
ドル円相場が150円前後で推移する中、この水準の背景には構造的な要因があるとエコノミストのエミン・ユルマズ氏は指摘します。同氏は「エブリシング・バブル」の崩壊を予想する一方で、日本株については2050年に30万円という強気な見通しを示しています。現在の市場状況と今後の展望について詳しく話を聞きました。
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「エブリシング・バブル」とは何か
エミン・ユルマズ氏が提唱する「エブリシング・バブル」という概念は、パンデミック以降の前代未聞の大規模財政出動と長期間の金融緩和によって生まれた現象だといいます。
「通常のバブルは特定の資産クラスに起こります。不動産バブルやITバブルのように」と同氏は説明します。「しかし、パンデミック以降は株式、不動産、暗号資産、限定品、高級品など、ありとあらゆる資産クラスで価格が高騰しました。これが『エブリシング・バブル』です」
2022年に一度沈静化したこのバブルは、ChatGPTの登場によるAI関連株の急騰で再び膨らみ始めました。現在、S&P500のPSR(株価売上高倍率)は3.3倍を超え、ITバブル時を上回る水準にあります。
AIバブルが他のバブルを再燃させる構造
「AIバブルが他のバブルを再度膨らませています」とエミン・ユルマズ氏は指摘します。暗号資産やミーム株など、一度沈静化した投機的資産が再び上昇している理由について、同氏は「世界の中央銀行が実質的に流動性を供給し続けているから」と説明します。
特に問題視するのは、AI関連投資の「クローズドループ」構造です。「OpenAI、Oracle、NVIDIAなど、限られた企業間で注文を回し合っている状況です。見た目上は売上が立っているように見えますが、実際に動いている経済規模はそれほど大きくありません」
バブル崩壊のタイミングは予想困難
では、このバブルはいつ崩壊するのでしょうか。エミン・ユルマズ氏は「ITバブルの例を挙げ、97年から98年にかけてバブル状態だと指摘する人がいましたが、実際の天井は2000年3月でした」と述べ、タイミングの予想の困難さを強調します。
「バブルがどこまで行くかは分かりません。さらに、崩壊してもしばらく気づかないものです。ITバブルの場合も、崩壊したと分かったのは半年後でした」
現在の状況について同氏は「アメリカの先行指数は2年間悪化し続け、商業不動産はほぼ壊滅状態なのに、株価は下がりません。実体経済とかけ離れています」と分析します。
ドル円150円の構造的要因
現在のドル円相場について、エミン・ユルマズ氏は構造的な問題を指摘します。「今年に入ってからのドルのパフォーマンスは過去30年で最も弱いのに、ドル円は150円前後です。これは実質的にドル安円安の状況です」
円が売られる理由として、以下の要因を挙げています:
・アメリカの財政債務問題への懸念
・日本円が安全資産として見られなくなった
・政策金利0.5%、インフレ3%で実質金利がマイナス
・構造的な要因により円を積極的に買う理由がない
「この円の弱さはしばらく続きそうです。構造的な問題が背景にあるからです」と同氏は見通します。
日本株の長期見通し:2050年に30万円
一方で、エミン・ユルマズ氏は日本株については極めて強気です。「2050年までに日経平均30万円」という大胆な予想を立てています。この予想の根拠として以下を挙げます:
1. グローバル資金のリアロケーション
「アメリカ株のバブルが崩壊することで、他の地域に資金が流れます。これは日本株上昇の必須条件です」
2. 日本の構造的優位性
・米中新冷戦により日本が注目される
・サプライチェーン再構築の恩恵
・アメリカの保護貿易が日本メーカーを守る構造
3. 個人資産の株式シフト余地
「日本の個人資産2200兆円の50%は現預金です。株式運用は13%のみ。まだ上昇余地が大きいです」
4. インフレ効果
「30年のデフレから脱却し、マイルドなインフレがリスク資産に追い風となります」
ゴールド投資の意義
法定通貨への不信が高まる中で、ゴールドが連日最高値を更新している現象について説明します:
「リーマンショック以降の各国の財政出動、金融緩和のやりすぎで、法定通貨の信認が揺らいでいます。米ドル、日本円、どの法定通貨でも同じです。投資家が購買力を守るために現物資産に向かう流れの表れです」
まとめ:危機をチャンスに変える視点
エミン・ユルマズ氏の分析によれば、現在の市場は大きな転換点にあります。アメリカ株のバブル崩壊は避けられませんが、それは同時に日本株にとっての大きなチャンスでもあります。
「遅かれ早かれ、グローバル資本のリアロケーションが起きます。その時に日本株は本格的な上昇相場を迎えるでしょう。危機をチャンスと捉える視点が重要です」
過去の歴史と現在の兆候を重ね合わせた同氏の分析は、先行きが不透明な時代を生きる投資家にとって貴重な指針となるでしょう。
エミン・ユルマズ氏エコノミスト、グローバルストラテジスト
トルコ・イスタンブール出身。1996年に国際生物学オリンピック優勝。
97年に日本に留学し東京大学理科一類合格、工学部卒業。同大学大学院にて生命工学修士取得。
2006年野村證券に入社し、M&Aアドバイザリー業務に関わる。
2024年にレディーバードキャピタルを設立し、代表を務める。
現在各種メディアに出演しているほか、全国のセミナーに登壇。文筆活動、SNSでの情報発信も積極的に行っている。
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ドル円相場150円の真実エミン ユルマズ氏が語るバブル崩壊予想と2025年見通し 2025年9月25日
ドル円相場は、年初140.92でオープン。能登半島地震発生により経済に影響を与える懸念はありましたが、新NISA制度スタートによる株価の上昇期待などから、円がじり安の展開となりました。日経平均株価はバブル期の最高値38915円を超えて4月19日には41087円の高値を示現しました。ドル円相場は、3月の日銀金融政策決定会合で政策金利を0.10%引き上げマイナス金利から脱出。量的緩和策の解除の方針も示されましたが、同時に利上げを急がない姿勢が示されたこともあって、4月29日に160.17の高値をつけました。
その他では、1月から再び米国の債務上限の期限を迎えます。この問題は、12月13日現在あまり話題となっていませんが、恐らく年内に延長され直ぐには問題にならないでしょう。ただ、2025年初頭には再び大きくクローズ・アップされる可能性があり、問題が長引けば米国債の格下げのリスクとなります。毎年のことで若干食傷気味の話題ですが、特に2025年はイーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」がスタートします。「小さい政府」を目指す共和党が、本当に米国の財政問題を解決できるのか、それとも混乱につながるのか注視しておきましょう。
ユーロドルは上値が重い。17時時点では1.1733ドルと15時時点(1.1742ドル)と比べて0.0009ドル程度のユーロ安水準だった。全般ドルが底堅い動きとなっており、わずかながら1.1731ドルまで安値を更新した。ただ、手掛かり難でこれまでのレンジは23pips程度と値幅は限られている。
リポートの作成時点では、情報量が少ないのは残念ですが、やはり年初から大注目となるのは、1月20日からスタートするトランプ次期政権です。トランプ氏は既に追加関税など多くの発言をしていますが、就任当日から多くの「大統領令」に署名する見通しです。その内容次第では、市場を大きく混乱させることは間違いなさそうです。トランプ氏の政策に関しては後述しますが、2025年の相場を考える上で、特に注意を払っておく必要があるでしょう。
パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は雇用情勢の悪化について懸念を示したが、長期金利の底堅い推移でドル買いに振れやすい地合いとなった。ユーロ・ドルは1.1720ドル台まで値を下げ、ドル・円は148円90銭付近に浮上。本日アジア市場で米10年債利回りの上昇は抑制され、ドルは積極的に買いづらい展開となった。ただ、日経平均株価の持ち直しでやや円売りに振れ、主要通貨は対円で下げづらい値動きとなった。
この後の海外市場は米経済指標が注目材料。今晩の新規失業保険申請件数で、増加が予想されることから雇用情勢の悪化を背景に年内の追加利下げが意識されそうだ。ただ、26日に発表される8月コアPCE価格指数は高止まりが見込まれ、FRBのハト派姿勢を弱める材料になるとの見方からドルは売りづらい。一方、自民党総裁選が本格化し、財政悪化が意識されるだろう。日銀の利上げ観測が後退すれば、円売りが主要通貨を引き続き支える。
株価の急落に批判が高まったことで、内田眞一日銀副総裁が、「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要」、「金融市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と発言したことが安心感を誘い、日経平均株価が大きく反発、ドル円も8月15日には、149.39まで反発しました。しかし、米労務省が2024年3月末までの一年間の非農業部門雇用者数の数値を大幅に下方修正したことで、FOMCでの更なる利下げの思惑が高まったことなどから、9月16日には139.58と2024年の安値まで下落しました。実際9月18日のFOMCでは、想定外の0.50%の利下げが実施され、ドット・チャートでは年内にあと2回の利下げが想定されました。
ドル円相場は、1990年の160.35の高値から、2011年10月の75.31まで下落後、2022年10月には、160.35の高値と、147.66や125.86の高値を結んだレジスタンスを越えて、151.95まで急反発しました。ただ、この位置から127.23まで急落。チャート形状から「E」の75.31をボトムとして、「C」と「G」をアームとした「リバースH&S」が一旦確定したと見られました。
25日午後の東京外国為替市場でドル円は下げ渋り。15時時点では148.80円と12時時点(148.75円)と比べて5銭程度のドル高水準だった。午前に149円手前での上値の重さを確認するとじり安になり、148.60円前後まで下押し。もっとも、午前につけた本日安値が目先のサポートとして意識されると持ち直した。
これを黒字に改善できれば、また円高の再来も期待できるのでしょうが、2013年から2021年の間、どうにか黒字を維持している時期でも、円ドルレートは、円高というより、円安傾向での揉み合いの動きに留まっています。国際収支との関連もあって、一概には言えませんが、貿易の代金決済は、直接的に為替市場に影響を与えることもあって、あくまでこの貿易収支が、過去のような黒字レベルを回復しないと、大幅な円高を期待するのは難しいでしょう。
2024年のドル円相場は、2022年や2023年に続いて、円の軟調な展開が続きました。
スイス国立銀行(中央銀行)は政策金利を0.00%で据え置くことを決定した。声明では、トランプ米政権の関税政策により、スイスの経済見通しが悪化したと指摘した。予想通りの結果に反応は鈍く、ドル/スイスフラン(CHF)は0.79CHF半ばで小動き。東京タイムで187.45円まで最高値を更新したCHF円は186.76円まで調整の売りが進んだ。
一方日本では、7月に参議院選挙と東京都議会選挙が行われます。都議会選挙の影響は直接的にはありませんが、昨年の解散衆議院選挙では、裏金問題などから自民・公明両党が過半数を割れたことで、日本の政局も混乱しています。一部では衆参同時選挙の可能性も指摘されていて状況次第では、再び自公連立が過半数を維持できない可能性もありそうです。その場合石破総理の総理存続も難しくなりそうです。金融面では政局不安が、株価に悪影響を与えるでしょう。為替に対する影響は不透明としても、通常なら株価の下落がリスク・オフの円買いにつながる可能性を考慮しなければなりません。ただ、もしこれが株安、債券安、円安と「トリプル安の日本売り」に繋がるなら大惨事となりそうです。2025年は日本の政局にも注意を払っておきたいと思います。
「日本の個人資産2200兆円の50%は現預金です。株式運用は13%のみ。まだ上昇余地が大きいです」
ただ、下値は「D」と「F」のネックラインが逆サポートして、更に反転がこの「G」の高値を超えて、161.95まで上昇する形からは、このリバースH&Sが崩れた形となっています。2024年の相場見通しもこれを前提に見通しを述べていますが、これが全く誤った形で、そうなると140円前後が今後も維持されると、更なる上昇と見るしかない形となります。その場合161.95を越えると次のターゲットは、1978年の安値177.06、更には1981年の安値199.06となります。


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