
総括
FX「最終号=インフレ、経常赤字、政争、リラ流出でのリラ安を支えるものは」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価10位)
予想レンジ トルコリラ/円3.4-3.9
*10月はリラ円小幅高、円の独歩安で
*弱点はインフレ、経常赤字、政争、リラ流出。高金利で支えられるか
*リラ安の大きな要因は膨大な外貨預金
*ムーディーズも政争の悪影響を警告
*リラ相場は巧みな介入で小幅安に留める
*中銀、インフレ懸念で利下げペースを鈍化
*野党への弾圧が続く
*トルコに膨大なレアアースの埋蔵があるとされている
*今年は金利差が為替差損をかろうじて上回っている
*OECD、EBRD、IMFがトルコの成長見通しを上方修正
(リラ安を高金利と円安で支えている。支え切れるか)
10月のリラは対ドルでは若干弱く1ドル42リラ近辺で推移も、円の独歩安で
対円では2.25%高。一方、年間では対円17.65%安、対ドルで18.08%安で最下位だ。今年はリラ安を高金利と円安(日本にとってだけだが)で支えている。支え切れるか。
イスタンブール100指数は年初来10.25%高、10年国債利回りは31.66%。
(長期的なリラ安の要因は)
長期的なリラ安の要因は、貿易経常赤字と国内の外貨預金の高い比率にある。国内のリラ預金は全体の63%、外貨預金は37%。国民は高インフレからの防衛で外貨を購入している。
トルコはEUにもユーロ通貨統合にも加盟していないが、国民は個人的に加盟しているような状態だ。これでも外貨預金の比率は50%台から低下している。
因みに日本の外貨預金の割合は1%にも満たない。
(政治的緊張がトルコの経済発展を危うくする可能性がある)
ムーディーズは、トルコにおける政治的緊張の高まりが、政府が2年以上前に正統派金融政策に回帰して以来達成してきた経済的安定を損なう可能性があると警告した。
ムーディーズの警告は、トルコで政治的緊張が高まっている時期に出された。トルコでは、主要野党である共和人民党(CHP)が約1年にわたって弾圧の対象となっており、その結果、同党の人気イスタンブール市長エクレム・イマモール氏が3月に逮捕された。
イマモール氏に加え、汚職、テロ行為、犯罪組織の結成など、多くの人から政治的動機によるものとみられるさまざまな容疑で、これまでに10人以上のCHP市長と約500人の党幹部が拘留または公判前勾留されている。
「政治的緊張が、マクロ経済の安定における成果の一部を覆す恐れがある」とし、抗議活動や政治的混乱は歴史的にトルコに対する投資家の信頼を損ない、リラを弱め、中央銀行の金融政策を複雑化させてきたと付け加えた。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
雲の上に定着できるか
日足、円売り主導で雲の上に上昇。雲の上に定着できれば24年11月以来。10月24日-27日の上昇ラインがサポート。10月9日-27日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、ボリバン2σ下限から反発。9月29日週-10月20日週の上昇ラインがサポート。10月6日週-20日週の下降ラインを上抜くか。5週線上向き、20週線下向き。
月足、3月-4月の上昇ラインを下抜いたまま。2σ下限から若干上に乖離。3月-9月の上昇ラインがサポート。4月-8月の下降ラインが上値抵抗。

メルハバ
トルコ裁判所、最大野党党首解任求める訴え棄却
トルコの裁判所は、最大野党・共和人民党(CHP)の解任と2023年党大会の無効化を求めていた原告側の訴えを棄却した。裁判は民主主義と独裁政治の間で揺れ動く同国のバランスを試すものと見られており、今回の判決でエルドアン大統領のライバルに対する圧力は和らぐことになる。
裁判所はCHP党大会で不正があったと主張する原告の訴えについて、先月の臨時党大会でオゼル氏が党首に再選されたことに言及し、もはや実質的な意味はないと判断した。判決後に株価、リラは上昇した。
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FX 最終号インフレ 経常赤字
為替相場の足元の需給は誰にも分からない。円を買うか売るかの判断は、資本の流出入の見通しが鍵を握る。それについて最も分かりやすい手掛かりが金利差だ。それ以外に通貨の信用性がある。米国が経常赤字大国でありながら、2024年など「米ドル1強」とされるほどの米ドル高となったのは、基軸通貨といった特権に加え、やはりインフレ対策の大幅な利上げにもかかわらず、景気回復が続いたことで相対的に高い金利が続き、大幅な資本流入の見通しが変わらなかった影響が大きかったのだろう。
米国は大幅な貿易赤字、経常赤字を抱えている。米国の通貨である米ドルが、2024年には円に対して160円を超えるまで上昇した理由は、貿易・経常収支の赤字を上回るほどの資本流入があったためだろう。
ドル円は、年初からドル高・円安の流れが続くなか、7月3日に一時1ドル=161円95銭近辺に達し、1986年12月以来、約37年半ぶりのドル高・円安水準をつけました。4月17日付レポート「経常収支の構造変化から考える日本円の需給」では、経常収支の中身の変化が円買い需要を減少させた可能性を指摘しましたが、今回は金融収支も含めた円の需給を考察し、止まらない円安の背景を探ります。
NOK / SEK - ノルウェークローネ(NOK)とスウェーデンクローナ(SEK)にとって最もポジティブなニュースは、地方債市場が厚みを増していることと、両国の政府が銀行およびその他の金融機関に国内の預金残高を拡大するように求めていることでしょう。このような政策アプローチは、通常の脆弱性(最終的な景気後退における世界的な流動性の低下)によるダウンサイドリスクよりも、アップサイドリスクにつながると考えられます。ただし、必ずしもそれが実現するとは言い切れません。それでも、NOKは特に割安な水準にあると判断されます。特にスウェーデンの実質金利が高いため、スウェーデンが住宅バブルの崩壊によるシステミック・リスクに晒されやすいとしても、両国は過度の通貨安がインフレの一因となっていることに対処すべきでしょう。いずれも今年注目すべき通貨です。
新興国通貨(EM) - EM通貨の概況をすべて説明することは困難ですが、EM通貨は国内でレバレッジを取ることができず、インフレによって残された債務の実質価値が減少するため、他の地域でマイナスの実質利回りを実現できれば、レバレッジの効かない債務側の問題を解決できるでしょう。つまり、金利を有意にプラスに保つことができるEM諸国は、経常赤字を抱えながらも投資を呼び込むことができ、現サイクルで来るべき景気後退の混乱期を乗り切れば(前述のようにそのリスクは銀行資金危機によって前倒しされています)、今後数年間で素晴らしいリターンを提供できる可能性があります。メキシコ中央銀行がインフレ率と政策金利を一致させたことで、実質金利のマイナス幅が縮小したこともありますが、テスラを含む米国企業の生産能力のフレンド・ショアリングに大きな可能性があると多くの投資家が考えており、「分断化ゲーム」はすでにメキシコで始まっているのです。
図表1の通り、過去に経常収支の黒字を主に構成していた貿易収支の黒字は、海外生産比率の上昇による輸出の減少や、原油価格の上昇による輸入の増加などで赤字に転じており、円安要因となっています。現在、経常収支の黒字を主に構成する第一次所得収支の黒字は、過去に行った対外直接投資や対外証券投資のリターンの積み上がりですが、海外で再投資されるケースが多く、円高要因にはなりにくいと考えられます。


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