
執筆:外為どっとコム総合研究所 為替アナリスト 中村 勉
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今週の振り返り
今週の豪ドル/円は98.08円前後で、ニュージーランド(NZ)ドル/円は87.89円前後で週初を迎えました。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、利下げへの警戒感から米ドル/円が下落した影響を受けて豪ドル/円、NZドル/円も週央にかけて下落。豪ドル/円は97.42円前後まで下値を拡大しました。18日にはNZ4-6月期国内総生産(GDP)が前期から大幅に悪化したこともありNZドル/円は86.83円前後まで下値を拡大しました(執筆時)。
豪8月CPIが3%を超えたらどうなる?
豪中銀(RBA)は8月の金融政策会合で労働市場の状況は若干緩和してきていることを理由の一つに挙げて、25bp(0.25%ポイント)の利下げを行いました。ただ、追加の利下げについては「引き続き慎重な姿勢を維持する」との認識を示しました。また、同時に公表した金融政策報告で2025年末の失業率予測を4.3%としました。そして、18日に発表された豪8月雇用統計では、雇用者数が0.54万人減少したものの、労働参加率が低下したため、失業率は前月から横ばいの4.2%となりました。そのため、豪8月雇用統計の結果はRBAの年内利下げ観測に大きな影響は与えていません。
インフレについては、8月に公表された金融政策報告でRBAは年末までに3.0%まで上昇すると予測しています。来週は24日に豪8月消費者物価指数(CPI)が発表されます。豪州の月次CPIは昨年9月以降1.9~2.5%のレンジ内で推移していましたが、7月には前年比+2.8%まで急上昇しています。市場は8月の月次CPIは+2.9%と伸び率が加速すると予想しています。仮に8月月次CPIが3%を超える伸び率となれば、RBAの追加利下げ期待が後退することになるでしょう。もっとも、RBAが月次CPIは変動幅が大きいことからあまり材料視しておらず、従来通り四半期CPIを重視しているため、RBAの利下げは10月29日に発表される豪7-9月期CPIを確認してからとなるでしょう。8月の月次CPIが予想以上に強い結果となれば、豪ドルは一時的に買われやすい展開になりそうです。ただし、その影響は長続きしにくいと見込まれます。
【豪CPI変化の推移】

豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は終値ベースでは日足一目均衡表の転換線がサポートして機能しています。来週も同線が目先の下値目途となりそうです。その下の水準では同基準線や雲上限が意識されそうです。一方上値は、年初来高値(1/7、99.16円前後)が視野に入ってきました。同水準のほかには心理的節目となる100.00円が意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】

予想レンジ:AUD/JPY:96.00-100.00、NZD/JPY:85.50-88.50
9/22週のイベント:
09/24 (水) 10:30 豪 8月消費者物価指数(CPI)
一言コメント:
先週、昼のライブ配信でゴーヤ料理の話になり、興味がわいたので人生で初めてゴーヤを買って料理しました。1本を半分に分けて2種類作りました。調理、味付けはなんとなくでしたが、我ながら上手く出来たと思います。
お知らせ:FX初心者向けに12時からライブ解説を配信
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外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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来週の為替予想 豪ドル 円
以上を踏まえると、2025年の豪ドル/米ドルは、2024年のレンジを下方修正し、0.6~0.7米ドル中心での展開と予想したいと思います。
その後の豪ドル/円の下落により、5年MAかい離率も縮小しましたが、なお「上がり過ぎ」圏にあることには変わりなさそうです。その意味では、このような「上がり過ぎ」が是正される中で、2025年は豪ドル/円の下落トレンドが展開する可能性が高いと考えています。
52週MAは11月末現在で100円弱ですが、過去の経験を参考にすると、下落トレンドに転換した豪ドル/円は、一時的な上昇局面でも52週MAを大きく上回ることなく一段安に向かう可能性が高いと考えられます。
このような値動きは、過去の経験を参考にすると、豪ドル/円がすでに7月109円で天井を打って、複数年続く下落トレンドに転換した可能性が高いことを示すものです。
予想レンジは、85~102円で想定したいと思います。
こうした中で豪ドル/円は52週MAを大きく割り込みました。その後の反発で一時52週MAを回復したものの、最近にかけて再び52週MAを大きく割れるところとなりました(図表6参照)。
豪ドル/円の5年MAかい離率は、2024年7月に110円まで上昇した局面で25%程度まで拡大しました。これは、2007年に記録した過去最高にほぼ肩を並べるものでした(図表7参照)。その意味では、5年MAとの関係で見た場合、2024年の豪ドル/円はほとんど過去最高の「上がり過ぎ」という動きだったのでしょう。
豪ドル/円は2024年7月にかけて110円寸前まで上昇し、2007年に記録したこの間の高値を更新しました。これは米ドル/円が161円まで展開する「歴史的円安」となるなど、円全面安が展開した影響が大きかったでしょう。このため、米ドル/円が8月にかけて一転して暴落すると、豪ドル/円も90円割れ寸前までやはり暴落となりました(図表5参照)。



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