まず すき家自身の事情です
ただ、そこは国内外食企業で初めて売り上げ1兆円を突破したリーディングカンパニー。あくまでこれは建前に過ぎない。本音のところは、「値下げによってなんとかして、すき家に客を呼び込みたい」――この一点に尽きる。
今年8月8日に発表された同社の2026年3月期第1四半期('25年4~6月それは)決算を見ても、それは明らか。グループ全体の売上高は2904億2100万円(前年同期比8.9%増)、営業利益は157億5400万円(8.7%減)と増収減益になっているが、足を引っ張る形となったのが、すき家だ。
今回の値下げで、すき家は再び「価格面での優位性」を確保しようとしています。単なる安売りではなく、「市場ポジションの再設定」を目的とした戦略的判断だと読み取れます。
まず、すき家自身の事情です。今回の価格改定により、牛丼並盛り450円は他の大手牛丼チェーンと比較して最も安い水準になりました。ライバルの吉野家の並盛りは498円、松屋は460円ですので、今ところすき家が最安ですね。値下げの背景には、今年3月以降、食品異物混入問題による客足の減少や、原材料やエネルギーコストの高止まりに伴う消費者の節約志向の高まりがあるのでしょう。すき家側は「より多くのお客様に手頃な価格で牛丼を楽しんでもらいたいとして、今回の価格改定を決定した」と公式にコメントしています。すき家固有の問題とともに消費者の外食に対する節約思考がやはり要因としては大きい印象ですが、この値下げ後に、来店客数や売上高の状況がどう変わっていくのかは気になるところです。吉野家や松屋も置かれた環境は基本的に同じですし、牛丼以外の他のファストフードやラーメン・定食等、庶民が気軽に利用する外食チェーン店は、今後は値下げを含めた何らかの施策を実施して、客足の減少を食い止める必要に迫られるかもしれません。
なぜ、原材料費の高騰などで外食業界全体が値上げ基調にある中で、突然、すき家だけが値上げに踏み切ったのか。そこには同社が抱える、やむを得ない事情があった――。
牛丼チェーン業界はすき家・吉野家・松屋の三強によるシェア争いが激しく、すき家の値下げが波及すれば「安さ競争」に陥る恐れがあります。
牛丼チェーン店では、吉野家が4月10日から牛丼大盛(店内飲食)を44円値上げして、税込み740円にしており、最大手のすき家の動向が注目されていた。
「昨今、原材料費やエネルギーコストなどの上昇により、物価高が続いています。このような経済環境の中、すき家の牛丼を多くのお客様により手頃な価格でお楽しみいただきたいという想いから、価格改定を決定しました」
すき家が牛丼並盛の価格を30円値下げするというニュースに対し、SNSではコメントが相次ぎました。
「グローバルはま寿司」や、なか卯やロッテリアを傘下に置く「グローバルファストフード」など、「グローバルすき家」以外の部門はすべて増収増益。一方、「グローバルすき家」に至っては、前年の営業収益が54億4500万円だったのに対し、7億6800万円の赤字に転落してしまったのだ。
牛丼チェーン「すき家」は28日、牛丼並盛の価格を税込み480円から30円値下げして450円にすると発表した。ほぼ全店の約1980店で9月4日午前9時から実施する。店内、持ち帰りいずれも同じ価格。
すき家の場合は、値下げを起点に新メニューやデジタル施策を組み合わせ、「安いから来る」ではなく「すき家だから選ぶ」状態をいかに構築できるかが鍵です。
すき家の11年ぶりの値下げは、顧客心理を刺激し、客数回復を狙う明確な戦略に見えます。しかし、これは「諸刃の剣」でもあり、短期的な効果が持続しなければ、単なる消耗戦に陥るリスクがあります。
すき家はリリースで、「原材料費やエネルギーコストなどの上昇で物価高が続いている。すき家の牛丼を多くのお客様により手頃な価格でお楽しみいただきたいという想(おも)いで価格改定を決定した」とするコメントを発表した。


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