標の見通しは3.50-3.75%となっている。さらに、パウエルFRB議長が任期満了となる来年5月15日の後の6月のFOMCでは3.00-3.25%と予想されており、ドット・チャートに注目が集まっている。
ドル円の下値を支える要因としては、パウエルFRB議長が、トランプ関税の不確実性が残っているため今後の金融政策がデータ次第だと述べる可能性、18-19日の日銀金融政策決定会合では政策金利の現状維持が確実視されていること、10月4日に投開票が行われる自民党総裁選への不透明感などが挙げられる。
自民党総裁選に関しては、日銀の利上げに否定的な高市氏の優勢が報じられていることや次期政権での財政拡張的な政策の可能性などから、円を買い進めることは躊躇されている。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
市場概況 東京為替見通しドル円 FOMCへの思惑から上値が重い展開か
米労働市場では、1月から8月までの非農業部門就業者数の月平均は7.5万人増に留まり、2015-24年までの年平均の半分にも満たず、新たな雇用創出は年間約100万人減少。移民減少がなければ失業率は大幅に悪化したと見込まれるなど、需要と供給両面で減速傾向が示された8月の雇用統計。今週9/11発表の米8月CPI次第では、今月のFOMCで0.50%の利下げ観測が強まる可能性も指摘されています。そのため、ドル安が進む可能性があるものの一方で、9/8にはフランス・バイル政権への信任投票や英国の財政懸念、さらに、7日に石破首相が正式に辞任を表明したことへの反応とともに日銀の利上げ再開時期が後退するのか、政治的な先行き不透明感を背景に円売りが進むか注目されます。結果として、ドル売り圧力と円売り圧力が交錯する中、8/14および7/24の安値(146円21銭/145円86銭)を試すのか、9/3の高値(149円14銭)に向けて反発するか注目されます。
9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げが濃厚という見方は以前から変わっていないとも言えます。一方で9月に入ると雇用統計やCPIの発表もあるため、あくまでもそうした数字を見た上で判断するというのがFRBのスタンスであることも間違いありません。現状の0.25%利下げの織り込み度は87%と、この1週間はほとんど変化がありません。
今週(8月25日週)は月末ですが、重要イベントの経過後で目立った材料もないことから、引き続き為替市場は米金利(10年債利回り)の動向を見ながらの動きが続きやすいと言えそうです。
9/8のフランス・バイル政権への信任投票を受けて内閣総辞職の可能性がある一方、フランスの国内問題に留まりユーロ全体への影響は限定的に留まるか注目。また、9/11のECB理事会では現状維持が見込まれるのに対し、来週のFOMCで利下げが確実視されるため、日足・転換線(1.1667ドル)を下値支持線として、7/28や7/24の高値(1.1770ドル/1.1789ドル)を上回り一段高となるか、9/11の米8月CPIを受けてドル安が一段と進むか注目されます。一方、ユーロ円は9/7に石破首相が正式に辞任を表明したことを受けて週明け以降円安が進行すれば、先週から下値支持線となっている日足・転換線(172円27銭)を維持しつつ、7/28高値(173円90銭)を上抜けるか注目されます。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始時期は、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)と見込まれている。
29日07:44 神田財務官 「為替で行き過ぎた変動があれば対応する」 「G20では為替相場の過度な変動は好ましくないと発言した」 「為替市場の変動が高まるリスクに留意すべき」 「為替相場はファンダメンタルズに沿って安定的に動くことが望ましい」 「為替相場を緊張感を持って監視している」
9/9発表の4-6月期GDPは、1-3月期(前期比+0.1%)から改善が見込まれるものの、昨年10-12月期(+0.4%)を下回る可能性があるほか、9/11発表の4-6月期経常収支は、1-3月期から赤字拡大が予想されます。一方、同日発表の7月鉱工業生産は6月から改善すると予想されるなど、強弱材料が交錯する中でランドの対ドル、対円の反応が注目されます。また、9/11発表の米8月CPIを受けて、来週FOMCに続き年内複数回の利下げ観測が強まれば、対ドルでの上昇がランド円の上昇を支援する可能性があります。加えて、9/7に石破首相が正式に辞任を表明したことを受けた政局不透明感が円売りにつながるか焦点の一つになります。ただし、財政懸念や米政権の関税政策の影響に加え、南ア最大の貿易相手国である中国の景気回復の遅れもあり、8/25の8円44銭や9/3の8円43銭を上抜けても、今年1月以来の8円50銭の回復を支える強いランド買い材料は乏しいと見込まれ、8円50銭手前から戻り売り優勢の展開が予想されます。
ユーロドルは、9/1早朝の1.1687ドルの安値を付けた後、今月のFOMCで利下げが有力視される一方、ラガルドECB総裁が当面の据え置きを示唆したことを背景に1.1736ドルへ上昇。その後、9/2の英財政懸念によるポンドの下落やフランスの政局懸念を受け、9/3には1.1608ドルへ反落。ただ、米7月求人件数が下振れたことから1.1682ドルへ反発後、9/4には米8月ISM非製造業景気指数の上振れを受け1.1630ドルへ下落。しかし、9/5発表の米8月雇用統計の予想以上に悪化したことを受け、1.1760ドルへ急反発し、1.1718ドルで取引を終えました。また、ユーロ円は9/1の171円81銭の安値を付けた後、9/2の氷見野日銀副総裁による利上げに慎重な発言や、自民党両議院総会後に党四役が辞意を表明した政局先行きを巡る不透明感を背景に、173円41銭へ上昇。それ以降、週末にかけて日足・転換線(172円27銭)を下値支持線とする堅調な動きを続けたものの、9/3から9/5にかけての高値も173円30銭、173円21銭、173円27銭までといずれも9/2の高値を超えられず、172円75銭で取引を終えました。
9/12には英7月鉱工業生産や月次GDPが発表されるものの、市場の注目は9/11発表の米8月CPIやECB理事会に対する対ドル、対ユーロでの反応が焦点となります。ポンドドルは、日足・転換線や雲の上限(1.3443ドル/1.3460ドル)を下値支持線として8/14高値(1.3595ドル)を回復するか、あるいは転換線や雲の下限(1.3443ドル/1.3410ドル)を下抜け、9/3の1.3333ドルを目指す下落に転じるか、英財政懸念が再燃するか注目。一方ポンド円は、対ドルでの反応に加え、9/7に石破首相が正式に辞任を表明したことで政局不透明感をテーマとする円売り圧力が勝るか、あるいはFRBの利下げ観測によるドル売り円買いが優勢となるか注目。こうした中、50日移動平均線(198円49銭)や転換線(199円11銭)を下値支持線として8/13の200円28銭を上抜けるか、あるいは、転換線を上値抵抗線として8/29の197円95銭を下抜けるか注目されます。
3月19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の据え置きが確実視されており、市場の関心は利下げ開始時期となっている。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日米金融政策への思惑から上値が重い展開が予想される。
ポンドドルは、NY市場休場の9/1の1.3550ドルを高値に、財務省首席秘書官が首相官邸首席秘書官に異動したことを受け、10‐11月に発表予定の秋季予算で財政規律が緩むとの思惑が浮上。9/2には英30年債利回りが1998年5月以来の水準へ上昇したことが嫌気され、1.3341ドル、翌9/3には1.3333ドルへ下落。ただ、同日発表の米7月求人件数の下振れを受け1.3458ドルへ反発したほか、9/5には米8月雇用統計の悪化を受け1.3555ドルへ上伸し、1.3508ドルで取引を終えました。一方、ポンド円は、9/1の198円27銭を安値に199円56銭へ上昇した流れに加え、9/2には氷見野日銀副総裁のハト派寄り発言や、石破政権での党四役の辞意表明を受けた円売りとともに200円27銭へ上伸。ただ、8/13に更新した昨年7/24以来の高値(200円28銭)を前に伸び悩み、英財政懸念を背景に198円33銭へ下落。しかし、9/1の安値を前に下げ止まり、9/3には199円73銭、9/4には199円83銭へ上伸。もっとも、9/5の米8月雇用統計の悪化を受けたドル円の下落を受けて、198円68銭へ下落し199円14銭で取引を終えました。
週明け9/1午前の147円38銭を高値に、日経平均株価が529円安と続落。また、FRBの独立性を巡る懸念に加え、中国とロシア、インドの急接近が嫌気され、ドル売りが進み146円79銭へ下落。しかし、8/29安値の146円77銭を前に下げ止まり、147円31銭へ反発。9/2には氷見野日銀副総裁が会見で、関税政策による世界経済減速への懸念を示し、予想以上に利上げに慎重な姿勢が示されたこと、加えて、自民党両議院総会で森山幹事長をはじめ党4役が辞表を提出、石破政権を巡る政局不透明感が材料視され148円94銭へ反発。その後、米8月IMS製造業景気指数が予想を下振れたものの、翌9/3には英財政懸念やフランス政局不透明感から対欧州通貨でのドル買いが優勢となり、149円14銭へ上伸。もっとも、米7月求人件数の下振れを受け147円88銭へ反落した後、9/4発表の米8月ISM非製造業が予想を上回り148円78銭へ反発。ただ、9/5発表の米8月雇用統計が労働市場の鈍化を示したことで146円82銭へ下落し、147円43銭で取引を終えました。
9/1の8円29銭を安値に、ドルが主要通貨で売られる中、南ア8月の新車販売台数の伸びや、9/2の南ア主要輸出品である金やプラチナの相場の続伸に支えられ上昇を継続。9/3には8月のグローバルPMIが50.1と4か月連続で景気判断の節目となる50を上回ったことに加え、米7月求人件数が市場予想を下回り、対ドルでの上昇とともに8円43銭へ上伸。ただ、8/25の高値(8円44銭)を前に伸び悩み、9/4発表の米8月ISM非製造業が予想を上回った対ドルでの下落とともに8円32銭へ反落。その後、9/5の米8月雇用統計の下振れを受けた対ドルでの上昇に、8円39銭へ反発。しかし、ドル円の下落に押され伸び悩み、8円38銭で取引を終えました。
29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は反落。終値は149.98円と前営業日NY終値(150.69円)と比べて71銭程度のドル安水準だった。1月米PCEコア・デフレーターが予想通りながらも前年比で前月から鈍化したことを背景に米10年債利回りが低下すると売りが進行。2月米シカゴ購買部協会景気指数や1月米住宅販売保留指数が相次いで弱い結果となり、米金利が一段と低下すると149.21円まで売り込まれた。一方、市場では「月末のロンドンフィキシング(日本時間1時)にかけてドル買いのフローが持ち込まれた」との指摘があり、一転して150円台を回復するなど、NY市場だけで見れば行って来いの展開となった。



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