千葉銀と千葉興銀 統合で基本合意

Q.なぜ今、地方銀行の間で経営統合や合併といった再編の動きが相次いでいるのですか？A.去年、日銀が金融政策を転換し、「金利のある世界」が到来しました。こうした中、金融機関の間ではいわゆる“利ざや”の収入が見込めるとして、預金者や融資先の企業をより多く獲得しようと、競争が激しくなっています。例えば「預金」では、大手銀行やネット銀行が普通預金、定期預金のほか、キャンペーンを展開して他行より少しでも高い利息をつけて預金獲得の取り組みを強化しています。もちろん地方銀行の間でも積極的に取り組む動きが広がっていますが、大手による攻勢を前に“危機感”が高まっているのではないかといった指摘もあります。このため営業基盤を一気に拡大できる再編に踏み切る動きが相次いでいると考えられます。Q.最近はどのような再編があったのですか？A.ことしに入ってからは、愛知県の愛知銀行と中京銀行、青森県の青森銀行とみちのく銀行がそれぞれことし1月に合併し、新たな銀行として営業を始めました。また、福井県の福井銀行と福邦銀行、長野県の八十二銀行と長野銀行はそれぞれ来年の統合を予定しています。「金利のある世界」のもとで顧客獲得の競争が激しくなっている最近も再編や連携強化に踏み切る新たな動きが相次いでいて、ことし4月には新潟県の第四北越銀行を傘下に持つ第四北越フィナンシャルグループと群馬県の群馬銀行が再来年4月をめどに経営統合を目指すことで基本合意しました。また、ことし3月には山梨県の山梨中央銀行と静岡県の静岡銀行の提携に八十二銀行が加わり、包括業務提携を結ぶことで合意しました。Q.今後も地方銀行の再編は続くのでしょうか？A.日本総研調査部の大嶋秀雄主任研究員は「今後も再編に向けた動きは進んでいくだろう。新たなデジタル金融サービスが注目されるなか、ビジネスエリアや取り引き先の重複が多い同一県内の再編だけではなく、取り引き先を広げるような広域の『攻め』の再編の動きも出てくるのではないか」と話しています。地方では人口減少や高齢化などで市場が縮小していますが、市場の規模に対して金融機関の数が多いのではないかといった指摘も出ています。さらに金融庁も再編を後押ししています。2021年には改正金融機能強化法で地方銀行が経営統合や合併をする際のコストの一部を支援する「資金交付制度」を導入しました。「金利のある世界」が到来した今、この先も地方銀行の再編を後押ししていくため、この制度の延長が検討されています。Q.地方銀行が再編することで、私たちの暮らしにはどのような影響があるのでしょうか？A.再編によって営業基盤が強固になり、重複する業務を整理・統合するなど経営効率化によって地方銀行の“稼ぐ力”が高まれば、さまざまなサービス向上につながっていく可能性はあります。地方銀行には預金や融資だけではなく、地域経済を支えている企業や個人の相談相手としての役割＝コンサルティングが期待されています。たとえば事業承継や人手不足、DXやGXへの対応などです。こうした“非金融”のニーズに応えるためには専門的な人材をどれだけ確保できるかやIT分野への積極的な投資がカギになるとされていて、これらに対応していくために再編の道を選択する地方銀行が増える可能性もあります。

ことしに入ってからは、愛知県の愛知銀行と中京銀行、青森県の青森銀行とみちのく銀行がそれぞれことし1月に合併し、新たな銀行として営業を始めました。また、福井県の福井銀行と福邦銀行、長野県の八十二銀行と長野銀行はそれぞれ来年の統合を予定しています。さらに「金利のある世界」のもとで顧客獲得の競争が激しくなっている最近も、再編や連携強化に踏み切る新たな動きが相次ぎ、ことし4月には新潟県の第四北越銀行を傘下に持つ第四北越フィナンシャルグループと群馬県の群馬銀行が、再来年4月をめどに経営統合を目指すことで基本合意しました。また、ことし3月には山梨県の山梨中央銀行と静岡県の静岡銀行の提携に八十二銀行が加わり、包括業務提携を結ぶことで合意しました。地方では人口減少や高齢化などで市場が縮小していますが、市場の規模に対して金融機関の数が多いといった指摘もあります。また、金融庁も地方銀行の経営統合や合併の費用を支援する制度をつくり、再編を後押ししています。異業種からの参入が相次ぎ金融サービスが年々、高度化する中、地方銀行にとっては地域への対応以外にも専門人材の確保やIT分野などへの投資が課題となっていて、今後、再編や連携強化の動きが一段と活発になることも予想されます。