【市場概況】東京為替見通し=ドル円、「高市トレード」による円安の射程を模索する展開か

【市場概況】東京為替見通し=ドル円、「高市トレード」による円安の射程を模索する展開か

6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧州市場で150.48円の高値をつけた。その後、新自民党総裁となった高市氏の経済ブレーンの1人が「1ドル=150円を超えたら、やや行き過ぎだろう」と述べたことで、149.75円付近まで反落。ただ一巡後は、150.40円付近まで持ち直した。ユーロドルは、欧州市場でルコルニュ仏首相の辞任が伝わりフランスの政情不安定化への警戒感が再燃したことで1.1652ドルまで下落後、1.1721ドル付近まで下げ渋った。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、引き続き高市新自民党総裁の経済政策「サナエノミクス」への思惑による「高市トレード」(日本円売り・日本国債売り・日本株買い)の射程を見極める展開となる。

 デフレ脱却を標榜していた「アベノミクス」を継承すると思われる「サナエノミクス」は円売り要因だが、現状は輸入インフレによる物価高抑制が喫緊の課題であるため、「サナエノミクス2.0」として、過度な円安に対しては歯止めをかける可能性には留意しておきたい。

 昨日は、高市自民党総裁の経済ブレーンの1人である本田元内閣官房参与が、日銀の利上げ時期に関して、今月の金融政策決定会合は難しいものの、12月会合の可能性はあるとの見解を示した。また円安は一般論として日本経済のサポート要因になるものの、過度な進行は物価を高止まりさせてしまうとし、「円安が150円を超えたら、やや行き過ぎだろう」との認識を示した。

 また副総裁への就任が予想されている麻生自民党最高顧問は、戦後最長の財務相時代には過度な財政拡張に否定的だったことも、「責任ある積極財政」による円安抑制の可能性に留意しておきたい。

 昨日のドル円は、24時間取引の外国為替市場では稀な今年初めての「窓」が出現して150.48円まで上昇した。今後は窓(3日高値147.82円と6日安値149.05円:1.23円幅)を支持帯として念頭に置き、酒田罫線での「三空踏み上げ」相場となる出発点(breakaway gap)なのか、それとも失速して窓埋めになるのかを見極めていくことになる。

 ドル円のテクニカル的な上値の目処は、161.95円(2024/7/3高値)から158.87円(1/10高値)を経由する上値抵抗線と139.89円(4/22安値)と148.65円(5/12高値)の値幅が形成中の「フラッグ」の上限との交差点154円処となる。

 ドル円の上値を抑制する要因としては、日米貿易不均衡の是正を目論んでいるトランプ米政権による円安抑制が挙げられる。

 トランプ米大統領は今月27日に来日する予定となっており、15日に新首相に指名される予定の高市自民党総裁との日米首脳会談に臨むことになる。トランプ米大統領は「アメリカ第一主義」、高市自民党総裁は「日本第一主義」を標榜していることで、親和性は高いと思われる。しかしながら、トランプ米政権の対日政策の重要課題は、日米貿易不均衡の是正であるため、円安抑制が喫緊の課題となるのではないだろうか。

(山下)

・提供 DZHフィナンシャルリサーチ

[紹介元] 外為どっとコム マネ育チャンネル 【市場概況】東京為替見通し=ドル円、「高市トレード」による円安の射程を模索する展開か

市場概況 東京為替見通しドル円 高市トレード

東京:財政のハト派である高市早苗氏が土曜日に与党の党首に選出され、首相になる可能性が高まったことで、日本株は為替や債券が急落する中でも、記録を更新し続けることが予想される。

1987年に野村総合研究所に入社後、経済研究部・日本経済調査室(東京)に配属され、それ以降、エコノミストとして職歴を重ねた。1990年に野村総合研究所ドイツ(フランクフルト)、1996年には野村総合研究所アメリカ(ニューヨーク)で欧米の経済分析を担当。2004年に野村證券に転籍し、2007年に経済調査部長兼チーフエコノミストとして、グローバルリサーチ体制下で日本経済予測を担当。2012年に内閣の任命により、日本銀行の最高意思決定機関である政策委員会の審議委員に就任し、金融政策及びその他の業務を5年間担った。2017年7月より現職。

ただ、世界の金融市場のムードには重苦しさも漂う。米国で1日から始まった政府機関一部閉鎖が大きな不確定要素となっているからだ。すでに3日に予定されていた9月雇用統計などの経済指標の公表が見送られており、政府機関閉鎖が長期化して、連邦準備制度理事会(FRB)が経済の動向を判断する材料が不足する懸念も出てきた。この場合は、株式市場が待ち望むFRBの利下げが遠のく可能性もある。米国株式市場ではS&P500種株価指数(SPX)が2日と3日の連続でほぼ横ばいの値動きとなり、週明けの日経平均の上昇にとってのマイナス要素となりかねない。

週明けの株高効果が期待される「高市総裁」の誕生も、積極財政が日本の財政を悪化させる要因としてとらえられれば、日本国債が売られ、長期金利(10年物国債利回り)が上昇するというシナリオも否定できない。ブルームバーグによると、日本の長期金利は3日に一時、1.670%まで上昇し、2008年7月24日(1.683%)以来、17年2か月ぶりの高さを更新した。長期金利の上昇は株式の投資先としての魅力を相対的に低め、日経平均の割高感を強める材料といえるだけに、ご祝儀相場が長続きしない展開も考えられそうだ。

また、高市氏は1年前の総裁選に際して日本銀行の金融政策について「金利を今、上げるのはアホやと思う」と述べて利上げを牽制したイメージが強く、週明け6日以降のドル円相場(USD/JPY)で円安が進み、日経平均の上昇が後押しされる展開も考えられる。高市氏は今回の選挙戦では金融政策の手段は日銀が決めるとしつつも、総裁選勝利後の4日の記者会見では需要増大が物価上昇を引っ張る「デマンドプル」型の物価上昇を目指すべきだとの立場を強調。日銀が利上げで需要を抑え込むことに慎重な立場ものぞかせた。

日本国債市場は、伝統的な買い手からの需要の減退、中央銀行からの支援の減少、膨れ上がる債務への懸念のため、5月下旬から緊張状態にある。

「高市氏は日銀の利上げを難しくするだろうから、利回りは下がるだろう。しかし同時に、高市総裁は支出を拡大する可能性が高く、これは債券にとってはマイナスだ。イールドカーブのスティープ化は起こりうる反応だ」

自民党総裁選の直前には、故安倍晋三首相の景気刺激策「アベノミクス」の信奉者である高市氏の勝利を期待し、株ロング、日本国債(特に長期のもの)弱気という「高市トレード」が出現した。

高市氏(64歳)は、タカ派的な石破茂首相の後任として自民党内で争われた5人の候補者の中で、最も拡張的な財政・金融政策を持っていると考えられていた。

また日経平均の週明け6日の取引では、自民党総裁選の結果も追い風として意識される可能性がある。自民党総裁に決まった高市氏は「責任ある積極財政」を掲げ、赤字国債増発も「やむを得ない」とする立場。株式市場で歳出拡大による経済活動の刺激が連想されれば、4万6000円台に向けた日経平均の上昇に拍車がかかりそうだ。

「石破ショック」の実態は、この「高市トレード」の巻き戻しである。週明け後の30日(月)の東京市場では、現物の株価指数は大幅安で始まるだろうが、金融市場の混乱は一時的なものであり、早晩、落ち着きを取り戻すことが予想される。

「高市トレード」と「石破ショック」は一時的な現象と考えられるが、それらが解消された後には、日米金融政策の方向性の違いを映して、為替市場では緩やかな円高のトレンドが続き、それが株価の頭を抑えることが考えられる。しかしそれは、金融市場の混乱とは異なるものだ。

高市総務相は自民党総裁選勝利後の記者会見で、日本経済が賃金と企業収益の上昇に支えられた需要主導型のインフレを達成できるよう、政府と中央銀行は緊密に協力しなければならないと語った。

海外市場では、金融政策を巡って石破氏が「タカ派」との認識も広まっている。確かに石破氏は、日本銀行の利上げを支持してきた。しかしそれは、高市氏を除く他の総裁選候補者も同じであり、特に「タカ派」色が強いというわけではないだろう。日本銀行が追加利上げを実施する中、円安修正が進み、それが物価高傾向を緩和させるという効果を期待しているとみられる。

福岡フィナンシャル・グループのチーフ・ストラテジストで元日銀職員の佐々木融氏は、高市内閣は自民党議員の間で幅広い支持を得ており、日銀の金融政策に大きな影響を与えることができる、と語った。

コメント

` this.fetchProxy(url, options, 0).then( res => res.json() ).then( data => { if (data.body) this.srcdoc = data.body.replace(/]*)>/i, `
タイトルとURLをコピーしました