
3日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、9月米ISM非製造業指数が50.0と予想を下回ったことで147.10円まで下落した後、米長期金利の上昇を受けて147.54円付近まで持ち直した。ユーロドルは、9月米ISM非製造業指数の下振れを受けて1.1759ドルまで上昇した後、米長期金利の上昇で1.1727ドル付近まで下押しした。
本日の東京外国為替市場のドル円は、高市前経済安全保障担当相が第29代自民党総裁に選出されたことで、「アベノミクス」を踏襲すると思われる「サナエノミクス」による「高市トレード」(日本円売り・日本国債売り・日本株買い)の射程を見極めることになる。
早朝のオセアニア市場のドル円は、3日の高値147.82円を上回ってマドを空けて上放れており、9月26日の高値149.96円や8月1日の高値150.92円を目指す上昇トレンドが見込まれる。
しかしながら、ドル円の上値は、次期政権の政策の不透明感や米政府機関の閉鎖による米国の景況感悪化懸念、年内2回の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げ観測、トランプ米政権の日米貿易不均衡是正のための円安抑制などから限定的だと思われる。
高市次期自民党総裁は、財政政策に関しては、「責任ある積極財政」を標榜していたが、「責任ある」という言葉や連立の相手との兼ね合いで、 財政再建には留意すると思われる。
金融政策に関しては、「財政・金融政策の方向性を決める責任は政府にあるが、金融政策の手段は日銀が決めるべき」と述べていた。
為替政策に関しては、円安は企業収益に貢献する、として容認姿勢を示している。
すなわち、日銀の管轄とされている金融政策の「方向性」についても政府が決める、と述べていたことで、10月29-30日の日銀金融政策決定会合で60%程度の確率で織り込まれつつあった政策金利0.75%への引き上げが先送りされる可能性が高まっている。
本日は日銀支店長会議が開催され、14時には日銀地域経済報告(さくらレポート)が公表されることで、注目しておきたい。
また、8日には植田日銀総裁がパリ・ユーロプラス主催イベントに出席するため、高市自民党総裁誕生を受けた金融政策への言及にも注目しておきたい。
米政府機関の閉鎖による悪影響に関しては、オバマ政権(2013年:16日間)の時は、経済から24億ドルが失われ、2013年第4四半期のGDP成長率が年換算で0.6%減少した。
第一次トランプ政権(2018年12月22日~2019年1月25日:35日間)の時は、GDPが約110億ドル減少し、2018年10-12月期のGDPを前期比0.1%、2019年1-3月期のGDPを前期比0.2%と、それぞれ押し下げていた。
9月の米国雇用関連指標は以下の通りにやや改善傾向にあるが、今後も民間機関による数字を見極めて行くことになる。
(9月) (8月)〇改善 ●悪化
●ADP全国雇用者数: ▲32000人 ▲3000人
〇チャレンジャー人員削減予定数:5万4064人 8万5979人
〇ISM製造業雇用指数: 45.3 43.8
〇ISM非製造業雇用指数:47.2 46.5
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
市場概況 東京為替見通しドル円 高市トレード
高市総務相は自民党総裁選勝利後の記者会見で、日本経済が賃金と企業収益の上昇に支えられた需要主導型のインフレを達成できるよう、政府と中央銀行は緊密に協力しなければならないと語った。
週明けの株高効果が期待される「高市総裁」の誕生も、積極財政が日本の財政を悪化させる要因としてとらえられれば、日本国債が売られ、長期金利(10年物国債利回り)が上昇するというシナリオも否定できない。ブルームバーグによると、日本の長期金利は3日に一時、1.670%まで上昇し、2008年7月24日(1.683%)以来、17年2か月ぶりの高さを更新した。長期金利の上昇は株式の投資先としての魅力を相対的に低め、日経平均の割高感を強める材料といえるだけに、ご祝儀相場が長続きしない展開も考えられそうだ。
高市早苗氏の公約は、3候補の中で最も「積極財政派、安全保障重視、保守派」といえます。アベノミクス(故・安倍晋三前首相の経済政策)を引き継ぎ、防衛、半導体、宇宙、サイバーセキュリティー、核融合など戦略分野への投資拡大を掲げています。インフラ再整備を含めた公共投資による景気刺激も狙い「暮らしや未来への不安を夢と希望に変える政治を目指す」「日本をもう一度高い位置に押し上げる」と党員に分かりやすいアピールで差別化しているようにみえます。昨年から勢力を伸ばしている国民民主党の玉木雄一郎代表や榛葉賀津也幹事長が「高市氏の経済政策や安全保障政策はわが党と共通点が多い」と言及していることに注目です。
高市氏の「WLB捨てる」発言 過労死遺族は驚き「影響力考えて」
世界的な景気後退が深刻化し、主要市場(北米、アジア)での自動車販売が大幅に落ち込む。
高市早苗氏が当選する場合は「積極財政政権誕生に向けたポジティブサプライズ」となり、通称「高市トレード」(株式市場が一段高)で反応する可能性があります。リフレ政策期待と「日本初の女性首相」という刷新感が相まって投資家心理を向上させることに期待。建設・インフラ、防衛・重工業、AI/半導体・先端技術、エネルギー(電力やSMR・核融合開発関連)が注目業種となりそうです。
この計算により、感情に左右されず、常に一貫したリスク量で市場に臨むことができます。
自民党総裁選の直前には、故安倍晋三首相の景気刺激策「アベノミクス」の信奉者である高市氏の勝利を期待し、株ロング、日本国債(特に長期のもの)弱気という「高市トレード」が出現した。
「高市トレード」と「石破ショック」は一時的な現象と考えられるが、それらが解消された後には、日米金融政策の方向性の違いを映して、為替市場では緩やかな円高のトレンドが続き、それが株価の頭を抑えることが考えられる。しかしそれは、金融市場の混乱とは異なるものだ。
【緊急】自民党総裁選直前!高市氏・林氏・小泉氏、候補者別の日本株を予想!
神奈川県出身。1989年、日興証券投資信託委託(現・日興アセットマネジメント)に入社し運用調査部で経済調査、国際投資部でファンドマネージャーに従事。この間、約5年にわたり米国現地法人(ニューヨーク市)へ出向しチーフポートフォリオマネージャーを務めた。その後、シティバンク銀行や東海東京調査センターを経て、楽天証券経済研究所チーフグローバルストラテジストを歴任。2024年9月に独立し、米国市場動向の分析や投資教育の啓蒙に務めている。中央大学経済学部国際経済学科卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。著書に「入門 グローバル分散投資―これから始める資産運用50のとびら」(共著/東洋経済新報社)。
投資仮説: 円安進行と堅調な世界販売、特に利益率の高いHVの需要拡大が継続し、収益が市場予想を上回り続ける。為替が1ドル170円台で定着すれば、現在の株価は依然として割安圏と判断できる。
誤解されやすいポイント: EV(電気自動車)化の遅れが指摘されますが、現実には世界市場の大部分はまだ内燃機関とHVが主流であり、トヨタの「全方位戦略」は当面のキャッシュフロー創出において極めて合理的です。
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福岡フィナンシャル・グループのチーフ・ストラテジストで元日銀職員の佐々木融氏は、高市内閣は自民党議員の間で幅広い支持を得ており、日銀の金融政策に大きな影響を与えることができる、と語った。



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