出社回帰への反抗 水面下で拡大
この制度は、オフィスのスペースを効率的に活用できるだけでなく、社員同士のコミュニケーションを促進する効果も期待されています。一方、ハイブリッド勤務は、リモートワークと出社を組み合わせた柔軟な働き方です。
出社が進む中で、オフィス内の人の動きや居場所を把握することがますます重要になっています。特に、フリーアドレスやハイブリッド勤務が普及する現代の働き方では、社員がオフィス内でどこにいるのかを把握するのが難しくなっています。このような状況では、必要な人にすぐにアクセスできないことが業務の効率を下げる要因となり得ます。
日本でもアクセンチュアやLINEヤフーが出社回数の拡大に舵(かじ)を切っています。アクセンチュアは6月から国内の全従業員を対象に、週5日の出社を原則として義務化します。
出社が進む中で、オフィス内の人の動きが活発になる一方で、特定の人を見つけることが難しくなるという新たな課題が浮上しています。
新型コロナ禍を契機にオフィススペースを削減した後に対策を打たず、出社回帰の命令で社員を狭いオフィスに詰め込むのはモチベーションを下げるばかりです。出社回帰とオフィス環境の改善はセットで講じるべきです。
出社が進む中で、最も期待される効果の一つが対面コミュニケーションの活性化です。リモートワークでは、メールやチャットツールを通じたコミュニケーションが主流となり、顔を合わせる機会が減少しました。その結果、情報の伝達がスムーズでなくなり、誤解や行き違いが生じることも少なくありませんでした。
しかし、オフィスに人が戻ることで、各自のスケジュールを確認し合う必要が生じ、調整作業が煩雑化しています。特に、フリーアドレスやハイブリッド勤務が普及する中では、社員がオフィスにいる時間がバラバラであるため、誰がどの時間に出社しているのかを把握するのが難しくなっています。
出社回帰が進む中、オフィス内の“人探し”は無視できない課題となっています。Beacapp Hereのようなツールを活用すれば、居場所の可視化によって業務効率と働きやすさの両立が可能になります。
生産性や業務効率に関しては、前述の通り無駄な時間が減るため、むしろ向上します、ですから問題ではないはず。ここでの本質的な問題は、監視下にいないと仕事をしない人たちの存在です。これは生産性の問題というより、目標設定とマネジメントの問題だと考えられます。しかし怠惰な人間に合わせて安易に出社のルールを決めれば、優秀な人はさっさと船を降りるでしょう。それでもよければ対症療法的に強制出社でもさせれば、と思いますが。
出社回帰を無理なく進めるには、週数日の出社や時差出勤の活用、「出社する価値」を実感できる環境づくりが必要です。「チケットレストラン」による食事を通じた交流は、ランチタイムを同僚との接点に変え、職場に活気をもたらします。
出社回帰とは、コロナ禍で普及したリモートワークから、対面での勤務形態に戻す企業の動きのことです。2023年頃から徐々に増え始めました。主な理由は、コロナ禍を経て、対面コミュニケーションの価値が再評価されたことです。また、組織文化の維持・発展、創造性やイノベーションの促進なども理由とされています。
出社回帰の流れの中で、コミュニケーションの重要性が改めて見直されています。自分の思いや話の趣旨をいかに的確に伝えるか。テレビ東京キャスターの豊島晋作氏は新刊『不器用だった僕がたどり着いた「伝え方」の本質』の中で、「演じる」ことの重要性を強調しています(「テレ東キャスター豊島晋作『だからあなたの話は伝わらない、“役者”になろう』」)。
コロナ禍で定着したリモートワークも、最近では「出社回帰」の動きが目立つようになってきました。オフィスに人が戻れば、コミュニケーションも活性化し、仕事がしやすくなる。そんな期待を胸に、オフィスワークを再開した企業も多いでしょう。
世界中の企業がオフィス回帰を推進する中、従業員たちの静かな反抗が始まっている。それが「コーヒーバッジング」――オフィスでコーヒーを一杯飲む程度の短時間だけ出社し、あとは自宅で仕事をする新たな働き方だ。「バッジ(入退館記録)」と「コーヒー」を組み合わせた造語である。最低限の滞在時間で出社実績を作る”皮肉めいた行為”とも言えよう。日本でも「午前中だけ出社」「外回りと称してカフェで仕事」など、実は同様の動きが水面下で広がりつつある。関連記事をまとめてみた。
コロナ禍を経て、私たちの働き方は大きく変化しました。リモートワークが普及し、柔軟な働き方が当たり前となった一方で、最近では出社を再開する企業が増えてきています。この「出社回帰」は、単なるトレンドではなく、働き方の新たな潮流を形成しています。


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