
このレポートでは、メキシコペソとアメリカ経済や日本円との為替レートの動き、メキシコペソの見通し、そしてその影響を受ける可能性がある要因について詳しく解説します。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田卓也
X(Twitter): https://twitter.com/KandaTakuya
ドル安でもドル高でもペソ/円上昇 金利差意識の「キャリートレード」
ペソ/円は先週26日に8.150円前後まで上昇して約1年2カ月ぶりの高値を付けた。ドルに対するペソ高の動きは先々週17日までに一巡したが、先週はドルの持ち直しによる円安の動きがペソ/円を押し上げた格好だ。このように、ペソ/円については、ドル安局面ではペソ高主導で上昇する一方、ドル高局面では円安に支えられる展開となっている。
先週25日、メキシコ中銀は25bp(0.25%ポイント)の利下げを決めた上に、追加利下げにも含みを持たせた。それでも同国の政策金利は依然として高水準の7.50%で、米国の4.00~4.25%や日本の0.50%を大きく上回っている。こうした金利差に着目した「キャリートレード」の動きが、足元のペソ高を支えている可能性が高い。
今後のペソ/円相場については、「キャリートレード」の持続性が焦点だろう。米国を中心に株価が堅調を維持し、市場のリスクセンチメントが安定的に推移するようなら金利差を意識したペソ高・円安の展開も続きそうだ。他方、米国の景気後退が鮮明になるようだとメキシコ経済にも少なからぬ悪影響が及ぶとの思惑から「キャリートレード」が逆回転を始めるおそれもある。ペソ/円の「キャリートレード」の持続性は米国景気がカギを握っていると言えるだろう。
メキシコペソ/円 週足チャート

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株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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