「サウナ状態」「地獄のよう」との声もあった
札幌市営地下鉄に今夏、車内が暑すぎるとの苦情が相次いだ。全国の地下鉄で唯一ゴムタイヤを採用しており、積載できる重量が限られているため、冷房装置を取り付けられない事情がある。市は対応に苦慮している。 【動画】「さっぽろオータムフェスト」開幕 道内のご当地グルメや特産品が大集合 市交通局に6~8月に寄せられた暑さに関する意見は143件で、昨年同期の数件を大きく上回った。「サウナ状態」「地獄のよう」との声もあった。通学で利用する東海大札幌高1年の近藤斗渉(とわ)さん(15)は「8月は特につらかった。エアコンを早く設置してほしい」と訴えた。 札幌管区気象台によると札幌市中央区は今夏、最高気温が30度以上の真夏日を35日観測し、過去最多を更新。地下鉄車内は日光が当たらず夏は屋外より涼しいとされ、市は温度を測定していないが、試験測定で運転席が30度を超えた日があった。車内も多くの日で30度を上回ったもようだ。 苦情は南北線利用者からが目立った。南北線は平岸-南平岸の途中から真駒内まで高架化され、雪対策でシェルターに覆われている。窓は騒音防止のため閉じられており、熱がこもって車内温度も上がったとみられる。 道外では東京メトロや仙台市地下鉄など各事業者が冷房車を導入。JR北海道も一部を除き冷房車を運行するが、札幌はゴムタイヤ方式が壁となっている。 例えば南北線車両は1両当たりゴムタイヤが16輪ある。市によると積載重量は1輪3トンで、総重量の上限は48トン。鉄の車輪で走る一般的な地下鉄より大幅に小さい。南北線の車体は23~26トンあり、乗客(定員143人、最大378人)の重さを踏まえると、1トン程度とされる車両用の冷房装置を追加で取り付ける余裕はないという。 ゴムタイヤは騒音が小さく、1971年の導入時は画期的とされた。市交通局は「当時はここまで温暖化が進み、冷房が必要になるとは想像していなかったのだろう」とみる。 市は高架区間の駅に冷風機を設置し、乗車直前まで涼んでもらうなどの対策に取り組むが、効果は限定的だ。運転士には帽子を脱いでの勤務も認めている。 市は2030年度から南北線車両を順次更新し、車体の素材の軽量化などでゴムタイヤ方式の冷房車導入も想定する。市交通局車両課の佐渡宏之課長は「それまでの間、少しでも乗車環境が快適になるよう努めたい」と語る。



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