キッチン付きホテル 開業相次ぐ
現在、同社は開業中の2施設を含め、2030年までに3都府県11棟1200室を運営する計画を進行中だ。福岡・博多(2027年2月開業予定)、東京・浅草(2027年5月開業予定)でも新規開業する予定で、今後10年で2000室体制を目指す方針を明らかにした。
3人以上の家族などで宿泊する訪日観光客(インバウンド客)、かつ連泊ターゲットという、「ニッチ狙い」なホテルが9月25日に東京・新宿で新規開業する。不動産デベロッパーの日鉄興和不動産(東京都港区)が手がける「&Here SHINJUKU」(アンドヒア シンジュク)だ。
MIMARUにはマンション開発のノウハウが生かされ、室内には障子や木目の建材を使った和風のデザインを施し、キッチンも備える。滞在中は近くのスーパーで食材を買って、室内で調理ができる。
尖ったコンセプトとも見えるが、先に開業した上野や大阪・難波では、稼働率7〜8割という好実績をすでに上げているという。ある意味で「満を持しての新宿」の開業だ。
キッチンや家電を室内に備えた「アパートメントホテル」の開業が相次いでいる。ファミリーや親しい友人同士のグループが中長期の旅行をするのに適した宿泊施設で、自宅で暮らすように滞在したいインバウンド(訪日客)に特に人気だ。建設や不動産の業界からの新規参入が増えている。
コロナ感染拡大で令和2年5月には開業済みの15施設のうち11施設の休館を余儀なくされたものの、3年4月に新規開業を再開。昨年6月には「MIMARU東京 八丁堀」の近くに「MIMARU東京 STATION EAST」をオープンした。
宿泊だけに特化し比較的安価な料金設定が同ホテルのポイントだ。素泊まりの代わりに3人部屋1泊3万円(参考:29.28〜32.04平方メートル)から、ファミリー向けの4人部屋1泊5万円(参考:37.58〜40.24平方メートル)からと、新規開業の人気エリアであることを考慮すると割安と言える。
MIMARUに追随する形でアパートメントホテル事業に参入する動きもある。「Minn(ミン)」を展開する宿泊事業運営支援のSQUEEZE(スクイーズ、東京)は今年2~3月、金沢、東京、京都に計4施設を順次開業。計19施設に増やした。
長期滞在を意識して、賃貸住宅のように大半の部屋にキッチンを備えているのも特徴だ。最低限の調理はできるため、ファミリーの訪日観光なら自宅のように過ごすこともできそうだ。
アパートメントホテルは一般的にレストランなどの共用設備がなく、狭小な土地でも開発可能とされる。老朽化した小中規模のオフィスビルなどを建て替える際の新たな選択肢となっていることも市場拡大の一因だ。 国内アパートメントホテルの先駆けの一つとされる不動産中堅のコスモスイニシアは「MIMARU(ミマル)」ブランドで2018年に開業し、東京、大阪、京都に計27棟を展開している。部屋は約40平方メートルからで、定員は4~10人。宿泊者の95%が外国籍で、宿泊日数は4泊程度が多い。 日鉄興和不動産は24年3月に「&Here(アンドヒア)」ブランドで新規参入し、今月25日には東京・新宿に3棟目をオープンした。福岡市や東京・浅草でも開業する予定だ。
今年6月には京都に新たに1施設を開業し、計28施設1470室に拡大する。7月の宿泊予約はすでに6割以上が埋まっているという。将来的には3000室にまで増やす計画だ。


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