市街地で自律走行 日産が技術公開
同社の自動運転技術開発は国内だけでなく、日産先進技術開発センター・シリコンバレーや英国での研究プロジェクト「evolvAD」などで得られた知見を活用して進められています。
これまでの日産の自動運転技術は、車線が明確に表示され判読が容易な高速道路走行用に設計されていた。新しい技術は、混雑した予測不可能な市街地走行用に設計されている。
東京:日本の自動車メーカー日産は、苦境にあえぐ自動車事業の立て直しを図るため、新たな自動運転技術の開発に取り組んでいる。
2027年の実用化を目指しているこの技術の最近のデモンストレーションでは、11台のカメラ、5台のレーダー、そしてLiDARと呼ばれる次世代センサーを搭載した日産アリヤセダンが、赤信号や交差点の歩行者や他の車にブレーキをかけながら、東京の繁華街を走った。
日産自動車は今後も横浜市での技術とサービスの確立を進めるとともに、国内他地域および海外への展開も視野に入れて開発を継続していくとしています。
日産自動車は、2017年度から自動運転モビリティサービスの実証実験を重ねており、その知見をもとに2025年度下期から2026年度にかけて、横浜市で約20台を運用する大規模なサービス実証実験を予定しています。
(表現を一部修正しました)Maki Shiraki[東京 22日 ロイター] - 日産自動車は22日までに、市街地でも自動運転できる新たな運転支援技術を搭載した試作車を報道陣に公開し、東京・銀座をデモ走行した。現行技術の自動運転走行は一定条件下での高速道路や車専用道路に限られていたが、新技術ではあらかじめ目的地を指定することで市街地でも自動運転が可能となる。英国の人工知能(AI)スタートアップ企業の技術を取り入れ、高度な衝突回避機能を実用化した。日産は独自の運転支援技術「プロパイロット」を刷新し、2027年度から売り出す一部の日本向け車両に搭載する予定。新型のプロパイロットを搭載するモデルは現時点で非公表。試作車は電気自動車(EV)「アリア」をベース車にした。市街地は高速道路と異なり、歩行者や駐車車両、配達作業者など障害物が多く、自動運転の難易度が高い。日産はスタートアップ企業のウェイブ・テクノロジーズのAI技術を活用したほか、カメラ11個、レーダーセンサー5個、高性能センサー「LiDAR(ライダー)」1個を搭載し、障害物を滑らかに回避する走行を実現した。新技術による自動運転機能は、ドライバーが常に車両を制御・監視する責任を持ち、状況に応じてシステムによる自動運転に切り替え手放し運転できる「レベル2」に相当する。日産は16年に初代のプロパイロット技術を導入し、19年からは高速道路や自動車専用道路で手放し運転などができる第2世代を展開している。17年創業のウェイブ・テクノロジーズには、ソフトバンクグループや米エヌビディアなどが出資。今年、アジア初となる開発拠点を横浜市内に開設した。
日産は3月10日、日本におけるモビリティサービスの開始に向けて、市街地においては日本初となる、運転席が無人の状態での走行を横浜市みなとみらい地区で公開した。
日産が25年度以降に始める自動運転サービスでは、横浜市に約20台の自動運転車両を導入し、観光客などに乗車してもらうことを想定する。
市街地は障害物が多く、高速道路と比べ自動運転の難易度が高い。日産は自動運転技術開発の英ウェイブ・テクノロジーズと協業し、同社のAI技術を使うことで複雑な交通状況にも対応しやすくする。高精度センサー「LiDAR(ライダー)」を使った日産の高度な衝突防止技術も組み合わせる。
日産は、2017年度より自動運転モビリティサービスの実証実験を実施。そこで積み重ねた知見をもとに、2025年度下期から2026年度にかけて、横浜市で約20台を運用する大規模なサービス実証実験の実施を予定している。現在は関連事業者と共に、サービスに必要な運営体制とサービスエコシステムの構築を進めているという。この大規模実証実験における検証成果を活かし、2027年度には自治体や交通事業者を含む関係者と協議の上、遠隔監視設備を備えた自動運転レベル4によるモビリティサービスの提供を目指す。
日産では、少子高齢化に伴う公共交通機関のドライバー不足や地域社会が抱える交通サービスの課題解決に貢献すべく、自動運転技術を活用して誰もが自由に移動できる新しい交通サービスの提供を目指して開発・実験を進めている。
日産の推進は、ドナルド・トランプ大統領の関税のせいで、日本の自動車市場全体が深刻な困難に直面している時に行われた。特に日産は苦境に立たされている。日産は雇用を削減し、イバン・エスピノーサ新最高経営責任者を任命して再建を試みている。サブコンパクトカー「マーチ」、電気自動車「リーフ」、高級車ブランド「インフィニティ」のメーカーである日産は、4-6月期決算で赤字を計上した。
自動運転技術の開発を進めるにあたっては、安全性を担保するためのハードウェア・ソフトウェアの開発と検証を国内外で進行。様々な交通事情に合わせて走行する自動運転技術の確立と安全性の検証のため、日本国内のみならず、日産先進技術開発センター・シリコンバレーで開発された技術や、英国での自動運転研究プロジェクト「evolvAD」などで得られた知見を最大限に活用している。


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