
東京市場は堅調か。米国株はまちまち。ダウ平均が下落した一方、S&P500とナスダックが上昇した。ダウ平均は1ドル安の46601ドルで取引を終えた。200ドル超上昇する場面はあったが、政府閉鎖の長期化懸念がくすぶる中、終盤にかけては値を消した。エヌビディアのジェンスン・フアンCEOが半導体の需要増加について言及したことを受けて半導体株に強い買いが入っており、ナスダックは1%を超える上昇となっている。ドル円は足元152円60銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが365円高の48125円、ドル建てが455円高の48215円で取引を終えた。
ダウ平均は下げたといっても横ばい程度で、ナスダックは強い上昇となっていることから、日本株にはプラスの影響が及ぶと予想する。米国動向から半導体株が上昇の先導役になると見込まれる。CME225先物は高寄りを示唆しており、ドル円は円安傾向が続いている。場中は売りを出しづらい地合いが醸成されることで、強い基調が続くだろう。日経平均の予想レンジは47900-48400円。
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し 今日の株式見通し堅調か 米国では半導体株が強く買われる
業種指数では、大手テクノロジー株の寄与が大きい、コミュニケーションサービス、情報技術、一般消費財・サービスが市場平均を上回って相場上昇をけん引しました。中東情勢の落ち着きからエネルギーが下落しました。個別銘柄で騰落率トップのナイキ B(NKE)は、6-8月期売上見通しが前年同期比「1桁台半ば」の減少率になるとしましたが、市場では想定したほど落ち込まず最悪期を脱したのではないかとの見方が強まりました。ヒルCEOは、「今後の回復に向けた明確な道筋が見えてきた」「ここから業績は改善していく。次の段階に進む時だ」と述べました。
●米国の25年の実質GDP成長率見通しを+1.7%、26年を+1.5%へ修正しました。4‐6月期は、相互関税導入前の駆け込み輸入の反動で輸入が減少する見込みで、GDP成長率の回復が予想されます。中国がレアアースの輸出を再開すれば、米国は対抗策の半導体設計ソフトやジェットエンジン部品等の輸出規制を緩めることで合意した模様で、生産の落ち込みによる7‐9月期の大幅な景気下振れは避けられそうです。関税上昇分は輸入元の値下げや米国企業の利益圧縮で吸収される部分を除くと、今後小売価格に転嫁される見込みですが、今のところ影響は軽微のようです。
●米中が相互関税を引き下げたため、懸念されていた関税による米国経済の下振れ不安は和らいでいます。しかし、関税による物価上昇にはタイムラグがあると見られ、FRBも繰り返し経済指標の確認に時間をかける方針を表明しているため、利下げは25年10月、12月になると予想します。●中東危機がホルムズ海峡封鎖につながれば、LNGを中心とするエネルギー供給制約や物価上昇を通じた経済への影響が大きくなります。米国との関税交渉も続いています。ECBは情勢を見極めた後、9月に利下げを実施すると予想します。足元のユーロ高が物価抑制に貢献すると期待しています。●日銀は日本経済の腰折れを回避しつつ、金融の正常化を続ける見通しです。弊社は、次回の利上げ時期を26年4月とみています。
TOPIX構成銘柄のうち、上方修正された銘柄は511社に対し、下方修正銘された銘柄は519社とほぼ拮抗でした。上方修正が1社のみだったエネルギー資源の項目を除くと、電力・ガス、運輸・物流などの内需株の業績見通しが強くなりました。トランプ関税の影響を受けにくく、関税政策に関する急激な動きがあった際も底堅い値動きで、相場全体の下支え役になると考えられます。7月末時点では、4-6月期決算の発表済み企業は全体の4分の1程度ですが、決算発表シーズンの出だしは時価総額の大きい会社が比較的多く、全体の方向を占う上でも有用です。
●米ファクトセット(FactSet)によれば、日米の企業業績の見通しは堅調です。6月末の米S&P500種指数の予想1株当たり純利益(EPS)は前年同月比+7.9%、TOPIXの予想EPSは同+5.4%となりました。TOPIXのEPSの下方修正が続いています。●米国株式市場では、AI投資の拡大予想を背景に、半導体関連株やソフトウェア株など大型テクノロジー株の株価が米国株の上昇を先導しました。NYダウは前月比+4.3%でしたが、ITセクターの構成比が大きいS&P500種指数は同+5.0%の上昇となりました。前月に続きNYダウの上昇率を上回り最高値を更新しました。また、ナスダック総合指数も最高値を更新しました。●日本株式市場では、①米国テクノロジー株の上昇に連動する形で半導体関連株、②世界的な軍備拡張を受け防衛関連株や造船株、などが上昇しました。日経平均株価は値がさハイテク株の株価の影響を大きく受けるため、TOPIXに比べ上昇率が大きくなりました。
●相互関税導入前後の駆け込み買いによる需要の先食いの反動や、企業が価格の引き上げを躊躇している、などの要因により米国の物価上昇率は今のところ懸念されていたより低くとどまっています。労働市場に弱いシグナルが現れているため、米連邦準備制度理事会(FRB)の一部のメンバーからは7月の利下げが可能ではないかとの意見が出ています。パウエル議長は、関税の物価への影響をまだ見極めきれていないと公聴会で証言しました。●ECBは6月の理事会で政策金利を2.00%に引き下げました。景気の下振れリスクが和らいだことや、軍事費など財政支出が増加する見通しであるため、さらなる利下げの是非についてECBの理事の指摘が活発に発信されています。●日銀は、6月の金融政策決定会合において、政策金利を据え置く一方で、26年4月より国債購入の減額幅を2,000億円に縮小することを決めました。
・2-4月期決算では売上が前年同期比20%増(半導体ソリューションが同17%増、インフラストラクチャー・ソフトウェアが同25%増)、調整後EPSが同44%増と好調でした。AI関連売上は前年同期比46%増の44億ドルで、半導体ソリューションの52%を占めました。5-7月期のガイダンスでは売上が約158億ドル(前年同期比21%増相当)で、AI関連売上は51億ドルへ加速する見通しです。
●欧州では、25年の実質GDP成長率見通しを+1.2%、26年を+1.2%としました。足元のデータが底堅いことから、25年の予想を上方修正しました。ただし、25年後半はトランプ関税導入に伴う輸出の減少により、成長率の減速は避けられないでしょう。欧州中央銀行(ECB)の利下げの累積効果、域内防衛費の拡大、EUの財政支出拡大、などにより26年には成長率は回復に転じると予想します。●日本の予想実質GDP成長率は、25年度+0.4%、26年度+0.7%で据え置きました。25年度は米国の関税措置のマイナス影響による日本経済の減速は避けられないでしょう。政府は電気、ガソリン補助金の再開などで景気の下支えを図っていますが、原油価格の上昇が懸念材料です。●中国は、25年+4.8%、26年+4.6%の経済成長見通しを維持します。①消費財買い替え促進制度、②国営企業を中心とする増産、③ハイテク関連投資の増加、という3つの政策で成長率の下支えする見込みです。ただ、需要不足で、消費者物価など物価の低迷が続く公算は大きいです。●豪州では、世界経済と政策の不確実性の高まりから、貿易相手国の経済成長率の低下に対する懸念が強まっています。オーストラリア準備銀行(RBA)は追加利下げを行い対応すると予想しています。
●円の対米ドルレートは、やや弱い展開を予想します。FRBの利下げ観測と日銀の利上げ継続方針が米ドルの下落要因となるとみています。米国の財政政策に対する懸念から米ドルはピークアウトしたと見ています。ただし、中東情勢が悪化すると米ドルの下支え要因になることには留意が必要です。●円の対ユーロレートでは、ユーロが米ドル安となった際の受け皿になりやすいことに注目しています。EUとドイツが国防費を含む財政赤字に対する態度を変化させたことでユーロ圏の長期金利は高止まりする見通しです。ユーロの実質金利が高止まりすることから、円に対してもユーロ高を予想します。●円の対豪ドルレートは、一進一退の展開を予想します。豪ドルには米ドルからの資産分散需要がありますが、RBAの利下げが円高要因となりそうです。


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