
本日のロンドン為替市場では、政治的イベントを受けて上下する展開が続く中、欧・英の要人発言に注目したい。
昨日、ルコルニュ仏首相は「マクロン大統領が進めてきた年金制度改革を2027年に予定される大統領選後まで停止する」と発言すると、野党の社会党は内閣不信任案に賛成票を投じない方針を示した。市場では「仏内閣が存続する可能性が高まった」と解されてユーロが買われた。16日予定の内閣不信任案投票を乗り切れる可能性が高まっており、仏政局不安を背景としたユーロ売りが一服を迎える可能性がある。
もっとも、同首相は今回の停止により「2026年に4億ユーロ、2027年に18億ユーロの費用が発生する」と発言しており、今後は他の財政支出を減らすと共に財政規律を守ることができるか見てゆく必要があるだろう。
テクニカル面でも、ユーロドルは東京市場で1.16ドル台前半に上昇しており、日足・一目均衡表の雲下限を上抜いている。本日1.1683ドルに位置する雲上限を突破して終わるようだと、三役逆転が解消して買い戻しを誘う流れに移る可能性も出てくる。攻防の分岐点に位置していることを踏まえた上で取引に挑む必要がありそうだ。
また、欧州序盤にはデギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁の発言機会が予定されている。直近では6日に「現在の政策金利は適切」などと発言していた。金融政策に関する発言がないかもしれないが、金融スタンスに変化がないか確認しておきたい。
他方、英国ではラムスデン英中銀(BOE)副総裁の講演が予定されている。先月のBOE理事会で金利据え置きに票を投じたテイラーMPC委員は昨日、「下方リスクが徐々に高まりつつある」などと発言。13日には、同じく先月のBOE理事会で金利据え置きに賛成したグリーンMPC委員の発言が「金融政策は制限的ではなくなりつつある」など追加利下げに含みをもたせる内容となるなど、ハト派的発言が相次いでいるのは気になるところ。副総裁は先月29日に「インフレ率は今後わずかに上昇する可能性があるが、その後はピークに達するだろう」などと発言しており、ハト派的トーンの内容となればポンド相場に下押し圧力が掛かる可能性もある。内容に注目したい。
そのほか、先週末からトランプ政権当局者による発言により市場が振り回される展開となっており、不意の発言には備える必要がありそうだ。
想定レンジ上限
・ユーロドル:日足・一目均衡表の基準線1.1731ドル
・ポンドドル:21日移動平均線1.3434ドル
想定レンジ下限
・ユーロドル:1.1542(10/9安値)
・ポンドドル:14日安値1.3249ドル
(川畑)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ



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