バイトが卵投げる動画法的責任は

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バイトが卵投げる動画法的責任は

不適切投稿を未然に防ぐことが理想ですが、万一投稿されたとしても早期発見できれば被害を最小限に抑えられます。そのために、企業はSNS上の動向をチェックするモニタリング体制を整えるべきです。具体的には、自社名や店舗名、関連するキーワードがSNSで言及された際にアラートが出るようなツールを導入したり、専門の監視サービス（評判監視サービスなど）を活用します。NTTなどが提供するサービスでは、「バイトテロ」を含む投稿を自動検知して通知してくれる機能もあります。また、社内でも従業員同士で不適切なSNS投稿を見つけた場合に上長へ報告するルールを設けるなど、内部からの早期通報制度を作るのも有効です。炎上は初期段階で対処すれば拡大を防げる場合も多いため、SNS上で自社に不穏な動きがないか常にアンテナを張っておくことが重要です。

バイトテロを起こした従業員にとって最も直接的な結果は、解雇される可能性が高いことです。企業はその行動が法的な問題やブランドの信頼性に影響を与えると判断した場合、雇用契約を終了させることが一般的です。解雇は従業員の将来の職業生活にも影響を及ぼすため、重大な結果となります。

バイトテロ発覚直後にまず企業が行うべきは、事実関係の迅速な確認と関係者の処分です。炎上が拡大する中で対応を後回しにすると「対応が遅い」と批判されるため、問題の投稿を把握したら即座に社内調査を開始します。該当する店舗や従業員を特定し、どのような行為が行われたか事実を洗い出します。同時に、当該従業員に停職等の措置を取り、調査中も現場に出さないようにします。事実が確認でき次第、就業規則に基づいて懲戒処分（多くの場合は即時の解雇）を下します。この段階で社内向けにも速やかに通知し、他の従業員に動揺が広がらないよう説明します。例えば、くら寿司では問題動画確認当日にアルバイト2名を懲戒解雇処分とし、翌日にはそれを公表しました。早期に当事者への対処を完了させることで、被害拡大の防止と社内外への毅然とした姿勢のアピールにつながります。

バイトテロの背景には、従業員側の低賃金や労働環境への不満も潜んでいると指摘されます。アルバイトの時給が安く、長時間働いても割に合わないと感じていたり、忙しいのに人手が足りず休みも取りづらい職場では、従業員の会社への愛着や責任感は薄れがちです。「こんな仕事、どうなっても知るか」という投げやりな心理が芽生えれば、職場や顧客に迷惑をかける行為への抵抗も小さくなってしまいます。また、厳しい労働条件に対する反発心から、意図的に会社にダメージを与えるような愚行に及ぶケースも考えられます。実際、バイトテロが頻発する業種は低賃金・重労働な「ブラックバイト」と呼ばれる職場が多いとの分析もあります。もちろん大多数の従業員は誠実に働いていますが、過酷な環境に不満を溜め込んだ一部の従業員が暴発し、不適切行為に走る土壌を生んでしまうのです。

近年になっても、大手回転ずしチェーンや牛丼チェーン、定食チェーン、コンビニなどで、アルバイトによる不適切投稿が相次いでいます。食材や食器などの什器を不衛生に取り扱う様子を撮影した画像や動画は、ブランドイメージを損なうだけでなく、客離れや休業による売り上げ減、株価の下落など、企業に多大な損害を与えます。このようなアルバイトの不祥事は、突発的に起き、雇用主が大きなダメージを受けることから、「バイトテロ」とも呼ばれています。大手企業では、スマホの現場への持ち込み禁止や社員教育などにより、「バイトテロ」の予防に努めてきました。しかし、それでも相次ぐ不祥事を抑制するために、刑事告訴や損害賠償などの法的措置を検討する動きが出ています。

2019年：セブンイレブン白滝不適切動画事件 – 2019年2月、大手コンビニチェーンのセブン-イレブン横浜高島台店で、大学生アルバイト店員がおでん鍋の商品である白滝を口に入れて吐き出すという非常識な動画をSNSに投稿しました。食品衛生上許されないこの動画は瞬く間に拡散し、消費者から「気持ち悪い」「許せない」と非難が集中。セブン-イレブン本部は翌日付で公式に謝罪コメントを発表し、当該店員を解雇処分としました。また、問題となったおでん鍋の商品はすべて廃棄し、鍋や器具の消毒を行うなど衛生対策に努めたことも公表しています。この「白滝事件」はコンビニ業界で起きたバイトテロとして大きな話題となり、他社を含めた全店への指導強化が図られるきっかけとなりました。事件後、セブン-イレブンでは店員教育の徹底を再確認し、他チェーンでも類似事案の防止策が改めて講じられるなど、業界全体に影響を与えました。

バイトテロは、従業員の不満や不適切な職場環境が原因で発生することが多く、企業のブランド価値や信頼に深刻なダメージを与えます。これを防ぐためには、従業員教育の徹底、コミュニケーションの強化、監視システムの導入が重要です。また、発生した場合には迅速な対応と適切な危機管理が求められます。

バイトテロを起こす若者には、SNSで注目を集めたいという承認欲求・自己顕示欲が根底にある場合があります。日常の出来事を投稿して「いいね」やコメントをもらうことに慣れている世代にとって、過激な動画を上げて周囲を驚かせることは一種のスリルや達成感になりえます。友人同士でふざけた写真や動画を共有し「ウケる」「面白い」と言われることが自己承認につながり、それがエスカレートすると勤務中の悪ふざけさえネタにしてしまうのです。また、「これがバズれば有名になれるかも」といった短絡的な期待から、不適切動画を投稿するケースもあります。実際に、投稿者自身が「みんなを笑わせたかった」などと供述した例もあり、そうしたSNS映えを狙う心理が不適切行為へのハードルを下げている面は否めません。

バイトテロの内容がインターネット上に拡散した場合、第三者による共有や拡散も問題となることがあります。第三者が故意にバイトテロの内容を拡散する行為は、名誉毀損やプライバシー侵害に該当する可能性があります。このような場合、第三者も法的な責任を問われることがあります。

バイトテロを行った従業員個人は、民事上の賠償だけでなく刑事上の責任を問われる可能性もあります。具体的な法令違反としては、食品に異物混入などを行えば威力業務妨害罪（業務を妨害した罪）や、器物損壊罪、場合によっては食品衛生法違反などが適用される余地があります。実際、コンビニのおでん鍋を汚した「おでんツンツン男」（客テロの例ですが）は威力業務妨害で逮捕・起訴されていますし、バイトテロでも悪質な場合は警察沙汰に発展し得ます。刑事事件になれば、加害者は罰金刑や懲役刑といった制裁を科される可能性があります。また、前科がつくことで今後の就職にも支障が出るでしょう。さらに、ネット上に実名や顔写真が晒され社会的信用を失うといった制裁（私的制裁）も現実問題として避けられません。つまり、バイトテロを起こした本人には、法的にも社会的にも非常に重い代償が降りかかるのです。

拡散が進むと、ネットユーザーたちは問題の動画がどの企業・店舗で撮影されたものかを探り始めます。制服や店内の様子、映り込んだ商品などの手がかりから、瞬く間に店舗特定が行われるのです。実際、過去のバイトテロ事例でも、投稿から数時間以内に「◯◯店の店員だ」といった情報がネット上に出回りました。店舗名や場所が特定されると、今度はその企業の公式SNSアカウントや問い合わせ窓口に非難の声が殺到します。「早く対応しろ」「社員教育はどうなっているのか」といった怒りのコメントが寄せられ、企業側は一気に危機対応を迫られることになります。また、特定された店舗には電話や来店での苦情が押し寄せ、通常業務が成り立たなくなるケースもあります。こうして企業名が明らかになると炎上はさらに加速し、当該企業全体の問題として世間に広がっていくのです。

スマホから誰でも簡単に動画を投稿できるようになった現代。軽はずみな気持ちで投稿した動画が、アルバイト先の店や企業に損失を与えるだけでなく、自身にも賠償責任・刑事責任が問われ、人生を台無しにしてしまう可能性があります。動画投稿は簡単にできますが、一度投稿した動画を完全に削除することは、ほぼ不可能です。すべての人が閲覧できるインターネットにアップするということがどういうことなのか、それにより被害を被る人はいないのか、今一度慎重に考えて行動したいものです。

衛生管理の体制を整えることは本来的な業務の一環であり、本件のようなバイトテロの事件はあくまでもきっかけとなった出来事にすぎないと考えられます。

京都発、こってりスープの醤油ラーメンで人気のチェーン「京都北白川ラーメン魁力（かいりき）屋」堺新金岡店（大阪府堺市）の厨房で、閉店後にアルバイト従業員2人が廃棄間際の食材である卵をキャッチボールする様子を撮影した動画が、SNSに投稿され、拡散された。

バイトテロとは、アルバイトやパートタイムの従業員が職場で不適切な行動をし、それをインターネット上で公開することにより、企業のイメージを損なう行為を指します。この言葉は、「バイト」（アルバイト）と「テロ」（恐怖や破壊行動）を組み合わせた造語で、主に飲食業界で使用されることが多いですが、小売業など他の分野でも見られる現象です。