アサヒ障害 卸売はアナログ逆戻り
実際に、アサヒ飲料が扱う水やお茶、炭酸飲料も出荷停止の対象となり、これらを仕入れられない飲食店も発生。SNSでは「アサヒの出荷停止で、ウィルキンソンの炭酸が入らない」「アサヒのシステム障害の影響でトニックウォーターが入荷されていなかった」という声も上がるなど、影響はサプライチェーン全体に及んでいることがうかがえる。
セブン―イレブンやファミリーマートは、アサヒと共同開発するプライベートブランド(PB)飲料の出荷が止まり、一部店舗は欠品や品薄を周知する貼り紙を掲示し始めた。
影響はビールだけにとどまらない。アサヒGHD全体の物流が止まったことで、チューハイ用の割材やソフトドリンク、食品なども入手困難な状況になっている。特に、生ビール提供に欠かせない炭酸ガスボンベの供給が滞ることは、多くの飲食店にとって大きな懸念材料だろう。
アサヒGHDの供給制限により、他社ビールへの注文が急増。飲食店が代替品としてキリン、サッポロ、サントリー製品に切り替えたため、各社とも安定供給のために出荷制限を実施する事態となっている。
また、「ウィルキンソン」などを扱うアサヒ飲料は、10月9日から全7工場で製造を一部再開。アサヒグループ食品は、10月8日時点で全7工場での製造を一部再開している。一方で、アサヒビールおよびアサヒ飲料においては、10月以降に発売予定だった複数の新商品の発売が延期または見合わせとなっている。
ビール業界は長年、サントリーを含めた大手4社が激しいシェア(市場占有率)争いを繰り広げてきた。飲食店の取り扱い銘柄や小売店の陳列スペースに置いてもらっていた自社商品をいったん他社に譲れば、取り戻すのは簡単ではない。アサヒが早期に出荷停止や欠品を解消できなければ、中長期的に売上高や業績面で影響を受け続ける可能性がある。
影響は同業他社にも波及し、キリンビール、サッポロも一部商品に配送の遅れが出ているという。都内の業務用酒卸売店「佐々木酒店」によると、アサヒを含めたこの3社は都内などで工場や倉庫から問屋に運ぶ際、同じトラックに載せる共同配送を行っており、アサヒの出荷遅延が影響している模様だ。佐々木実社長(70)は「このままでは週明けにもスーパードライの生ビールが消える店が出る」と話す。
アサヒはサイバー攻撃を受けた9月29日午前7時頃以降、グループ内で使用するシステムが起動しないなどの不具合が生じた。これによりグループ各社の商品の受注や出荷に加え、コールセンターの顧客対応や、社外からのメール受信もできない状況が続いている。
サイバー攻撃によるアサヒビールのシステム障害は、発生から10日が経ちますが石川県内でも影響が続いています。
障害発生から5日目となる今月3日、東京・日本橋のビアバー「ブルヴァールトーキョー」は、サッポロビールの黒ラベルなど他社銘柄での代替を検討し始めた。2019年の開業時から取り扱うビールはほぼ「アサヒ一筋」だったが、店舗売上高の15%を占める主力の「アサヒスーパードライ」の在庫が来週にも尽きる見通しとなった。運営会社の代表取締役、佐藤裕介さん(46)は「この状況が続けば商売にならず、売り上げにも影響しかねない」と肩を落とす。
アサヒグループホールディングス(HD)へのサイバー攻撃によるシステム障害を受け、県内の酒類卸や食品スーパーで、アサヒの商品の入荷が滞っている。システム復旧の見...
2025年10月14日時点でアサヒGHDからシステム復旧の時期についての発表はなく、一部業務に影響が残っている模様だ。
アサヒは、23年に打ち出したDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略の中で、事業ごとに分かれていたシステムを機能ごとに統合する方針を掲げた。
傘下のアサヒビールは全6工場での製造を10月2日から再開しており、「スーパードライ」の出荷を一部再開。10月15日からは「アサヒ生ビール」「スタイルフリー」「クリアアサヒ」「ドライゼロ」「ブラックニッカクリア」などの出荷を一部再開する予定だ。システムによる受注・出荷業務が滞っている中、お客への商品供給を最優先とし、部分的に手作業での受注を進め、順次出荷を開始しているという。
3連休を控え、卸売業者や飲食店などは対応に苦慮しています。


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