
16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は146.28円まで続落した。16-17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げがほぼ確実視される中、ドルが全面安となった。ユーロドルは、欧米金融当局の金融政策の方向性の違いを意識したユーロ買い・ドル売りで1.1878ドルまで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、明朝発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)声明への警戒感から下値を探る展開が予想される。
ドル円のテクニカル分析では、8月1日の高値150.92円を頭、左肩が149.18円、右肩が149.14円、ネック・ラインが145.86円~146.21円~146.28円の「ヘッド・アンド・ショルダー」を形成中と見なせる。本日は、雲の下限146.65円を攻防の分岐点として、ネック・ラインの下抜けに警戒しながら相場に臨んでいきたい。
また、自民党総裁選に関しては、ドル円は、日銀の利上げに否定的な高市氏が出馬表明したり、優勢が伝えられた局面では148円台に乗せている。そして、昨日のように利上げを容認していると見なされている小泉氏が出馬を表明した局面では、146円台まで売られており、今後も関連ヘッドラインには要警戒か。
昨日から本日にかけて開催されているFOMCには、トランプ米大統領による解任が無効と判断されたクックFRB理事が参加し、15日の上院本会議で48対47の僅差でFRB理事就任が承認されたミランFRB暫定理事が参加している。ミランFRB暫定理事は、上院本会議で、米連邦準備理事会(FRB)の第3の責務(サードマンデート)としての「長期金利の抑制」に言及しており、FOMCでの議論に注目しておきたい。
7月FOMCでは、堅調な労働市場(※3カ月平均+15万人)を理由に政策金利据え置きが決定されていたが、2名(ボウマンFRB副議長、ウォラーFRB理事)が労働市場への懸念から利下げを主張していた。
今回のFOMCでは、FF金利誘導目標の0.25%の引き下げはほぼ確実視されている。リスクシナリオは、8月の消費者物価指数(CPI)を理由に、不確実性が払拭されていないとして据え置かれた場合、あるいは、ベッセント米財務長官の見解や昨年9月FOMCのように0.50%の利下げに踏み切った場合となる。
ドット・プロット(金利予測分布図)は、年内残り2回の利下げ(0.25%x2)が示されると予想されている。リスクシナリオは、トランプ関税の不確実性を理由にデータ次第との見方が反映されたケース、あるいは、フェドウォッチが予想しているように来年6月FOMCで3.00-3.25%辺りまでの利下げが示されたケースとなる。
ベッセント米財務長官は、FF金利の水準について、1.50%から1.75%低くあるべきだと主張している。そして、7月のFOMCで、7月の雇用統計のデータが示されていれば0.25%の利下げが決定された可能性があり、9月のFOMCでは、8月の雇用統計のデータが示されていることで、0.25%の利下げの可能性、すなわち、合計で0.50%の利下げが望ましいと述べていた。
トランプ米大統領も1.00%程度の利下げ圧力をかけているが、政策金利の適正値を示すテイラー・ルールでは3.75%程度とのことで、理論的な背景は整っている。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
市場概況 東京為替見通しドル円 下値を探る展開か
ファンダメンタルズ面から判断すれば、1ドル=120円を割り込むような円高は、日米の長期金利差が足元よりも1%程度縮小することに相当する。これは、米国で利下げが行われる、あるいはそれを債券市場が織り込むような展開となる一方で、日銀が利上げに躊躇無く進むような局面で想定される金利差の縮小だ。
さらに、2021年1月安値の102.59円から、ローソク足の主要な下ヒゲを結んだ右肩上がりの下値支持線は、円高進展を食い止めるサポートライン(=円高へのレジスタンスライン)となるが、このラインについても直近価格は下回っている(図中丸印)。月足終値ベースで同ラインを上回っていれば、月中値での同ライン切り下がりは“ダマシ”と判断することも可能だが、同ラインの水準は徐々に上昇していることを踏まえれば、いずれ近いうちにドル円相場は円高方向へのレジスタンスラインを突破し、円高が進展する可能性が高い。
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東京株式市場で日経平均は4日続伸し、前営業日比134円15銭高の4万4902円27銭と、終値ベースの過去最高値を更新した。米国の利下げ期待が支えとなり、前日の米市場でハイテク株が上昇した流れを引き継ぐ形で東京市場でも半導体関連銘柄の一角が堅調に推移した。一時、初の4万5000円台に乗せたが、買い一巡後は伸び悩む展開となった。
足元では各マーケットはFRBが利下げペースを加速させる、あるいは日銀がこれまで通り粛々と利上げを進めていくことは織り込んでいないものの、少なくともFRBの利下げに関しては今後の米国の景気次第では起こり得る。また、先日は“無風”に終わった日米財務相会合にもかかわらず、トランプ大統領が為替について再び何らかの言及をすることや、関税について新たな条件が提示されるなどの展開が見られれば、市場が再び動揺する可能性もあり注意が必要だ。
米国では、トランプ政権による関税政策や公務員削減政策、移民抑制政策など保護主義的な政策が打ち出されているが、これらの要因から2025年半ばにかけ米国景気の減速を予想する。景気減速により失業率は4.5%と、FRB(連邦準備制度理事会)の長期的な失業率見通し(4.2%)よりも一時的に悪化するとみられ、2025年は年3回の利下げを見込んでいる(図表2)。利下げにより、米金利は2025年末にかけ4%近傍、市場が利下げを強く織り込んだ場合などは3%台後半まで低下すると予想する。
実際、1日の市場でドル指数(DXY)は節目の100ポイント付近で急反落し、日足ローソク足は大陰線となった。レジスタンスラインの突破も「だまし」となり、再び50日線のトライと下方ブレイクが視野に入る。
米金利の低下は日米利回り格差の縮小も促すだろう。米雇用統計ショックの余波が残る可能性も考えるならば、少なくとも今週前半のドル円(USD/JPY)は下値トライを意識したい。


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