メキシコペソ/円 見通し「6日に9月CPI…キャリートレードのペソ買い継続」注目の高金利通貨 10月5日号

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メキシコペソ/円 見通し「6日に9月CPI…キャリートレードのペソ買い継続」注目の高金利通貨 10月5日号

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メキシコペソや豪ドルなど投資家にとって魅力的な通貨の最新状況について、これまでの動向や注目ポイントについて解説します。

作成日時 :2025年10月3日14時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田卓也
X(Twitter)@KandaTakuya

執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也

メキシコペソ/円(4時間足)

※レポート内の為替レート・チャートは外為どっとコム「外貨ネクストネオ」を参照

先週のメキシコペソ/円は高値圏から反落

 9月26日に8.150円前後まで上昇し年初来高値を更新していましたが、週明けの29日は8.140円前後を上値に失速。日銀の野口審議委員の発言が利上げに前向きと受け止められて円が買われたことが背景です。10月1日には日銀短観が改善したことで月末の利上げを織り込みつつ、さらに円高に振れたため、ペソ/円は8.0円台を割り込んで下落。翌2日には7.961円前後まで下落して9月12日以来の安値を付ける場面もありました。ただ、8円割れの水準では下値が堅く、翌3日の東京市場では植田日銀総裁が利上げに慎重な姿勢をあらためて示したことから8.022円前後まで持ち直しています。4日に行われる自民党総裁選を前にした持ち高調整による円売り戻しの動きも出ている模様です。

今週のメキシコペソ/円の注目ポイントはCPI

 9日にメキシコ9月消費者物価指数(CPI)が発表されます。市場予想は前年比+3.79%となっており、2カ月連続で伸びが加速する見通しです。メキシコ中銀は景気支援に向けて利下げを続ける姿勢を示していますが、コアCPIの上昇には警戒感を滲ませています。9月のコアCPIの市場予想は前年比+4.28%で、予想通りなら昨年4月以来の高い伸びとなります。この予想をさらに上回るようだと次回11月会合(6日)の利下げ観測が後退する可能性があるでしょう。政策金利が7.50%に維持されるとの観測が浮上すれば、金利差に着目したキャリートレードによるペソ買いが強まりそうです。

 

今週のメキシコペソ/円の見通し

予想レンジ
7.850円~8.150円円
基調
底堅い

今週の注目ポイント
☆10/9 メキシコ9月CPI
・主要国株価、国際商品価格

 

メキシコペソ/円(MXN/JPY) FX為替レート・チャート

 
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株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。

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なぜ「最強通貨」メキシコペソは暴落したのか

ただ、購買力平価かい離率などを見ると、これまでの実績からしても、まだ「上がり過ぎ」の修正途上のように見える。極端なメキシコペソの割高が修正され、割安になったメキシコペソが買えるようになったという感じではなさそうだ。

メキシコペソ/円の購買力平価からのかい離率は、これまでは基本的に±2割の範囲を循環してきた。ところが、2022年頃からその範囲を大きく上抜けると、2024年に同かい離率は8割以上に拡大した(図表3参照)。これを見ると、誰もが「バブル」を懸念したのではないか。

高金利環境の継続はメキシコペソにとってプラス材料と捉えられますが、同時にこれまでの利下げが景気減速懸念の広がっていたメキシコ経済を下支えしてきた面もあるため、中銀の利下げが停止した際にはメキシコの景気鈍化がさらに進むかについても注目しておく必要があるでしょう。今回の金融政策決定会合に関しては結果だけでなく、声明文から中銀の経済・インフレ見通しについてもしっかりと確認しておきたいところです。

スワップポイントは、2カ国間の金利差によって発生し、金利差調整分とも呼ばれます。メキシコペソなど高金利通貨を買いで保有することで、スワップポイントを受け取ることができます。逆に売りで保有する場合は支払いが発生します。FX会社によってスワップポイントが異なるため、取引する際にはスプレッドだけではなく、スワップ水準もしっかりと比較することが重要です。

メキシコペソはメキシコで流通する通貨です。

そうであれば、メキシコペソ安トレンドと逆行する一時的なメキシコペソ反発は、52週MAを大きく越えられない程度の限定的なものにとどまる可能性が高いだろう。大幅な金利差ペソ優位は変わらないものの、相場の反発が限られ、むしろ継続的な下落リスクのある状況では、なかなか新たな買いのチャンスと位置づけるのは難しい、そのような状況が続く可能性が高いのではないだろうか。2025年の予想レンジは、5~8円。

メキシコペソ/円が一時7円割れまで下落する中で、過去1年の平均値である52週MAを大きく割れた。これは、経験的にはメキシコペソ/円の下落は一時的なものではなく、複数年継続的に展開する下落トレンドが展開している可能性が高いことを示すものだ(図表4参照)。

メキシコは2024年に政策金利を大きく引き下げたが、それでもまだ10%以上という水準は圧倒的な高金利の状況に変わりはない。そうであれば、これまでのメキシコペソの急落も、むしろ割安で高金利通貨のメキシコペソを買える状況になったとポジティブに考えられるのだろうか。

メキシコペソ相場の変動率は高い傾向にあり、1994年に発生した「メキシコ通貨危機」で暴落したことや原油価格の推移に振られやすいことを考えて資金管理をしましょう。経済データや原油価格、中銀のスタンスの変化を観察しながら取引する必要があります。

米ドル/円も2024年は7月の161円から9月にかけて一時140円割れまで最大で13%程度の急落となったが、メキシコペソ/円はその倍ほどの暴落となったのだ。なぜ「最強通貨」メキシコペソは暴落したのか。

これほどまでにメキシコペソが選好された理由の1つが高金利の魅力だろう。金融政策の目安になる政策金利は、メキシコの場合11.25%まで引き上げられた。2022年頃から歴史的インフレが展開する中で、日本以外では大幅な利上げが行われ、「世界一の経済大国」米国の政策金利も5.5%まで引き上げられたが、メキシコの政策金利は米国の倍以上になったわけだ(図表2参照)。

記録的な相場の値上がりに加え、大幅な金利差の優位により、メキシコペソ買いは投資家にとって、大きな利益をもたらす大人気の投資対象という状況がここ数年続いてきた。ところが、メキシコペソは対円では5月の9.4円がピークとなり、9月には一時7円割れまで、最大で26%程度の大暴落となった。

要するに、メキシコペソ/円は大幅な金利差ペソ優位と記録的な相場の値上がりという買いに圧倒的に有利な状況が長く続く中で、「バブル」状態になっていた可能性があったのだろう。そうした中で、すでに見てきた政治要因が「バブル破裂」のきっかけになったということではないか。

メキシコペソ/円は、2020年の「コロナ・ショック」で6円から4円割れ近くまで、約3割の暴落となった。ところが、それから一転上昇に転じると、2024年5月の9.4円まで上昇が続いた(図表1参照)。この間の最大上昇率は2.2倍。米ドル/円に例えるなら、「コロナ・ショック」で100円割れ寸前まで暴落したものの、その後の4年間で200円以上に上昇したことになるので、いかにすごい上昇相場が展開したのかが分かるだろう。

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