S&P500 プロの予想「上値余地が限られる可能性。トレンドは“強気”を維持。」チャート分析 2025/10/6

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S&P500 プロの予想「上値余地が限られる可能性。トレンドは“強気”を維持。」チャート分析 2025/10/6

川合美智子氏S&P500レポート

【S&P500】上値余地が限られる可能性。

 直近の日足は、実体の小さい陰線引けとなり小幅続落して終えています。下げエネルギーの強いものではなく、また下値を切り上げる流れを維持しており、短期トレンドの崩れは認められません。週初の下値トライに失敗すれば上値トライの流れに戻す可能性も高いと見られますが、個々の足が強いものではないので急反発にも繋がり難いと見られます。また、上値トライに失敗して6,570-80の抵抗を下抜けて終えた場合は下値リスクがやや高くなります。6,500を割り込んで終えた場合は短期トレンドの変化に要注意。上値抵抗は、6,740-50,6,780-90,6,810-20に、下値抵抗は6,700-10,6,670-80,6,640-50,6,600-10,6,570-80にあります。

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SP500 プロの予想 上値余地が限られる可能性

なお2023年繰り広げられた米アクティビストファンドValueAct社とのプロキシーファイト(委任状争奪戦)のなかで、セブン&アイ・ホールディングス経営陣はSpeedway社買収以降に同社株のEV/EBITDA倍率(買収にかかるコストを何年で回収できるかを⽰す値)が上がったことを引き合いに出し、「株式市場からの評価があがっている」と発表していますが、これは誤った主張だと考えます。EV(Enterprise Value)は企業価値と呼ばれ、株式時価総額とネット有利子負債の合計であり、EBITDAは税前・利払い前・償却前利益を表します。当ファンドの見解では、同倍率の上昇は同社がSpeedway社買収のために多額の有利子負債を調達し、分子であるEVが大きく増えたことで倍率が押し上げられたのが主な要因と考えます。上述のように実質的なPERでみた評価は12倍弱に過ぎず、むしろ2005年の同社持株会社発足当時から一貫して評価が切り下がっているのです。当ファンドでは、この事実をセブン&アイ・ホールディングス社との面談時に株主の1社として伝えています。

当ファンドの投資戦略である「魅力的なビジネスと卓越した経営陣を併せ持つ企業を安く買う」は、企業が生み出す利益(キャッシュフロー)をビジネスに再投資することで更なる価値を生むという本源的価値の増大プロセスに着目します。そのため当ファンドでは参入障壁が高く資本収益性に優れたビジネスを展開し、平均を上回る成長性を持つと考えられる企業を選好します。株式投資の王道ともいえるこのアプローチは、米国の著名投資家であるウォーレン・バフェット氏の投資方法にも共通するものです。しかし、バフェット氏が投資するような業種やビジネスモデルに似た日本企業に投資しても成功するとは限りません。日本で同アプローチを実践するには、日本特有の国民性、企業文化の理解が必要であるためです。そこで当月は株式投資の視点から気づく「ここが違うよ日本」、「ここが変だよ日本」、や「ここが凄いよ日本」などについてお話しようと思います。

2024年5月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.16%上昇し、日経平均株価も前月末比で0.21%上昇しました。 当月の日本株式市場は、月前半は4月の米国雇用者数が市場予想を下回り、米利下げ観測が強まったことから日米株式市場ともに上昇しましたが、日銀の金融政策正常化観測などから上値が抑えられました。月半ばには米消費者物価指数や米小売売上高など予想を下回る指標が発表され、金融引き締めの長期化への懸念が後退しました。その結果、米国の主要3株価指数が史上最高値を更新し、日経平均株価も一時39,000円を回復しました。さらに、NVIDIA社(米国)が市場予想を上回る好決算を発表し、半導体株が軒並み上昇して相場を支えました。月後半は、米景気の底堅さを背景とする利下げ動向への懸念や、日銀総裁の追加金融引き締めを示唆する講演が再び注目されて日米長期金利の上昇により株価が下落しましたが、最終的には金利上昇がひとまず一服したとの見方が買い戻しにつながり、前月末を上回る水準で月を終えました。

... 金利上昇で利回り商品としての個人向け社債に注目が集まっている。社債はNISA(少額投資非課税制度)の対象ではなく、これまで投資する層は限られていたが、発行額の増加もあって徐々に裾野が広がりつつある。株主優待に似た優待制度を新設するなど、企業も新たな手法で個人投資家にアプローチしている。 26分で...

前者は連続性のある成長を期待しているのに対し、後者は非連続的な成長を期待していることになります。当然、過去の実績が安定している企業のほうが、市場参加者も将来予想をしやすく、株価にも反映されやすいという特徴があります。このため通常の相場環境下では株価が極端な割安水準にはなりません。よって、「妥当な株価で買う」ことを目指します。 一方、過去の実績が安定していない、もしくは社歴が浅い企業は、良くも悪くも将来の予測がつきにくい特徴を持ちます。当然、予想が外れて業績が悪化すれば、株価は急落するリスクを孕んでいます。そこで、過去の延長で将来を予想することが難しい企業の場合は、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が出来るだけ低い水準で買うことで同リスクを軽減しようと考えます。 どちらも将来の不確実性に備えた賢明なアプローチですが、当ファンドはどちらかというと前者のスタイルです。 過去の実績を調べることで、長年にわたって競争優位性を維持しながら成長を続けているか?そして今日においても同様に強固なポジションを維持し、当該企業にとってネガティブとなる業界構造変化が近い将来予想されるのか?そして将来にむけて、ある程度予測可能な業界の成長性があるか否か?これが、当ファンドの企業調査における典型的な着眼点です。

仮に今後、米国発の政策・地政学不確実性が再燃し当時と同等の乖離に達し、回帰直線からの上方乖離が過去最大となる+1,199ドルになったと仮定すると、原稿執筆時点の「株価に対応する回帰直線上の水準」は2,947ドルであるため上値の目処は4,146ドルとなる。ここまで上昇するには、米政権が中央銀行の中立性を毀損したり、関税が違憲とされて米財政の悪化懸念が意識されたり、中東・宇露の地政学的リスクが悪化するなどの材料が顕在化する必要があるが、これらのイベントリスクは発生の有無が明示できないため、その不安があるだけでも価格の押し上げ要因となる。一方、米関税問題の影響が見えてくる(管理可能な状態になる)や地政学リスクが沈静化すれば反落も予想されるが、回帰線水準の2,950ドルを明確に割り込むには追加の弱材料が必要になると考える。

4)定量的な情報よりも定性的な情報 当ファンドは、定量的情報だけに依存せず、定性的情報も十分に加味します。もしくは定性的情報をより重視したうえで投資判断するように心がけています。財務データのような定量的情報は、市場参加者の誰もが同じデータを入手できます。一方、定性的な分析は、解釈が分かれやすく、情報として他人への伝達がされにくいという特徴があります。このため市場参加者は定量的情報をもとに投資行動をとる傾向が強く、定性的情報をもとに投資行動に移そうとする人は少ないように見受けられます。定量的情報の例としては「この会社のROE(株主資本利益率)は20%を維持し続けている」や「この会社は売上成長率10%を過去10年続けている」などが挙げられます。一方、「この会社の経営陣は質が高い」や「この会社の企業カルチャーは強い」などは定性的情報の典型です。当ファンドでは「この会社は、今は業績が悪いが、社長のリーダーシップ能力が高いので、将来は高成長が見込める」という理由で投資に踏み切ることも珍しくありません。これも差別化されたポートフォリオを構築するため必要不可欠なアプローチだと考えます。

以上のように課題・問題点はありますが、今後が期待できる部分も数多くあります。 まず注目すべきは米国コンビニ事業です。同社開示資料によると、米国でのコンビニ総店舗数は2020年12月末時点で15万店程度ですが、Speedway社の買収によって同社は合計約1.3万店を抱える圧倒的なプレーヤー(市場シェア約10%)になりました。日本のコンビニ業界はセブン-イレブン、㈱ファミリーマート、㈱ローソンの3社で既に寡占状態にありますが、米国では上位10社でも占有率はまだ2割程度しかありません。米国コンビニ市場の潜在規模は非常に大きいと考えられるため、同社が市場シェアを引き上げることで多くの利益をもたらすことが考えられます。長期的にはEV(電気自動車)の普及に伴いコンビニに併設されているガソリンスタンド事業の先行きが懸念されますが、店舗におけるオリジナルのフレッシュフード商品やプライベートブランド商品の売上拡充により十分カバーできると考えられます。また米国における2022年のEVの新車販売割合は6.7%に留まり、ガソリン需要は当分の間なくならないでしょう。需要が構造的な減少トレンドに入ったとしても、新たなガソリン事業者の参入やガソリンスタンドの新規設置もみられないことから、同社のような業界大手は残存者メリットを享受することも見込まれます。そして、ガソリン事業が業界全体として衰退傾向になれば、ガソリンスタンド併設型コンビニエンスストア事業者の6割強を占める零細プレーヤーが立ち行かなくなり、身売りするオーナーが続出することが想定されます。同社にとってはそのような事業者を買収し、業界再編・コンビニ事業拡大を加速させる絶好のチャンスとなるでしょう。 一方、国内コンビニ事業は成長の頭打ちが心配材料ですが、同社は絶え間ない既存店のレイアウト改善や、ネットコンビニ分野でのデリバリーサービスの拡充などに取り組んでいます。海外からの訪日客が回復すれば、同社売上にも寄与するでしょう。足元の円安は米国事業の拡大をもたらすだけでなく、訪日客増加を誘引するきっかけにもなると考えられます。さらに上述のように海外コンビニ事業拡大のアクセルを踏むことで、国内利益は相対的に小さくなっていくことが予想されるため、懸念も少しずつ和らぐと考えます。だからこそ、コンビニ事業に経営資源を集中し、今以上に海外出店ペースをあげていくことが望まれます。 同社株価バリュエーションに話を移すと、現在の株価は割安な水準にあると考えます。例えば日本の会計基準を採用している同社では、Speedway社買収に伴うのれん償却費が年間1,000億円以上に上るため、通常EPS(1株当たり純利益)(同社2023年度予想322.68円)とのれん償却前EPS(同450.06円)の間には4割程度の開きがあります。のれん償却は現金支出を伴わない費用項目であることから当ファンドでは後者のEPSを使用すべきと考えており、実質的なPERは13.8倍程度と東証株価指数の平均を下回っています。 EV/EBITDAでみるとどうでしょう。前述のとおり、買収による借入金が増えたことで、現在のEV/EBITDAは約8倍弱になりましたが、それでも同業他社で米国2番手プレーヤであるAlimentation Couche-Tard社(カナダ)と比較すると割安な水準にあります。なおセブン&アイ・ホールディングスは2023年2月期より在外子会社の会計基準を変更しており、オペレーティングリース債務はバランスシート上に負債計上されるようになりました。これに伴い、全額費用計上されていたオペレーティングリース料が、支払利息と減価償却にわけて損益計算書上に反映されることになり、2023年2月期実績EBITDAは新たに追加された減価償却費分の推定800億円程度が前年度に比べて「かさ上げ」されていると考えられます。しかし、このような会計要因を排除しても、同社が同業他社よりディスカウントされているのは変わらないと考えられます。 フリーキャッシュフローでみた場合は、2022年度の営業キャッシュフローは9,284億円、投資活動に伴う支出は4,132億円、よってフリーキャッシュフローは5,152億円となり、フリーキャッシュフロー利回りは9.4%程度(フリーキャッシュフロー/時価総額)です。これは国内リスクフリーレートを大幅に上回る水準です。また仮に、営業キャッシュフローから㈱セブン銀行に関わる預金やコールマネーなどの資金流入を営業キャッシュフローから差し引いたとしても、フリーキャッシュフローは4,000億円を優に超えており、控えめにみても同社株価に割高感は認められないと考えます。なお、同社が開示している2025年度のフリーキャッシュフロー目標(除く金融)は5,000億円以上であり、十分に達成可能な水準と考えます。 最後に、冒頭のプロキシーファイトは会社側の勝利で終わりましたが、取締役の再任議案に関しては昨年までの90%以上の賛成比率が今回は約65%~約76%まで低下しました。現経営陣は今回の件をきっかけに、株式市場から従来にも増して厳しい目で業績が評価されることになるでしょう。ValueAct社にしてみれば、プロキシーファイトで敗れはしたものの、一定の成果は残したと言えそうです。

オリックスには他にも中期的に訪日客の恩恵を受けるビジネスが立ち上がる計画があります。いわゆる大阪IR(Integrated Resort/統合型リゾート)の開発です。日本では初となる本格的なカジノ施設を目玉とし、高級ホテル、娯楽施設、国際会議場、ショッピングモールを網羅した一大リゾートプロジェクトとして2030年頃の大阪夢洲において開業を目指しています。オリックスは開発主体である大阪IR社に約43%出資しています。シンガポールのMarina Bay Sands、マカオのCotai Stripや米ラスベガスの成功にみられたように、外国人客を惹きつける観光資源として注目されています。同社とMGM Resorts International社(米国)が中心になり、プロジェクト全体で計画されている1兆円クラスの投資は海外に匹敵するスケールです。まだ最終的な投資金額や建設スケジュールなど流動的なところが多いですが、リスク・リターンをしっかり考えて立ち上げに成功すれば同社株の魅力はさらに増すと思われます。

2022年4月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比2.40%の下落となりました。 当月の日本株式市場は、堅調な米雇用統計や新年度入りに伴う新規の資金流入期待から上昇で始まりました。しかしその後、金融引き締めに慎重なハト派で知られるFRB(米国連邦準備制度理事会)のブレイナード理事が強い金融引き締め姿勢を見せたことで、米長期金利が大幅に上昇し、半導体株など中心に下落しました。 月半ばには、円安ドル高が進行したことで、輸出関連株中心に株価は堅調に推移したものの、FRBの更なる金融引き締めスタンスや、中国都市封鎖の長期化が嫌気され、上値は限られました。 月後半には、米長期金利上昇の一服感や好決算を発表した銘柄への物色が支えとなり、株価が上昇する局面もありました。しかし、引き続き米中経済の不透明感を懸念する売りも出て一進一退の展開となり、最終的に前月末を下回る水準で月を終えました。

以上のように日本人は欧米からみて良くも悪くも文化や国民性がかなり特異です。加えて言葉の壁もあります。だからこそ日本株への投資で成功する際には、日本人の特徴をしっかりと理解したアプローチが必要です。とくに外国人投資家の参加率が高い日本株式市場では、こういった日本ならでは特異性を知りつつ、欧米資本主義的な視点で企業分析できるアクティブ運用者は銘柄選択において大きな競争優位性になると考えます。 アクティブ運用対パッシブ運用の対決では世界的にアクティブ運用の存在価値の低下が言われて久しいです。しかし日本に限って言うと、まだまだ当ファンドのようなアクティブ運用が活躍できる余地が多分にあると考えます。その理由は、まさに日本の特異性にあるのではないでしょうか。日本の株式市場では株価のミスプライシングが発生しやすく、統計上の「市場の効率性」が低くなっています。モーニングスター・ジャパン㈱が2024年1月末時点で集計した内容によると、10年間の運用成績がTOPIX(配当込み)を上回ったアクティブ型大型株投信の割合は約32%、期間が3年間と5年間の場合はそれぞれ約32%、約40%でした。これは同割合が1割を大きく下回る米国に比べて格段に高い数値です(つまり日本株市場はアクティブ運用が市場平均を上回れる余地が大きい)。日本株に投資するのであれば、パッシブ(ETF)ではなくアクティブ運用を通じて行うほうが有効であると当ファンドが考える理由はまさにここにあります。

... 外国為替証拠金取引(FX)を手がける個人の進化が止まらない。単なる相場観で方向性を当てに行くトレードではなく、プロ顔負けの多様な「アービトラージ(裁定取引)」を駆使することで手堅く収益を積み上げる手法が広がっている。「胴元」にあたるFX業者を出し抜くケースもあるという。一体どんな手法を用いているのか...

2025年2月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比3.79%の下落、日経平均株価は同6.11%の下落となりました。当月の日本株式市場は、トランプ米大統領の関税政策に関する言動に振り回され、月後半にかけて大幅な下落となりました。 月前半にトランプ米大統領がメキシコ、カナダ、中国に対する追加関税の検討を表明したことを受けて日本株式市場は急落しましたが、その後メキシコとカナダの関税発効が延期され株式市場は一時的に回復しました。しかし、複数の米国経済指標の結果からスタグフレーション(景気の後退と物価の上昇が同時進行する経済状況)懸念が再浮上する中で投資家は慎重な姿勢を保ち、日本株式市場も方向感のない、上値の重い相場が続きました。 月後半には、日銀の追加利上げ観測が高まり国内長期金利は一時約15年ぶりの高水準まで上昇しました。また、米国の消費者信頼感指数や購買担当者景気指数(PMI)が予想を下回る結果となり、米国経済の先行きに対する懸念が強まりました。これを受けて、為替市場では円高ドル安が進行し、日本株式市場の重石となりました。さらに、トランプ米政権による対中半導体規制強化の観測や、米国ハイテク株の下落、米国の関税政策を巡る不透明感などが影響し、日本株式市場は大幅に下落し当月の取引を終えました。

AI全般の見方 これら基調トレンドから言えるのは、少なくともAIの実用性については「本物である」ということではないでしょうか。たしかにAIインフラ整備の面では過剰投資(バブル)の懸念が残ります。しかし例えばFacebookで有名なMeta Platforms社(米国)はAIを駆使することで、既存事業の成長を加速させています。主力のSNS事業において広告配信や広告作成(クリエーティブ分野)の自動化を進めていることが要因です。一方、ソフトウェア業界全体では、コーディング業務などがAIに代替されることによってプログラマー人員の適正化(=削減)が行われつつあるのも、AI投資が着実に経済的成果を生み始めている証左です。

後工程装置: 半導体製造装置メーカー達はおおまかに、製造工程の前半部分(ウェーハに回路をつくる工程)で使われる装置を手掛けている前工程メーカー(AMAT社、Lam Research社、ASML社、㈱SCREENホールディングス、㈱Kokusai Electricなど)と後半部分(回路のできあがったウェーハを切り分けてパッケージングする工程)を手掛ける後工程メーカー(㈱アドバンテスト、Teradyne社(米国)、㈱ディスコなど)に棲み分けがされています。東京エレクトロンは前工程装置メーカーといえますが、近年は後工程分野でも着実に存在感を高めています。例えば2010年代初頭には、横河電機㈱がテスタ事業から撤退した際に多数のエンジニアを受け入れ、フラッシュメモリ用BISTテスタ事業を立ち上げました。現在では同テスタと一体化したウェーハプローバの拡販で㈱東京精密からトップの地位を奪っています。 他にも最近ではAIサーバーに使われるメモリ半導体であるHBM(High Bandwidth Memory)向けにウェーハ積層工程で必要となる貼り合わせ装置や、ウェーハを薄く加工する際に物理的ダメージを回避しながら極薄化できるレーザートリミング装置などの新製品投入を進めています。過去数十年続いた「ムーアの法則(半導体集積回路の集積率は18ヵ月から24ヵ月で倍増するというもの)」に基づく微細化トレンド(前工程分野の技術進展)が限界に近付いていると言われるなか、今後半導体の更なる進化には、デザイン設計段階での工夫(*)や、後工程に相当する積層化やパッケージ工程で集積度を上げていくことが重要になってきています。このようにモノづくりの付加価値が前工程から他分野に移っていく事業環境に対して東京エレクトロンはしっかり対応できていると考えます。

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