
今晩はもみ合いか。昨日は主要3指数がそろって大幅に続伸。木曜日に開催される米中首脳会談を控え、スコット・ベッセント財務長官が米中貿易協議について前向きな見方を示したことで貿易摩擦懸念が一段と後退した。ダウ平均が337.47ドル高(+0.71%)、S&P500が1.23%高、ナスダック総合も1.86%高とそろって3営業日続伸し、先週金曜日に続いて取引時間中と終値の史上最高値を更新。S&P500は6800ポイントの大台を初めて突破した。
今晩は貿易を巡る米中首脳会談への期待や翌日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ期待が引き続き支援となることが期待されるものの、主要3指数が連日で史上最高値更新を続けていることで高値警戒感が意識されることや、翌日のFOMC結果公表、翌日からのアップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタのマグニフィセント・セブンの決算発表を控えた様子見が強まることも予想される。発表される10月消費者信頼感指数などの経済指標や寄り前に発表されるアメリカン・タワー、ユナイテッドヘルスなどの決算発表をにらんでもみ合う展開となりそうだ。
今晩の米経済指標・イベントは8月ケースシラー住宅価格指数、10月消費者信頼感指数、10月リッチモンド連銀製造業総合指数など。企業決算は寄り前にアメリカン・タワー、ペイパル、UPS、ユナイテッドヘルス、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、シャーウィン・ウィリアムズ、D.R.ホートン、引け後にビザ、モンデリーズなどが発表予定。(執筆:10月28日、14:00)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
見通し NY株見通しーもみ合いか 決算発表はユナイテッドヘルス
●ECBは景気下振れのリスクは小さいとみている一方で、物価も抑制されているとコメントしていることから、政策金利は2%に据え置かれる見通しです。米景気が予想以上に悪化し、ユーロ高が進行しない限り、追加利下げは検討されないと予想します。
●日本の実質GDP成長率見通しは、25年度+0.6%、26年度+0.7%に修正しました。①4‐6月期のGDPが想定を上振れ、②日米関税協議の決着、③ガソリン暫定税率の廃止が見込まれる、などが要因です。米関税引き上げは日本の実質GDPを0.4%ポイント程度押し下げると試算されますが、26年度には、海外経済の回復や減税など景気刺激策により内需も回復に転じ、日本経済は成長軌道に復すると予想します。
●欧州では、財政政策の恩恵で景気は底堅く、政策金利は据え置かれる見通しです。財政赤字の増加からタームプレミアムは高止まりする見込みです。
●日本株式市場では、トランプ関税は景気、企業業績に重荷になると見られますが、交渉により高率の相互関税、自動車関税を避けられる見通しで、景気後退リスクは小さくなったと見ます。政府の経済対策、企業のトランプ関税への対応策(特に自動車業界)が示されれば、米欧の景気回復や自社株買いなど株主還元への期待から、株価は上昇すると予想します。リスクは、日銀が利上げをした際の株式市場の反応が挙げられるでしょう。
●米国の25年の実質GDP成長率見通しを+1.7%、26年見通しを1.6%に上方修正しました。AI関連など設備投資が底堅く伸びていることが要因です。ただし、関税引き上げの影響によりインフレ率が上振れ、年後半に経済成長は鈍化する見方は維持します。雇用者数の伸びが鈍化しているため、FRBの利下げ予想を前倒しし、25年内3回に修正しました。26年には減税等の効果も現れ、米国景気は持ち直すと予想します。
●円の対ユーロレートでは、もみ合いの展開を予想します。FRBの利下げ観測が高まる中、ECBの利下げは一巡したとみられ、ユーロは米ドルに対し、高止まる見通しです。円はドルに対しもみ合う見通しで、円に対してもユーロは高値圏でもみ合う展開を予想します。
●中国は、25年+4.8%、26年+4.6%の経済成長見通しを維持します。年前半は、①消費財買い替え促進制度、②輸出の前倒し、③ハイテク関連投資の増加、などが成長率を下支えしましたが、年後半は反動が懸念されます。家計のバランスシート問題が消費需要不足の要因のようです。
3/18(火)のエヌビディア・フアンCEOの基調講演では、引き続きAI産業の明るい見通しが示されましたが、投資家の疑念は払拭されず、テクノロジー株への売りを止めることはできませんでした。
●米国では、長期金利は若干の低下後、もみ合いの展開を予想します。FRBによる利下げは予防的なもので、26年以降は様子見になる見通しです。
●日銀は、7月の金融政策決定会合において、政策金利を据え置く一方で、経済・物価見通しの確度が高まったと評価しました。
●欧州では、25年+1.2%、26年+1.2%の実質GDP成長率見通しを維持しました。雇用や貸し出しなど内需関連指標は安定しています。米国の関税引き上げによる輸出下振れが見込まれますが、財政支出の拡大により、大きな落ち込みは避けられる見通しです。欧州中央銀行(ECB)の利下げの累積効果、域内防衛費の拡大、EUの財政支出拡大、などにより26年には成長率は回復に転じると予想します。
●22日の講演の前半部分で、パウエルFRB議長は、「見通しとリスクのバランスの変化により、政策スタンスの調整が必要になる可能性がある」と述べました。後半部分では、主に金融政策の枠組みについてコメントしています。全会一致で改定された新しい枠組みでは、「雇用目標とインフレ目標が補完的でない時期のアプローチを明確にする変更」が行われ、「長期的なインフレ率は2%」を目標とすると発言しました。新しい枠組みでは、最大限の雇用は、安定した物価の下で達成できるとされています。物価と雇用が目標に達する時期にはずれがあることもある、との文もあります。
●米ファクトセット(FactSet)によれば、日米の企業業績の見通しは堅調です。8月末の米S&P500種指数の予想1株当たり純利益(EPS)は前年同月比+9.2%、TOPIXの予想EPSは同+5.2%となりました。


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