
昨日の海外市場でドル円は、強い米経済指標が発表を受け、米長期金利の上昇とともにドル買いが先行。一時149.93円と8月1日以来の高値を付けた。米長期金利の指標となる米10年債利回りは4.19%台まで上昇した。ユーロドルは1.1646ドルと4日以来の安値を更新した。
本日の東京時間でのドル円は、堅調地合いの維持を見込む。円安の進行だけでなくドル高が大幅に進み、主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは、一時今月上旬以来となる98.61まで上昇した。連日一本調子でドル高が進んでいるため、多少の調整もあるだろうが、東京時間でトレンドが大きく変わるのは、余程のニュースがない限り難しいだろう。
本日東京時間では、まず全国消費者物価指数(CPI)の前哨戦となる9月東京都区部CPIの結果を確かめての取引になる。市場予想では、生鮮食料品を除く総合が、前年比ベースで前回2.5%から2.8%へ上昇見込み。前月よりも加速するが、夏季の水道基本料金の無償化措置の効果で水道料金が34.6%低下していることや、政府による7月から9月使用分の電気・ガス料金の負担軽減策も寄与し、3%は下回る見込みだ。10月の日銀金融政策決定会合を前にしてインフレ指標が予想よりも強まれば、本邦金利上昇・円高に動く場面もありそうだ。
ただ、大きなドル買いの流れが強まっている中、NY時間には注目の経済指標を控えていることもあり、東京都区部CPIだけでは大きく動意づくのは難しい。本日NY午前には米連邦準備理事会(FRB)が重要視するインフレ指標「個人消費支出(PCE)デフレーター」の8月分が発表予定。PCEデフレーターは、前年比で前回より小幅上昇の2.7%予想、食品とエネルギーを除いたコアデフレーターは前月から横ばいの2.9%予想になっている。
市場では、CPIを発表する労働省労働統計局(BLS)の局長にトランプ氏の熱狂的な支持者であるアントニー氏が就任したことで、今後のCPIの信頼性を懸念する声が出てきた。一方、PCEは商務省経済分析局(BEA)が担当し、信頼性と透明性が確保されているとの見方もある。
8月PCEが予想より強まれば、昨日にグールズビー米シカゴ連銀総裁が「インフレが上昇する中で政策金利を据え置くことは、利下げと同じ」と述べたように、年後半の利下げ回数が減少する可能性もあり、ドルを支えることになりそうだ。
また、ドル円が8月1日以来となる節目の150円台に乗せた場合、円安について、自民党総裁選の候補者(特に有力とみなされている小泉氏や高市氏)が、どのような見解を示すかにも注目。総裁選候補の不用意な発言が、市場の神経質な動きにつながるリスクにも備えておきたい。
なお米行政管理予算局は、来週1日には予算が切れ、追加資金源がなく、トランプ大統領の優先事項と一致しない省庁に対し、人員削減通知の発行を検討するよう伝えた。これまでは直前の予算切れ回避が多かったものの、トランプ政権とそれに対する野党・民主党も通常ではない状況でもあることで、予算案の行方にも目を向けておきたい。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ


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