法人所得が過去最高 24年度決算
24年度の税収が見込みより増えたことなどで、24年度の一般会計決算では、決算剰余金が生じるとみられる。決算剰余金は国債の償還に充てると法律で定めているほか、政府は防衛力強化の財源とする方針を示しており、大半は使途の見通しがある。
税目別にみると、増加をけん引しているのは法人税(22年度14.9兆円→23年度15.9兆円)である。円安などに伴って製造業利益が増加したことが主な背景とみられる。ブルームバーグの報道によると、法人税が増えた業種として自動車、電気・ガスが挙げられている。電気・ガス料金はエネルギーのスポット価格を後追いする仕組みとなっており、市場のエネルギー価格とはタイムラグが生じる。23年度以前の資源高の影響で23年度料金の値上げが進んだ一方、23年度の資源価格は22年度と比べて低下した。この期ズレの影響が電気ガスセクターの23年度利益の増加に繋がっている。法人税にもここが影響した模様だ。
24年度の税収はどうなるか。まずテクニカルな部分の減少要因を挙げていくと、大きいものが定額減税だ。減税は所得税・住民税で行われるが、国の一般会計税収には所得税部分の押し下げ圧力がかかる(▲2.3兆円の減収要因、財務省「令和6年度の税制改正(内国税関係)による増減収見込額」より)。また、先に挙げた源泉不徴収制度は23年度下期から開始されているため、24年度の税収にも押し下げ要因になる。増加要因は、先に挙げた23年度の複数の下押し要因の剥落だ。輸入消費税還付の影響などは24年度には幾分落ち着くと考えられる。
制度等の要因は定額減税のマイナス影響が明らかに大きいとみられ、この影響を経済活動や物価動向に由来する税収増がどこまでカバーできるか、という話になる。24年度の高い春闘賃上げ率や目下の円安傾向などを踏まえると、税収の基調は増加傾向が続く可能性が高いだろう。足もと物価高で賃金や消費の伸び悩みがみられるなど、実質(量)ベースの経済活動については不透明な部分が多いが、少なくとも名目(額)ベースの増加で税収は増加する。現状の24年度税収のイメージは72~73兆円程度。定額減税分の▲2.3兆円を相殺することはそれほど高いハードルではないとみている。
25年3月期決算で多くの企業が好決算となったことを受け、法人税収も23年度を上回った。SMBC日興証券によると、東京証券取引所に上場する企業の25年3月期決算では、電機や小売り・サービス業などが最終利益を伸ばした。
2024年度の国の一般会計税収が5年連続で過去最高を更新し、75兆円台前半になる見通しになった。円安による法人税収の伸びなどが寄与し、前年度の72兆761億円を上回った。7月初旬に公表する。
上場企業は3年連続最高益と報道されている(「日経」5月24日付)。
毎年度の税収は、3月期決算企業の納税額などが固まる5月納付分までが対象となる。財務省は、24年12月に閣議決定した補正予算で24年度税収が73兆4350億円になるとの見通しを示していた。税収の上振れは約1・8兆円生じた。
2024年度の国の一般会計の税収が75兆円台前半となる見通しになったことが30日、わかった。23年度(72兆761億円)を上回り、5年連続で過去最高を更新する。物価高を受けて消費税収が伸びたことに加え、好調な企業業績を反映して法人税収も増加した。
定額減税は24年度限定の措置となる予定である。経済・金融環境次第ではあるが、緩やかな景気回復の下であれば、諸々の減収要因の剥落が見込まれる25年度税収は70兆円台後半に達することが想定される。23・24年度とテクニカルな要因が実勢をわかりづらくしているが、インフレ環境の継続とともに名目GDP成長率プラスが定着する中で、税収は増えやすくなっている。
税収実績は、3月期決算企業の法人税などが納められる5月分までが集計対象となっている。財務省は、税収などを取りまとめた決算見込みを週内にも発表する。


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