
執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年9月26日 14時20分
日米でイベントフル、150.35円付近で抑えられたら調整も
米ドル/円、150円付近へ上昇
米ドル/円は上昇。ドイツの経済指標の弱さを受けてユーロ売り・米ドル買いが進み、200日移動平均線を突破して148.90円付近まで上昇しました。
その後も、関税政策による不透明感が強い中でも、米国の成長ペースが力強いものだったことを示す指標や、雇用市場の改善傾向を示唆するデータを受けて、米ドル/円は149.952円まで上昇幅を広げました。
(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
需要側と供給側で問題、米雇用は低位安定も
パウエル米FRB議長は23日、ロードアイランドでの講演で「リスクバランスは均衡しつつある」と述べる一方、「労働者の供給と需要の双方で正常でない減少が見られる」と発言し、雇用情勢を重視する姿勢を示しました。
雇用情勢の動向が、引き続き10月の追加利下げの鍵を握るとみられます。
来週は米国で雇用動態調査、ADP雇用統計、チャレンジャー人員削減数、雇用統計など、複数の労働市場関連データが発表されます。これらを受けて、米ドルは一喜一憂しながら、10月利下げの確度を模索する展開となるでしょう。
足元では、最悪期を脱した可能性を示唆するデータも見られますが、パウエル議長が雇用の需要サイドと供給サイドの両方に言及していることから、雇用者数の増加ペースが低い水準ながらも、安定的に推移する可能性もあります。
ヘッドラインへの初期反応と、分析が進んだ後で解釈が変わるリスクにも注意が必要です。また、つなぎ予算の混乱により雇用統計の発表が遅れる可能性もあり、この点も注視すべき材料です。

今年のFOMCで投票権を持つ当局者の主な発言
国内では日銀短観が発表されます。物価動向が日銀の想定通りに進展する中で、内容次第では10月の利上げ観測が強まる可能性があります。
日銀正副総裁の発言も予定されており、これらのイベントを通じて利上げに向けた準備が進むかどうかが注目されます。
円売りの流れが強まっていることから、米ドル/円は底堅さを増しているとみられますが、米雇用指標が米国の追加利下げを完全に否定できない場合、日銀への思惑がくすぶり、ドル/円が調整する展開もあり得ます。
押し目をつけた場面では、丁寧に買い拾う姿勢が求められるでしょう。
150.35円付近で止められれば調整も(テクニカル分析)
米ドル/円は、日足一目均衡表の三役好転の状態にあり、地合いは強いと考えられます。150.00円台の回復に成功すれば、次の目標は8月高値の150.917円や心理的節目の152.00円までの上昇が期待されます。
ただし、フィボナッチ・エクスパンションの100%ラインが150.35円付近に位置しているため、この水準をうまく通過できなければ、短期的な達成感から148.00円付近まで調整する展開も考えられます。
【米ドル/円チャート 日足】

出所:外為どっとコム「TradingViewチャート」
予想レンジ:USD/JPY:147.500-152.000
9/29 週のイベント:

一言コメント
来週は日銀短観、日銀正副総裁発言、会合の主な意見など、日銀関連のイベントが多いです。本邦の金利動向にも気を配りたいです。
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来週の為替予想 米ドル 円
IMM通貨先物9月23日主要国通貨 円の買い越し増加円 79500枚の買い越し18089枚の買い越し増ユーロ 114345枚の買い越し3414枚の買い越し減ポンド 1964枚の売り越し4616枚の売り越し減スイスフラン 23018枚の売り越し3022枚の売り越し減ICEドル指数 10344枚の売り越し2550枚の売り越し減レバレッジド・ファンズ9月23日主要国通貨 円の売り越し...
円安になるリスクとしては、関税発動により輸入価格が上昇することで米国のインフレが再加速する場合である。その場合、インフレを抑制するためFRBは再度利上げを行う必要が生じ、米金利の上昇とともに、1ドル=160円台へ円安・ドル高に進展する可能性があるだろう。
今週のドル円は新しい月にあたり147.45-149.94のレンジで推移。高値を切り上げたのち上げ渋って週の取引を終えた。
その条件として注目したいのが、やはり獲得議席数である。自公合わせて40議席後半ならば市場が想定する過半数割れの範囲内となろう。政局不安を意識して国内の金利は7月に入り上昇してきた。外為市場では円安がさらに進行している。これら選挙前の市場動向を考えるならば、重要イベント後によく見られる反対の動き-調整の円買いシナリオも想定しておきたい。
先週(9月15日週)のユーロ/米ドルは、FOMCまでは米ドル安の動きに沿ってユーロがじり高の動きを続けました。FOMCでの利下げ発表直後には1.19183ドルと年初来高値を更新しましたが、その後は米ドル買い戻しの動きとともにほぼ週初の水準へと押しての週末クローズとなりました。
先行き2025年末にかけては、1ドル=140円台前半への緩やかな円高・ドル安を予想する。
シナリオ③:調整の円買い、再び円安へ 参院選での自公過半数割れは円安の要因として警戒したい。しかし、これについて市場がすでに織り込んでいることを考えるならば、週明けの外為市場では一度円の買い戻しで反応する可能性がある。
ドル円(USD/JPY)については、参院選の結果だけでなく米利下げの動向も重要な材料である。
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またユーロ/円は上下しながらも週を通してじり高の流れが続き、日銀会合前に174.499円と、こちらも時間差で年初来高値を更新し、その後は利食いも出て173円台後半に押しての引けとなりました。
一方、1週間の予想変動率が12%付近までじわりと上昇している。トランプ米大統領が相互関税を発表した時のような急変動は見られない。しかし自公大敗となれば、週明けから外為市場では急速に円安へ振れる可能性がある。予想変動率も急速に上昇する場合、ドル円は上下に大きく振れることが予想される。シナリオ②の突発的な円買いを警戒したい。
シナリオ②:急速な円安の進行と突発的な円の買い戻し シナリオ①で指摘した急速な円安の進行は、円の買い戻しを誘発する可能性がある。しかし、自公大敗による政局不安と日銀の利上げ期待の後退を考えるならば、調整の円買いは「突発的」な動きで終わる可能性がある。
ドル円が151円台へ上昇すれば、予想レンジの上限151.60レベルのトライを意識したい。この水準は、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準にあたる。筆者の想定を超える円安により予想レンジの上限を突破する場合は152円、153円と1円レンジで上値の水準を見極めることになろう。テクニカルの面では、フィボナッチ・リトレースメント76.4%戻しの水準154.40レベルを視野に上昇幅の拡大を想定したい。
しかし、シナリオ②で述べたとおり円高へ振れてもその動きは一過性で終わるだろう。ドル円(USD/JPY)の反落局面では押し目買いを考えたい。
来週は米9月ISM非製造業景況指数や米9月平均時給(前月比)が発表を控えており、こちらが予想を上回る強い結果となった場合は、ドル買いの強まる展開となりそう。また国内の経済イベントとしては、7-9月期日銀短観・四半期大企業製造業業況判断の発表結果も材料視されそうだ。


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