
このレポートでは、メキシコペソとアメリカ経済や日本円との為替レートの動き、メキシコペソの見通し、そしてその影響を受ける可能性がある要因について詳しく解説します。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト 神田卓也
X(Twitter): https://twitter.com/KandaTakuya
利下げサイクルは来年に終了との見方も
米大手情報サービス会社ブルームバーグが10月に行ったメキシコ経済に関する調査によると、現地エコノミストらは同国経済が今年は低迷が続くものの、来年には持ち直すと見ていることが明らかになった。また、インフレについては来年にかけて高止まりが続くと予想されており、これらを背景に中銀は利下げのペースをさらに落とすとの見方が多いことがわかった。
メキシコの2025年経済成長率の予測中央値は0.5%で、中銀予測の0.6%より低かった。ただ、2026年については1.3%へと成長が加速するとの予測が示された。インフレ率は2025年の平均を3.83%と予想。2026年も急速な鈍化は見込まれず平均で3.70%と予想した。そうした中、現在7.50%の政策金利は2025年末時点で7.00%、2026年末時点で6.50%になると予測。なお、中銀は今年、すでに合計250bp(0.25%ポイント)の利下げを実施しており、利下げサイクルはひとまず来年で終了するとの見方が優勢だった。
メキシコペソ/円 週足チャート

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株式会社外為どっとコム総合研究所 シニア為替アナリスト
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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メキシコペソ円も7.000円の2024年の最安値まで急落しました
Q7. 10年後にメキシコペソが大きく成長する可能性はありますか?米国との経済連携深化や国内改革が順調に進めば、10年後には今よりも高い水準に達する可能性もあります。
株価の急落に批判が高まったことで、内田眞一日銀副総裁が、「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要」、「金融市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と発言したことが安心感を誘い、日経平均株価が大きく反発。ドル円も8月15日には149.39、メキシコペソ円も8.016円まで反発しました。しかし、米労務省2024年3月末までの一年間の非農業部門雇用者数の数値を大幅に下方修正し、FOMCでの更なる利下げの思惑が高まったことで、9月16日にはドル円が139.58と2024年の安値まで下落。メキシコペソ円も7.000円の2024年の最安値まで急落しました。
通常時はそこまで明確な連動が見られないものの、リスクオフ局面では原油安→メキシコペソ売りの連鎖が起こりやすくなります。
Q9. メキシコペソの最安値と最高値はどれくらいでしたか?最安値は2020年コロナショック時(約4.3円)、最高値は1990年代初頭(約18円)前後とされています。
この動きの中で、新興国通貨であるメキシコペソは真っ先に売られる対象になりやすくなります。
Q10. 初心者がメキシコペソ投資を始めるならどんな準備が必要ですか?低レバレッジ運用、十分な余剰資金確保、暴落時の対応力を持つことが最重要です。
メキシコペソを長期で運用する場合、ただ保有し続けるだけでは大きなリスクに晒されることになります。
メキシコペソは、通常時には高金利通貨として安定した人気を保っていますが、世界的なリスクオフ局面では大きな売り圧力にさらされやすい通貨でもあります。
・円安が更に拡大した場合、再度財務省から円買い介入が入る可能性があります、しかしメキシコペソ円に対する影響は限られるでしょう。
Q2. メキシコペソを長期保有するのは危険でしょうか?適切な資金管理とリスク許容度を持って運用すれば、長期保有も可能です。ただし短期的な急落リスクは常に存在します。
メキシコペソ円の中期的戦略としては、一旦上値がついている可能性があり、戻り売りとなりますが、突っ込み売りは避けなければなりません。特に現状はトランプ関税の思惑で売り込まれているだけに、年初この話がなし崩しとなる可能性もありそうです。その場合一定の反発も期待値ですが、慎重に8円台があれば売り上がる戦略を検討しましょう。ストップは9.463円越えとなることで、9円方向まで売り上がる余裕を持って対応しましょう。下値は7.000前後が維持されると利食い優先。あくまで7.000を割れて、6.597、6.021-6.438がターゲットとなりますが、この位置はしっかり利食いましょう。またこの位置からは買い場探しです。できればストップは5.387や5.135割れてとなることで、慎重に余裕を持って対応しましょう。こういった買いの利食いは、逆レジスタンスとして、それまでの戻り高値が押さえると利食いが良いでしょう。
Q12. メキシコペソ10年後の為替レートはどのくらいを想定すべきですか?シナリオ別に異なりますが、7.5円〜10.0円のレンジを想定する見方が主流です。
Q5. 米国経済とメキシコペソはどれくらい連動していますか?非常に高い連動性があります。米国経済が悪化すれば、メキシコペソにも悪影響が及びやすくなります。
それでは、以上を踏まえてメキシコペソ円相場の2025年の見通しと戦略についてお話します。2025年のメキシコペソ円の想定レンジを6.50~8.50とします。
テクニカル面からは、メキシコペソ円を構成するドル・メキシコ相場の月足をチェックしておきましょう。



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