そもそも すかいらーくはなぜ資さんうどんの買収に踏み切ったのか
関東進出への期待値がMAXに達しているなかでの資さんうどん 八千代店は、どこまで混みあっているのか……年明けの1月に訪問したところ予想以上、出足は好調のようであった。気になる関東1号店の現状と、1号店としてこの場所を選んだことによる今後の資さんうどん事業展開を予想してみよう。
そもそも、すかいらーくはなぜ資さんうどんの買収に踏み切ったのか。
北九州から全国へ。またまだ続く資さんうどんの今後の展開を楽しみにしつつ、家族や友人に「今日資さん行かない?」と気軽に誘ってみようと思います。
オープンしたばかりの資さんうどん両国店は、当面の間は6時~24時(最終受付は23時)で営業するようだ。昼・晩のピークには、余裕をもって行くといいだろう。
資さんうどんの発祥は北九州。福岡うどん特有の柔らかい麺が特徴で、鯖や昆布・椎茸を使った出汁もウリの1つだ。うどん以外にも天丼やカレー、ぼた餅などさまざまなメニューを提供しており、九州を代表するローカルチェーンとして知られている。
すかいらーくグループは恐らく、ファミレス業態に代わる、あるいはそれと並ぶぐらいのグループの柱として、資さんうどんに期待をかけているのではないか。
もともとは北九州市のご当地グルメとして知る人ぞ知る存在であった資さんうどんは、各地へ進出するにつれて、それぞれの地域で定着。かつ、2024年7月に都内に3日間・1日400杯限定で出店した際には「オープン前から400人以上が並び、最終組がうどんを手にしたのは4時間後」という人気ぶり。全国進出前からYahoo!トピックスをにぎわせるなど、本格進出前から資さんうどんの名前は全国に響いている。
友人が怒っていたのは、資さんうどんの名物の1つ「ぼた餅」の大きさについて。確かに気にしてメニューを見てみると、両国店では通常サイズのぼた餅は販売しておらず「ミニぼた餅」があるだけだった。
このように、「都心店」と「地方店」の両軸を成立させることが、立地戦略から見たときのチェーン拡大の要因の1つである。その点で、資さんうどんの関東出店は、この2つのパターンを丁寧に実験しようとしている。
そして資さんうどん周辺には、ファミリー層向け外食チェーンがひしめくように立地している。片側1車線の成田街道を挟んで向かいには「びっくりドンキー」、1km内には「ジョリーパスタ」「くら寿司」「やよい軒」「コナズ珈琲」「かみむら牧場(焼肉)」「すたみな太郎」。さらにスーパーも「ベルク」「タイヨー」「ロピア」が巨大な駐車場を擁する店舗を構える。どうやら、「外食vs.外食」「外食vs.中食」の生存競争は、そうとうに激しいようだ。
1976年の創業から北九州市と周辺のみに出店していた資さんうどんは、2009年に福岡市に初出店、さらに2023年11月には関西進出(大阪市・今福鶴見店)。さらに2024年には外食大手の「すかいらーくホールディングス」傘下に入り、開業から49年目にして関東進出。2025年2月には、東京都内(墨田区・両国店)への初進出も決定している。
来店客からは「仕事帰りに利用したい」といった声がきかれた。資さんうどんの崎田晴義会長は「駐車場がなく徒歩での利用者が多いので『ちょい飲み』需要をにらんで酒類の販売にも力を入れたい」と話す。店内では、うどんとセットで食べることを薦める名物の「ぼた餅」や手土産用のうどんも購入できる。
資さんうどん八千代店へのアクセスは、東葉高速鉄道 八千代緑が丘駅から徒歩20分(1.4km)、バスなら津田沼駅から船橋新京成バスで約25分、津16系統「大和田新田西」バス停を下車してすぐ。つまり、とても公共交通機関で行くような立地ではない。
なお、すかいらーくHDが資さんうどんを買収した背景には、1000店を越えた既存ブランド「ガスト」がカニバリ(近隣店舗の食い合い)を起こしており、グループ内の「バーミヤン」「しゃぶ葉」などに次ぐ業態転換のカードとして見込んだとも言われている。
地元の方によると、資さんうどん八千代店も、もともとは「かっぱ寿司八千代店」(2023年6月閉店)だったようで、よく見ると石垣のような壁の作りが見事にそれだ。資さんうどんは九州でもファミレスなどの居抜きで急速に勢力を伸ばしており、半道橋店(福岡市博多区。2020年開店)でも元・かっぱ寿司の物件を活用した実績がある。


コメント