訪日外国人数の月次推移と市場別の数値は以下のとおり
政府による規制緩和施策が訪日外国人の増加に貢献していることは間違いないでしょう。
日本では、製造業に代わる基幹産業が求められており、今後、観光業を代表とするサービス産業を基幹産業に育成する必要があると言われてきました。実際、政府は、2016年3月に「明日の日本を支える観光ビジョン」を策定しました。この中では、政府の3年間の成果として、2012年から2015年で、訪日外国人旅行者数を836万人から1974万人とおよそ2倍に増やし、訪日外国人旅行消費額を1兆846億円から3兆4771億円とおよそ3倍に増やしたことが報告されています。加えて「新たな目標への挑戦」として、5つの項目に対する目標を掲げました。
日本政府観光局が20日発表した1~10月(推計値)の訪日外国人客数は、コロナ禍前の2019年同期比12・2%増の3019万2600人となり、過去最速のペースで3000万人を超えた。外国為替市場での円安や直行便の増加が後押しした。
日本政府観光局は15日、1~9月期の訪日外国人客数が前年同期比17・7%増の3165万500人となり、史上最速で3000万人を超えたと発表した。通年でも初めて4000万人を超えるペースで、年末に向けた動向が注目される。
これからの日本にとって、外国人向けのインバウンド産業がどれほど重要かは、現在の日本の基幹産業である「自動車(輸出)産業」と比べれば、理解しやすいかもしれません。まず、現状を比較してみます。一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)によると、2017年の自動車(乗用車、トラック、バス、シャシーを含むが、部品・付属品、二輪車・部品は含まない)の輸出額(F・O・B価格=本船渡し価格)は、11.8兆円で、2018年のインバウンド(訪日外国人旅行)消費額4.5兆円の約2.6割です。しかし、このインバウンド消費の目標値、2030年には、現在の自動車産業を上回る15兆円という設定なのです。そんなことが、果たして可能なのでしょうか。このあまりに高い目標をいかにして達成するべきかについて考えるために、「自動車(輸出)産業」がどのようにして成長してきたのか、簡単に見てみましょう。日本で自動車生産が本格化したのは、1960年代でした。そこから70年代、80年代と輸出量を順調に伸ばせた理由は、大きく2つありました。1つは「価格の安さ」です。とりわけ、1985年の「プラザ合意(Plaza Accord)」までの「ドル高・円安」は、日本の輸出産業にとって、非常に有利な条件となっていました。もう1つは「質の高さ」です。自動車産業では、ものづくりに対する強いこだわりや職人技で、徹底的に「良質なもの」を提供し続けました。低価格なのに故障が少なく、燃費がいいので、日本車は抜群にコストパフォーマンスが優れている。結果、「トヨタの『カローラ』って、思ったよりすごいぞ!」「日産の『フェアレディZ』は、かっこいいし、壊れない」など、世界中の人が驚き、高く評価され、やがて「ジャパン・クオリティ」が世界の自動車のスタンダードになりました。自動車産業の成長の原動力となった「価格の安さ」と「質の高さ」は、果たして、外国人向け観光業を自動車産業以上の基幹産業に成長させる強みとなるのでしょうか。
訪日外国人数の月次推移と市場別の数値は以下のとおり。


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