20年で人口46倍 福岡の 人工島
開発破綻と汚職腐敗にあえぎながらも、「将来の福岡市に必要な事業」などとして、山崎市政は人工島事業を推進しています。新年度、人工島には他局の予算も集め、一極集中となる112億円(200億円の緊急融資のぞく)の予算をつけました。
このため、銀行への返済資金に不足をきたし、03年5月、市は博多港開発㈱に、45億円の緊急融資を発動しました。博多港開発㈱には、この緊急融資を返済する資力はありません。そこで福岡市は、今度はこの45億円に見合う救済措置を打ち出します。それは、6本の幹線道路を都市計画道路として、公共整備することを決め、強引に都市計画決定するというもので、この道路の用地購入費が返済財源となるというものでした。緊急融資とは名ばかりで、まさに税金による第3セクターの破綻救済でした。
同グループとの売買価格にかんする協議に、市や博多港開発㈱そして住宅供給公社はかなりの日時をさきました。なぜなら、初の民間への分譲となる今回譲渡価格が、今後の民間分譲単価の相場を決めることになるからです。しかし、福岡市や博多港開発㈱の思惑どおりにはいかず、民間企業のつけた単価で押し切られるかたちで価格は決まりました。
アイランドシティは、博多湾の海底を掘削する工事で出た土砂で東区沖の401・3ヘクタールを埋め立てる市の事業として、1994年に着工した。東側は住宅などの「まちづくりエリア」、西側は企業や港湾施設などの「みなとづくりエリア」とし、総事業費は約3940億円。2005年9月にまちづくりエリアに住宅ゾーンの「照葉のまち」がまちびらきを迎え、同年12月から入居が始まった。
開発破綻は、その2年後に顕著になりました。博多港開発㈱に融資してきた14行の市中銀行のうち、新生銀行など3行が人工島の土地処分や採算性に疑問を抱き、新たな融資を停止したのです。こうして銀行団との協議が開始されますが、この時点で博多港開発㈱は事実上、経営破綻の状態にあったといえます。実際に、人工島担当の部署(アイランドシティ事業部)は市港湾局庁舎内に引き上げられ、同時に、銀行団との交渉を担当したのも市港湾局でした。
この2つの事件のほかにも、博多港開発㈱の隠し口座問題なども発覚しており、政官業癒着のもとで、人工島事業に関連しては、何がおこなわれているかわからないという、おどろくべき事態が広がっています。
人工島建設は、「アジアの拠点都市づくり」を掲げる前市長の手で1989年に計画されました。博多湾の奥部を401ヘクタール埋め立て、国際コンテナ港湾を整備するとともに、人口1万8,000人の住宅地とサイエンスパークなどをつくる、というものでした。港湾用地は市が整備し、住宅地や産業用地を市の第3セクターである博多港開発㈱が担当、航路や岸壁を国が整備する計画です。
生活環境が途上なことに加え、「疑惑の人工島事業」という負のイメージも住宅分譲に影響を与えた。
人工島事業は、2年前から都市整備局、土木局、環境局、保健福祉局など他局の予算も動員されています。体制も強化され、総務企画局にプロジェクトチームがつくられました。そして、新年度は、埠頭地区にある港湾局庁舎から、人工島関係の部局を市長のおひざ元である市役所本庁に移転しました。まさに、全庁あげての事業推進です。
当初、市当局は、「買ったことに問題はなく、価格も妥当」として、調査すらしないという態度でした。党福岡市議団は、ただちに購入先や圃場などの調査をおこない、ケヤキは切り出し価格の200倍であること、また、ケヤキの多くは、木の上部を電信柱のように切り落としており、使い物にならないことなどをあきらかにしました。
2025年、照葉はばたき公民館やアイランドシティ郵便局が開設されました。今後も公共施設の新設が予定されています。
しかも、これには、上司である港湾局理事も関与しており、検察の冒頭陳述では、理事が被告(課長)にたいして、「国土交通省との交渉に当たっている福岡市東京事務所の職員らにタクシークーポン券でも渡したいが入手できないか」と持ち掛けたとされています。被告はこれがきっかけで、同業者に金品を要求したというのです。
昨年9月には、港湾局計画課長が収賄容疑で逮捕され、今年に入って有罪判決が下りました。人工島の計画変更の業務委託をおこなった業者から、100万円相当のわいろをもらっていたというものでした。
福岡市は現在、「新・新事業計画」の策定作業をすすめています。そでに、一部は議会にも明らかにされていますが、その内容は、これまた税金の投入であり、なかには現実性のない突飛な発想まで出てきています。
10年間で人口が約3倍に増えた博多湾の人工島エリア「アイランドシティ」。その需要に応えるために検討されていた消防出張所は、すでに着工しており、2027年に完成する見込みです。


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