シャープ「鴻海流改革」の功罪

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シャープ「鴻海流改革」の功罪
[紹介元] Yahoo!ニュース・トピックス – 経済 シャープ「鴻海流改革」の功罪

東証1部復帰こそシャープ復活を内外に示すことになる

シャープでは引き続き、経営の効率化を進めていく方針だ。しかし考えてみると、シャープで変わったのは、経営トップと経営手法だけであり、人員は大きくは変わっていない。

次に昨年5月の15年度決算発表の時点で、シャープが現在進めている構造改革の概要を発表した。具体的には、①経営資源の最適化、②責任ある事業推進体制、③成果に報いる人事制度の3つ。根底にあるのは鴻海流の経営の効率化である。①経営資源の最適化には、堺事業所への本社移転など大きな変化となるものもあったが、シャープは戴社長就任前からこれらを着々と実行し、事業基盤の整備を進めてきた。

昨年4月の提携発表時に、郭台銘・鴻海会長は、シャープの黒字化について「2~4年後」と語っていたが、当初の想定をはるかに上回るペースとなる。

これらの施策を説明した上で、呉社長兼CEOは、「デバイス事業は、大きな変化があり、戸惑いもあると思う。だが、シャープが大切にしてきた『将来に渡って事業成長を実現し、社員の雇用の安定やキャリアアップにつなげる』という会社の姿勢に変わりはない。今回のアセットライト化についても、この考えを基本にして、実行に移していく」と述べ、さらに、「私は、シャープの強みである『デバイス事業とブランド事業が互いに切磋琢磨するとともに、協力し合う関係』を、今後も継続していきたいと考えている。これを念頭に、さまざまな組み手や、協業の形を検討し、スピード感をもって具体化していく」と語った。

こうした状況から、提携発表時に、このスキームを郭会長は「投資」と表現し、髙橋興三・シャープ前社長は「戦略的提携」と語るなど、鴻海からシャープへの一定の配慮は見て取れた。

また、「ブランド事業は、投資が制限されるなかでも堅実な業績を上げてきた。しかし、事業拡大投資やブランド投資、新分野への投資など、将来の成長に向けた打ち手が不十分であり、期待値ほどの成果をあげることができていない。この結果、全社のキャッシュ創出力が向上せず、『負のサイクル』に陥ってしまったことが、シャープの成長が長年足踏みしている真因である。将来の飛躍には、このサイクルから早期に脱却し、持続可能な収益構造を確立することが不可欠である」と述べた。

最初に、2023年度決算について説明。「2023年度の売上高は減収。営業利益と経常利益は、SDPに加えて、シャープディスプレイテクノロジー(SDTC)も需要低迷の影響を受け、業績が大きく下振れした結果、ディスプレイデバイス全体で大幅な赤字となり、全社でも赤字になった。さらに、最終利益は、ディスプレイデバイス関連で大きな減損損失を計上したことから、2期連続での大幅赤字になった」と報告した。

鴻海による買収の過程で、大阪・西田辺から堺市に移ったシャープ本社。午前8時の会議の前に、本社と同じ敷地内にある神社から、かし...

鴻海グループによるマネジメントの構造改革、徹底的なコストカットで成し得たシャープの改革の裏には、従業員や旧経営陣に痛みを強いたもののように見えるでしょう。実際、2016年11月には、日本の終身雇用制度では考えられないようなマネージャーの降格制度を導入するなど、年功序列ではない「成果に報いる人事制度」という信賞必罰をうたった制度を取り入れています。こうした人事は、鴻海グループの厳しさを示すものといえるでしょうが、それにも理由があります。

まず昨年4月の提携発表直後に、堺ディスプレイプロダクツ(SDP)会長だった野村勝明氏をシャープ副社長に据える人事を発表。SDPはシャープの堺工場の事業会社で、郭会長の投資会社とシャープとの共同運営となっている。野村氏はそこで鴻海流の経営手法を経験し、なおかつ実績を上げていた。その野村氏を日本人トップのポジションに据えることで、鴻海側の強いコミットメントを示す姿勢が感じられた。

16年度の業績改善にめどを付けたことから、戴社長は5月にも東証1部復帰の申請プロセスに入るという。東証1部復帰こそシャープ復活を内外に示すことになる。当初は18年度までに1部復帰を目指す方針としていたが、これを早めたい考えだ。確実に1部復帰承認を得るために、納得感を得られる成長シナリオを打ち出していく必要がある。

さらに、シャープセンシングテクノロジー(SSTC)およびシャープ福山レーザー(SFL)を、事業譲渡する方針を明確にした。今後、鴻海グループなどとの具体的な協議を進め、事業と親和性が高く、両社のさらなる成長に資するパートナーに事業を譲渡することになるという。

急速な業績改善の背景には、鴻海流の徹底的なコストカットがありました。シャープの社長に就任した戴正呉氏は、シャープの社風や体制について「金持ちの息子のよう」「技術はあったが、マネジメントが悪かった」と厳しく批判。社長決裁が必要となる投資額を300万円まで引き下げ、投資内容を社長自らがチェックすることで投資の無駄を排除しました。またコストの面でも、原材料調達のみならず、オフィスの賃貸料などの細かな点に至るまで徹底的に見直すというコストカットを進めました。

そしてコストカットの効果が生まれたことにより、シャープの改革は次のステージである事業拡大へ移ろうとしています。2017年5月に発表された「2017~2019年度中期経営計画」では、2019年度の全社目標を売上高3兆2,500億円、営業利益を1,500億円に設定。住宅向けのスマートホーム、オフィスや工場などに向けたスマートビジネスソリューション、ディスプレイを中心としたアドバンスディスプレイシステム、そしてIoTエレクトロデバイスという4つの事業ドメインを設定し、それぞれの拡大を目指すことを発表したのです。

呉社長兼CEOは、「今回の決算がこのような結果になった最大の要因は、ディスプレイデバイスの不振だが、シャープの今後の成長を見据えると、過去から長年抱えている構造的課題がある」と指摘。「デバイス事業は、その事業特性から、毎期、大きな投資が不可欠だが、長い間、技術や工場投資が十分に行えず、徐々に競争力が低下し、これにより新たなカテゴリーや顧客など、成長分野の開拓が進まず、結果として、市場の変化の影響を受けやすい事業構造に陥っている」と反省した。

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