
本日の欧州タイムでは英9月消費者物価指数(CPI)の結果を受けた、ポンドの動きに注目。9月CPIの市場予想は前年比+4.0%と伸びが加速し、伸び率は昨年1月の高い水準に並ぶと見込まれている。同コアCPIも前月の+3.6%から伸びが加速すると予想されている。イングランド銀行(英中銀、BOE)は9月に4.0%でピークに達した後、2%の目標値に向かって低下すると見込んでいる。
政策金利の据え置きを決定したBOEの9月会合以降に市場では年内の追加利下げ思惑が後退していたが、先週に発表された6-8月雇用データの結果を受けて一部では12月会合でBOEが利下げに踏み切ると見方も浮上している。先週に発表された、6-8月平均週間賃金(ボーナスを除く)は前年比4.7%と伸びが鈍化し、2022年5月以降でもっとも緩やかな伸びを記録した。6-8月失業率(ILO方式)は4.8%と5-7月の4.7%から悪化し、BOEが注視する民間部門のボーナスを除く賃金上昇率は前年比4.4%と前回の4.7%から鈍化した。
BOEが来年2月まで追加利下げを見送るとの見方がメインシナリオとなっているが、CPIの伸びの加速が鈍化すれば、年内の追加利下げ思惑が再燃する可能性はある。もっとも、リーブス英財務相は11月26日公表予定の予算案に向けて、増税と歳出削減の双方を検討していると明らかにしており、緊縮財政は景気の鈍化を進める可能性が警戒される。
・想定レンジ上限
ポンドドルは90日移動平均線1.3481ドルが上値めど。ポンド円は10日高値203.75円。
・想定レンジ下限
ポンドドルは10日安値1.3262ドルが下値めど。ポンド円は20・21日安値201.82円。
(金)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し ロンドン為替見通しポンド 英CPIに注目
「金融政策」は各国の中央銀行が政策金利の引き上げ・引き下げを行うことで景気の調整をおこないます。 政策金利の引き上げが行われるとその通貨は買われやすく、逆に政策金利の引き下げが行われるとその通貨は売られやすい傾向があります。 英中銀(BOE)は、金融政策決定会合を年8回行いますが、そのうち2月・5月・8月・11月の会合ではマクロ経済見通しの発表と英中銀総裁による記者会見が行われ、短期筋だけでなく中長期の投資にも影響を与えるため非常に注目されます。
歴史的に他の先進国に比べ金利が高いことから、BOE (英中銀) のMPC (金融政策委員会) による今後の経済見通しや、金利見通しに英ポンド相場は他の通貨以上に左右されやすくなっています。したがってMPCの結果や声明だけでなく、物価指標をはじめとする主要経済指標の結果にも注意が必要です。地政学的、経済的、歴史的に結びつきが強いユーロとの連動性が強いとも言われていますが、英国がEUを離脱して、以前ほど強い結びつきではなくなっていることから、今後その関係がやや変化する可能性もあります。北海油田の開発、生産に携わっていることから原油相場との相関性 (原油高→英ポンド高、原油安→英ポンド安) が指摘されますが、脱炭素への流れに加え、イギリスが手掛ける北海油田が枯渇してきていることもあって相関性が弱まっています。また、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化による英国経済へのネガティブな影響が引き続き懸念されています。

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