
- <第197回> 2025年10月25日
- 問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください。
- 問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください
- 問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください
- 問4:今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通しについてお答えください
- 問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか
- 問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか
- 問7:自民党総裁に選ばれた高市氏の政策の中で最も注目するのはどれですか?
- 問8: 高市政権が発足した場合、年内の円相場はどのように推移すると思いますか?
- 高市政権発足で円相場はどうなる個人投資家の過半数が 円安継続 と回答
<第197回> 2025年10月25日
外為どっとコムの口座開設者のお客様を対象とした投資動向等に関するアンケート調査です。
分析・レポート作成
外為どっとコム総合研究所
調査実施期間
2025年10月17日(金)13:00~2025年10月21日(火)24:00
調査方法
外為どっとコムの口座開設者にメールでアンケート回答URLを送付。
今回の有効回答数は 518 件。
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問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください。

「今後1カ月間の米ドル/円相場の見通し」については、「米ドル高・円安方向」と答えた割合が42.3%であったのに対し「円高・米ドル安方向」と答えた割合は34.9%であった。この結果「米ドル/円予想DI」は△7.4%ポイントと前月の△7.0%ポイントとほぼ変わらずだった。
調査期間前後の米ドル/円相場は、152円台へ切り返す展開。米中貿易摩擦を巡る懸念を背景に149円台に下落する場面もあったが、積極財政と金融緩和を支持する高市政権が発足したことで円売りに傾き反発した。そうした中で、個人投資家はドル高・円安の見通しを維持したと見られる。
今後1カ月の米ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が160.00円、最安値が140.00円となり、高値の平均値は153.35円、安値の平均値は147.09円であった。高値の中央値は153.00円、安値の中央値は147.00円だった。前月調査時(最終日)から実勢レートは4円ほど切り上がったのに沿って高値・安値の予想中央値は2~4円程度米ドル高・円安方向にシフトした。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください

「今後1カ月間のユーロ/円相場の見通し」については、「ユーロ高・円安方向」と答えた割合が、35.7%であったのに対し「円高・ユーロ安方向」と答えた割合は27.4%であった。この結果「ユーロ/円予想DI」は△8.3%ポイントと前月の△18.1%ポイントからプラス幅がやや縮小した。
調査期間前後のユーロ/円相場は、175円台を中心に底堅く推移。一時174円台へ下落する場面もあったが、高市首相誕生への期待などが下支えとなり176円台へ切り返す展開となった。欧州中銀(ECB)による利下げ打ち止めとの見方も根強く個人投資家のやや強気なスタンスに大きな変化はなかった。
今後1カ月のユーロ/円相場の高値と安値の予想については、最高値が185.00円、最安値が158.58円となり、高値の平均値は177.60円、安値の平均値は171.79円であった。高値の中央値は177.93円、安値の中央値は172.50円であった。実勢レートが前月調査時(最終日)から1.8円ほど切り上がった動きに沿って、高値・安値の予想中央値が1.5~3円ユーロ高・円安方向にシフトした。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください

「今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通し」については、「豪ドル高・円安方向」と答えた割合が、35.9%であったのに対し「円高・豪ドル安方向」と答えた割合は29.2%であった。この結果「豪ドル/円予想DI」は△6.7%ポイントと前月の△14.5%ポイントからプラス幅が縮小した。
調査期間前後の豪ドル/円相場は、米中貿易摩擦への懸念が強まる中で一時96円台前半へ下落。その後、『高市トレード』を意識した円売りにより持ち直したものの、個人投資家の強気スタンスを高めるには至らなかったようだ。
今後1カ月の豪ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が109.09円、最安値が90.00円となり、高値の平均値は100.21円、安値の平均値は95.65円であった。高値の中央値は100.00円、安値の中央値は96.00円だった。前月調査時(最終日)と比べ実勢レートが1円ほど切り上がったのに沿って、高値の予想中央値は1.5円程度、豪ドル高・円安方向にシフトした。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問4:今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通しについてお答えください

「今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通し」については、「英ポンド高・円安方向」と答えた割合が、35.5%であったのに対し「円高・英ポンド安方向」と答えた割合は20.8%であった。この結果「英ポンド/円予想DI」は△14.7%ポイントとなり、前月の△8.2%ポイントからプラス幅が拡大した。
調査期間前後の英ポンド/円相場は、節目の200円を挟んで底堅く推移。英中銀(BOE)は7対2で政策金利の据え置きを決定。追加利下げは来年にずれ込むとの見方がポンドの下値を支えたようだ。そのため、個人投資家は英ポンド高・円安との予想をやや強めているのだろう。
今後1カ月の英ポンド/円相場の高値と安値の予想については、最高値が205.35円、最安値が170.00円となり、高値の平均値は194.92円、安値の平均値は188.15円であった。高値の中央値は200.00円、安値の中央値は193.00円だった。前月調査(最終日)と比べ実勢レートが1円ほど切り上がったのに対して高値の予想中央値は前回から変化しなかった。

※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか

今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「円」と答えた割合が33.6%で最も多かった。僅差で「米ドル」が32.0%、以下「ユーロ(11.0%)」、「メキシコペソ(6.0%)」、「トルコリラ(4.8%)」、「スイスフラン(3.7%)」と続いた。
「円」は5カ月ぶりに首位を奪回。回答割合も前回の27.7%から上昇した。2位の「米ドル」も前回の31.5%からいくぶん上昇したが「円」には僅かに及ばなかった。「円」を最も買いたい理由として、「高市トレード(円売り)の巻き戻し」を挙げる向きが多かった。また、「日銀の利上げ」を指摘する声も多数あった。その他、「米国の景気後退でリスクオフ」、「米国景気後退で(日米)金利差縮小」などの意見も複数見られた。「米ドル」を買いたい理由として挙がったのは、「米国のインフレ再燃」、「FRBの利下げは織り込み済み」、「基軸通貨であり安全通貨」などのほか、「米政府閉鎖が解除されればドルが上昇する」との意見もあった。
問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか

問5とは反対に、今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「円」が41.1%と最も多く、「米ドル」が32.0%で続いた。以下、「ユーロ(6.0%)」、「中国人民元(5.4%)」、「トルコリラ(5.4%)」、「豪ドル(2.7%)」の順になった。
「円」は3カ月ぶりに首位となり回答割合も前回の35.1%から上昇した。2位の「米ドル」は順位、回答割合ともに前回からやや低下した。「円」は問5の最も買いたい通貨でも首位であり、先行きについて個人投資家の強弱感が対立している様子が窺えるが、先安観のほうがやや強いようだ。なお、「円」が最も安くなると考える理由については「高市氏の政策で株高・円安」、「高市総理は円安容認」、「積極財政と低金利」など、新政権の影響を挙げる声が圧倒的に多かった。そのほか「金融政策に期待薄」、「金利の上昇が見込みづらい」など、日銀の利上げスタンスに対する懐疑的な意見もあった。
問7:自民党総裁に選ばれた高市氏の政策の中で最も注目するのはどれですか?

今回の特別質問として「自民党総裁に選ばれた高市氏の政策の中で最も注目するのはどれですか」と尋ねたところ、「減税や給付金などの物価高対策」が49.2%と半数近くを占めた。次いで「責任ある積極財政」が19.9%、「金融政策への積極的な関与」が14.1%、「賃上げ促進」が11.2%、「その他」は5.6%だった。世論に鑑みても「物価高対策」に対する関心が最も高いのは当然と言えそうだ。ただ、「財政」や「金融政策」にも相応の関心を寄せるのは投資家(トレーダー)ならではと言えるだろう。なお、「その他」と回答した向きからは「スパイ法案」、「移民政策」などのほか、「何も期待していない」とする声もあった。
問8: 高市政権が発足した場合、年内の円相場はどのように推移すると思いますか?

もう一つの特別質問として「高市政権が発足した場合、年内の円相場はどのように推移すると思いますか」と尋ねたところ「円安が続く」と答えた向きが50.8%で最も多かった。次いで「円相場への影響は限定的」が23.6%、「円高に転じる」が18.0%、「わからない」は7.7%だった。「円安が続く」との回答が過半数に達した点から、巷で指摘されている高市氏のイメージ(積極財政と金融緩和を推進)に沿った回答結果と言えそうだ。「円安が続く」と回答した理由について自由記述形式で尋ねたところ、実際に「財再不安が意識されやすくなる」、「日銀が金利を上げられない」などとする声が多かった。一方、「円高に転じる」と回答した向きからは「高市トレードの巻き戻し」、「織り込み済みでこれ以上円安にはならない」、などのほか、「積極財政の不安よりも日本経済への期待が高まると予想」との見方も出ていた。


株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
外為どっとコム総合研究所 情報企画部 為替アナリスト
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe)
2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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高市政権発足で円相場はどうなる個人投資家の過半数が 円安継続 と回答
物価高対策を求める政治家の中には、物価高の原因である円安進行を放置しておいて、国民の痛みに配慮して、財政資金をばらまく措置だけで良いと考えている人もいる。しばしば、日本はディマンドプルではなく、コストプッシュ型のインフレだから金融引き締めはおかしいという主張が聞かれる。しかし、火元の円安進行を放置すれば、コストプッシュが進んで、インフレは燃え上がる。日本のインフレは、輸入インフレであり、利上げを行ってそれにブレーキを踏む必要がある。「ディマンドプルのインフレになるまで利上げを待つ」という意見に従えば、日本の消費者マインドは輸入インフレによって悪化しよう。日銀の金融政策に過剰に介入はしない方がよい。
2024年9月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.53%の下落、日経平均株価は同1.88%の下落となりました。 月前半は米国のISM製造業景況感指数や雇用統計が予想を下回ったことで、米国経済の減速懸念が高まり市場心理に影響を与えました。さらに米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げ期待と日銀の利上げ期待の高まりにより、月半ばにかけて円高が進行しました。このような状況の中、株式市場は一時的に下落した後、反発が見られたものの上値は重く、投資家は慎重な姿勢を維持しました。 月後半はFOMCが0.5%の利下げを決定した後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が緩和を急がない姿勢を示したことや、日銀が金融政策を現状維持したことから円高が一服し、輸出関連株や半導体関連株の買い戻しが進みました。また、自民党総裁選挙で高市早苗氏が当選し、金融緩和が再開されるとの見通しが高まったことで日経平均株価は26日から27日にかけて大きく上昇しました。しかし、最終的には石破茂氏が勝利し、経済政策への警戒感が高まったことなどから30日の日本株式市場は全面安の展開となり、前月末比で下落して当月の取引を終えました。
2023年6月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比7.55%の上昇となりました。 当月の日本株式市場は、月前半は米連邦債務の上限停止による米国株高の流れを受け、大幅に上昇いたしました。月半ばには、FRB(連邦準備制度理事会)による追加利上げの示唆を受けた軟調な米国株の影響や、衆院解散への期待剥落が嫌気された一方、日銀の金融緩和の維持、米著名投資家の日本株追加投資の発表が好感され、一進一退の動きで推移しました。月後半は、株価上昇の反発と見られる下落の局面もありましたが、米景気悪化懸念の後退と円安進行が下支えをし、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
2024年12月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比4.02%の上昇、日経平均株価は同4.41%の上昇となりました。年間では両指数とも2年連続で上昇し、年末終値としては日経平均株価が最高値を更新しました。 月前半には、厚生労働省が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を通じて運用する資産の利回り目標を引き上げる方針を明らかにしたことで、日本株式の資産配分比率が高まるとの思惑が高まったことや、好調なハイテク株に支えられた堅調な米国株式市場、さらには米国の利下げ鈍化懸念からの円安進行等が日本株式市場の上昇につながりました。 月後半には、18日に米連邦準備制度理事会(FRB)は米連邦公開市場委員会(FOMC)において予想通り政策金利の引き下げを決定し、2025年については2回の利下げに留まることを示唆しました。これを受けて米国長期債利回りは上昇し、米国株式市場は調整に転じ、その影響で日本株式市場も軟調に推移しました。しかしながら19日には日銀は金融政策決定会合にて金利を据え置くことを決定し、その後の記者会見で植田日銀総裁がハト派的な発言を行ったことで為替市場では円安ドル高が進みました。その後は好調な米国の半導体株及びさらなる円安に支えられ、日本株式市場は再び上昇に転じ、27日には日経平均株価は4万円の大台を回復しました。
日本株式の上昇相場が腰折れするリスクには何が考えられるでしょうか。 日銀による拙速な利上げ判断は、日本経済の回復基調を弱めてしまい、デフレへ逆戻りさせてしまう可能性があります。また、より現実的なリスクシナリオとして、日銀が満を持して利上げ(金融政策の正常化)を行うタイミングと、米国が景気テコ入れのために利下げに転じるタイミングが重なった場合は、少なくとも短期的には急激に円高になることが考えられます。これは、国内輸出企業にとってはネガティブであり、ひいては国内景気に波及するかもしれません。春闘における持続的な賃上げの勢いもストップしてしまうことが懸念されます。さらには、金融史上前例のない量的緩和の出口政策についても、実行手順を誤れば日本経済に思わぬ弊害が生じるかもしれません。緩やかな円安は輸出企業の収益を拡大させるため、今の日本経済にとってはプラスですが、急激な円安進行は輸入物価高騰を通じた「悪いインフレ」を加速させます。2022年頃の1ドル150円の為替水準に再び戻れば、低所得者層を中心に生活が苦しくなることが予想され、インフレの好循環などとは言っていられないでしょう。 今年の春闘に限らず、継続的な賃上げは日本がデフレを完全脱却するために欠かせませんが、これは容易なことではありません。終身雇用という考え方が過去のものに成りつつあるとはいえ、企業の報酬体系はまだ米国のような完全実力主義からは程遠い状況です。このため、一旦ベースアップを決断すれば、企業にとっては全従業員に対する人件費が一律で増加することを意味し、その負担は小さくありません。来年以降も賃上げを継続するには企業収益が持続的に成長していくことが必要不可欠と考えます。
――経済安全保障やサイバーセキュリティーの強化を総裁選の公約にしていた影響でしょうか。今後、首相指名選挙で選ばれれば高市内閣が誕生します。「高市銘柄」の中で気になるものはありますか。
これらは「高市相場」や「高市トレード」と呼ばれる現象です。実は昨年の総裁選のときも同じ現象が起きていました。一時期、高市候補が石破候補をリードしていたことから、結果を先取りして円安株高方向に相場が触れたのです。
高市総裁の経済政策「サナエノミクス」は、積極財政と減税の容認です。アベノミクスで不発だった「二本めの矢」に相当する財政出動に積極的で、日銀の利上げについては時期尚早だと考えています。状況次第では赤字国債も容認するとしています。この方針が冒頭お話しした円安株高の原因です。
高市総裁の就任後、円安が加速している。悪い予感がする。予想外だったのは、自民党と公明党の足並みが、政治姿勢の違いを背景に乱れていることだ。政治不安は円安を助長する。また、高市総裁が日銀の10月利上げを牽制するリスクも円安を助長する要因になっている。10月8日時点で、政治要因+金融緩和予想によって+8.6円も円安バイアスがかかっていると試算される。
2022年7月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比3.72%の上昇となりました。 当月の日本株式市場は、米国短期金利が長期金利を上回ったことから景気後退への懸念が高まり、下落して始まりました。その後、FOMC(米国連邦公開市場委員会)の議事要旨の内容が想定通りだったことや、中国政府による景気対策への期待などから一進一退で推移しました。月半ばは、参院選で自民党が単独過半数を獲得したことや約24年振りの大幅な円安進行に加え、米国での過度なインフレ懸念の後退などから、株式市場は上昇しました。一方、中国での新型コロナウイルス感染拡大が重荷となりました。 月後半は、FRB(米国連邦準備制度理事会)が今後の利上げペースを緩める可能性を示唆したことや、日銀金融政策決定会合で金融緩和政策の現状維持が決定されたことが追い風となり、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
2022年10月に新型コロナウイルスの水際対策が緩和されたことによって、訪日客数が回復傾向にあることも好材料です。年間訪日客がおよそ3,000万人を超えた2019年の訪日客一人当たりの平均支出額は約16万円程度でした。当時のインバウンド関連経済効果が日本のGDP全体の1%弱に相当したことを考えると、今後の観光業および関連業界の復活が景気に与えるプラス影響は小さくないと考えます。さらに、過去3年で円安が進んだことにより日本の物価が海外に比べて相対的に安くなったことを受けて、訪日客がこれまで以上に支出を増やせば日本の経済成長にとってさらにプラスになると考えます。
2023年3月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.70%の上昇となりました。 当月の日本株式市場は、FRB(米国連邦準備制度理事会)の利上げ再加速の思惑を受けて米国株式市場が軟調に推移する中、円安が日本株を支える展開で始まりました。月半ばにかけては、米シリコンバレー銀行の破綻に端を発した欧米金融不安の急拡大を受け、リスク回避姿勢が強まったことから大幅な下落に転じました。しかし月後半になると、スイスの金融大手UBSによるクレディ・スイス・グループ買収や米当局による預金保護などの対応で金融システムへの不安が和らぎ、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。
高市総裁にとって、日銀に対して寛容な姿勢を採ることはプラスが大きく、マイナスが少ない。円安が進んで困るのは高市総裁である。物価が上がると、内閣支持率は下がっていく。利上げに寛容な姿勢を採れば、円安進行は止まるし、経済政策は現実路線を採ったとマーケットがみる契機にもなる。決して教条的、原理的に動いてはいけない。
高市早苗氏が内閣総理大臣に就任したことで、日本銀行の金融政策の今後の運営が難しくなるとの見方がある。主たる背景は、高市氏が、マクロ経済政策の責任は政府が持つべきであり、金融政策は経済政策の一環として政府と日銀の意思疎通の下で運営されるべきである一方、その手法は日銀に委ねられるべきとの考えをかねてから強調していることにある。
2023年2月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比0.95%の上昇となりました。 当月の日本株式市場は、米長期金利上昇などを受け米国株式市場が軟調となる中、円安が日本株を支える展開で始まりました。月半ばにかけては、市場予想を上回る米国のCPI(消費者物価指数)やPMI(総合購買担当者景気指数)を受けて利上げの長期化懸念が再燃し、日本株も下落に転じましたが、月後半にかけては、植田次期日銀総裁候補が所信聴取で金融緩和継続を明言したことや円安の進行が日本株相場を下支えし、最終的に前月末を上回る水準で月を終えました。


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