【動画】日銀政策決定会合の注目ポイントとは?円安と物価上昇の狭間で揺れる日本経済【外為マーケットビュー】
動画配信期間:公開日から2週間
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
「最重要週」に浮上した課題と不透明感
今週はFOMCと日銀政策決定会合という重要イベントが連続し、為替市場では注目が集まっていた。FOMC後のドル円は一時145円台まで急落したが、その後急反発し、結局146〜149円のレンジ相場が継続。背景には、日本の投資家によるドル買いと、米利下げ・日利上げ観測によるドル売りの綱引きがあった。
FOMC:ハト派的内容も市場を動かせず
今回のFOMCでは0.25%の利下げが実施され、年内にさらに2回の利下げが見込まれている。声明やドットチャートは全体としてハト派的だったが、経済見通しではGDP・雇用ともに改善方向となっており、インフレ率もやや上昇見通しとなっている中での利下げには市場に違和感もあった。
パウエル議長は「リスク管理のための利下げ」と強調し、今後の利下げを約束するものではないことを示唆。これを受けて米金利・ドル円ともに反発し、市場はやや混乱した。
日銀は据え置き、注目は会見内容に
本日の日銀会合では予想通り政策据え置き。焦点は植田総裁の会見に移り、10月利上げの可能性や、よりタカ派的なスタンスが示されるかが注目されている。物価上昇が続く中、日銀の「基調的な2%未達」という説明は国民の実感と乖離しており、政策の正当性に疑問も出ている。
高市氏の経済スタンスと市場への影響
高市氏の政権入りが現実味を帯びるなか、経済政策がどう変化するかも注目点。外交ではタカ派だが、経済では妥協の可能性もあり、「高市発言で円安・株高」というパターンに変化が出るリスクもある。麻生氏との連携を考えれば、財政面での調整が必要になりそうだ。
日米合意で為替介入の制約強化
先日の日米財務相会合では、為替介入について「競争目的ではなく、無秩序な変動時に限る」と再確認された。さらに、政府系投資機関(GPIFなど)の為替を目的とした資金移動も否定され、80兆円規模の対米投資も円売り・ドル買いでの調達が制約される可能性が高い。
これは外貨準備の自由度を奪い、日本の為替政策が事実上アメリカのコントロール下にあることを示す内容だった。市場では、円安が行き過ぎた場合にアメリカ主導での介入が行われる可能性も指摘されている。
最新のマーケット情報

お知らせ:YouTubeでも外為マーケットビューを配信中
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
志摩力男 氏
慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
FOMC利下げでも円安継続ドル円レンジ相場の限界と日銀政策の行方 2025 9
【9/30(火)まで】 年額プラン2,000円OFFクーポン 配布中!
また年末時点での利下げ回数は2回(計0.5%)がコンセンサスとなっていて、今回の講演後でも3回まで見込む流れにはなっていません。引き続きトランプ米大統領としては利下げ圧力をかけ続けるのでしょう。しかし、9月から10月にかけての雇用情勢が予想よりも悪く、かつCPI上昇が抑えられているという状態でない限り、FRBとしては大きく舵を切ることは難しいと思われます。
昨日のドル/円は終値ベースで約0.2%安。米連邦公開市場委員会(FOMC)も155円台を中心とする値動きが続き、方向感が出なかった。FOMCでは政策金利を市場予想通りに4.25-4.50%に据え置き。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は「政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」との見解を示した。本日は米10-12月期国内総生産(GDP)・速報値が発表される。市場予想(前期比年率+2.6%)以上に米経済が強いようであれば、FRBの利下げ開始時期の後ずれ観測につながりそうだ。また、トランプ米大統領が検討しているメキシコやカナダ、中国への関税賦課開始日(2月1日)が迫っている。メキシコのシェインバウム大統領は「それ(25%の関税賦課)が起こるとは予想していない」と語っており、土壇場でトランプ大統領の計画が修正される可能性もあるため、引き続き関税関連のヘッドラインには注意が必要だろう。ドル/円は154円台に差し掛かると買い意欲に支えられる一方で、156円付近では上値が抑えられやすい状態となっている。本日も155円台を中心に方向感を模索する動きとなりそうだ。
●ドル円は先週の米雇用統計発表前150円台後半をつけていたが、発表後一気にドル安・円高に。●引き続き200日移動平均線はドルの上値抵抗線に、週足の一目均衡表はドル安トレンドを示唆。●ドル円は140円から150円中心のレンジ相場継続が見込まれるものの円高リスクは徐々に低下か。
FRBのパウエル議長はFOMC後の会見で「金融政策スタンスが景気を抑制する度合いは以前より大幅に弱まっており、経済は強さを維持していることから、政策スタンスの調整を急ぐ必要はない」と述べた。声明でインフレに関する文章が削除されたことについては、「インフレに関する部分を短くすると決めただけ」とし、「シグナルを送ることを意図したわけではない」と説明した。なおトランプ政権の関税、移民などの政策については、「政策自体が明瞭になるのを待つ必要がある」と述べた。
9月利下げがあっても、トランプ関税の影響が鮮明になってきてインフレを警戒し、追加利下げに慎重になるのならば、一時的にドルの買い戻しがみられ、ドル/円は円安気味に動くことが予想されます。これらを基本シナリオとして日米金融会合に臨みたいと思います。
146〜149円で動いていたドル/円は、やはり米国の金融政策に大きく左右されそうです。米国の利下げが続くのならば、ドル/円は緩やかに円高に動くことが予想されます。
講演内容は慎重に言葉を選んだという印象でした。2024年ジャクソンホール前からの経済の動きを振り返りつつ緩和に動く調整を行ったこと、現在の問題点として関税によるCPIへの影響が懸念される一方で、直近の雇用とGDPの減速を挙げ、政策の調整を正当化する可能性があると、今後の利下げ再開への可能性について言及しました。
9月FOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げが濃厚という見方は以前から変わっていないとも言えます。一方で9月に入ると雇用統計やCPIの発表もあるため、あくまでもそうした数字を見た上で判断するというのがFRBのスタンスであることも間違いありません。現状の0.25%利下げの織り込み度は87%と、この1週間はほとんど変化がありません。
1991年神戸大大学院経済学研究科修了後、日本銀行。政策委員会審議委員スタッフ、物価統計課長、日本経済研究センター主任研究員(チーフフォーキャスター)などを歴任。岡三証券チーフエコノミスト、いちよし証券上席執行役員チーフエコノミストを経て、2023年10月より現職。東京財団政策研究所主席研究員なども兼任。著書に『日本経済 30の論点』日本経済新聞出版(2022年、共著)など。
その後、8月1日の午後9時30分に発表された7月の米雇用統計が、総じて労働市場の減速を示す内容となったことなどをきっかけに、市場では9月のFOMCで利下げが行われるとの見方が急速に強まり、米長期金利は大幅に低下しました。これを受け、米ドルは日本円を含む対主要通貨で減価し、ドル円は8月5日の午前9時過ぎに1ドル=146円62銭付近までドル安・円高が進行しました。


コメント