
本日のNY為替市場のドル円は、米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している米8月PCEデフレーターを見極めることになる。
また、引き続き、トランプ米大統領の突発的な発言や次期FRB議長候補に関するヘッドライン、そして10月からの米政府機関の閉鎖の可能性に関するヘッドラインなどには警戒しておきたい。
ホワイトハウスは連邦政府機関に対して、政府機関が来週閉鎖されるリスクに備え、大量解雇の計画をまとめるよう指示している。過去の閉鎖時には通常、職員の一時帰休が行われており、政府職員の削減を進めてきたトランプ米政権による異例の対応となる。
ドル円は長期的な攻防の分岐点である200日移動平均線148.48円を上回る水準で堅調に推移しており、8月1日の米雇用統計ショック前の高値150.92円に迫るのか否かに注目していきたい。
パウエルFRB議長は、トランプ関税の影響が8月の物価指標に顕在化すると述べていたが、8月の消費者物価指数(CPI)は前年比+2.9%、卸売物価指数(PPI)は同比+2.6%だった。
本日発表される米8月PCEデフレーターの予想は同比+2.7%で7月の同比+2.6%から上昇、コア指数は同比+2.9%で7月の同比+2.9%と変わらずと見込まれている。
予想を大幅に上回ることがなければ、市場の関心は、来週発表される米9月の雇用統計に移ることで、ドル円の上値は限定的となるのかもしれない。
また、予想を上回った場合は、ドル円は150円台に乗せる可能性が高まることで、トランプ米政権による円安牽制発言に警戒することになる。
日本の今年の1-7月の対米貿易黒字は、5兆398億円となっており、昨年同時期の5兆3149億円から、トランプ関税にも関わらず減少幅はわずかだった。
すなわち、トランプ米政権が目指す日米貿易不均衡の是正のためには、トランプ関税だけではなく、ドル安・円高が必要なことは、ベッセント米財務長官も認識していると思われる。
かつて、クリントン政権下では、日米貿易不均衡の是正のために、ベンツェン・シーリング(113.60円)が設定されていたが、ベッセント・シーリングが150円超えに設定されている可能性には警戒しておきたい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、150.92円(8月1日高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、149.14円(9月3日高値)
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY為替見通しドル円 米8月PCEデフレーターに要注目か
インフレ率の鈍化は好ましいことだが見通しを変えるには不十分だとし、「一指標がトレンドを作ることはない」と言明した。「インフレ率は2021年夏に一時的に鈍化し、その後かなり悪化した。インフレ減速を確信するには改善が持続するのを確認する必要がある」としている。この発言は、金市場のセンチメントに冷や水を浴びせる形になった。
先週のコラムではレンジを8,780~8,900円と想定していたが、実際には8,661~8,844円と100円以上の下振れとなった。円売りポジションの巻き戻しが想定以上に進んだことが、安値見通しの想定違いとなった。
まず7月18日に発表される6月小売売上高に注目したい。さらに今週以降は米国企業の四半期決算発表が本格化するが、中でも地域銀行の決算内容と見通しにも注目したい。貸し倒れ引当金の積み増しが想定以上に増加傾向を示すと、米ドル相場への影響も考えられ、内外金価格の手掛かり材料になる可能性がある。
主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
23日の豪9月製造業・および非製造業PMI(購買担当者景気指数)に続き、24日には豪8月CPI(消費者物価指数)、米8月新築住宅販売件数、25日は米8月中古住宅販売件数、米8月耐久財受注、26日は米8月PCE(個人消費支出)デフレーターが発表される。RBA(豪準備銀行)の利下げ見通しが後退しつつある中、豪8月CPIは要注目。



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