
平素より川合美智子氏のデイリーコメント(S&P500)をご利用いただき、誠にありがとうございます。 誠に勝手ながら、2025年10月31日をもちまして本レポートの配信を終了させていただくこととなりました。これまで長らくご愛読・ご利用いただき、心より御礼申し上げます。
【S&P500】上値余地が限られる可能性。
直近の日足は、前日足から上寄りのスタートとなりましたが、実体の小さい陰線引けとなりました。下げエネルギーの強いものではなく、トレンドも強い状態を保っていますが、6,920-30にやや強い上値抵抗が出来ており、これを上抜けて来ないと上値余地も拡がり難い状態です。一方で、6,850-60の下値抵抗にも跳ね返されており、これに支えられて再度上値トライに転ずる可能性に繋げています。上値抵抗は6,920-30,6,960-70,7,000-10に、下値抵抗は6,850-60,6,810-20,6,770-80,6,750-60にあります。短期トレンドは6,650を割り込んで越週するか、6,600を割り込んで終えない限り、変化しません。

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SP500 プロの予想 上値余地が限られる可能性
2024年9月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.53%の下落、日経平均株価は同1.88%の下落となりました。 月前半は米国のISM製造業景況感指数や雇用統計が予想を下回ったことで、米国経済の減速懸念が高まり市場心理に影響を与えました。さらに米連邦公開市場委員会(FOMC)による利下げ期待と日銀の利上げ期待の高まりにより、月半ばにかけて円高が進行しました。このような状況の中、株式市場は一時的に下落した後、反発が見られたものの上値は重く、投資家は慎重な姿勢を維持しました。 月後半はFOMCが0.5%の利下げを決定した後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が緩和を急がない姿勢を示したことや、日銀が金融政策を現状維持したことから円高が一服し、輸出関連株や半導体関連株の買い戻しが進みました。また、自民党総裁選挙で高市早苗氏が当選し、金融緩和が再開されるとの見通しが高まったことで日経平均株価は26日から27日にかけて大きく上昇しました。しかし、最終的には石破茂氏が勝利し、経済政策への警戒感が高まったことなどから30日の日本株式市場は全面安の展開となり、前月末比で下落して当月の取引を終えました。
暗号の投資ポジションをより集中的に取る傾向は、一部に、親近性バイアスに起因すると見られます。暗号資産市場は移り変わりが速く、新しい暗号資産が頻繁に登場することから、投資家は有名な暗号資産への配分をより快適に感じている可能性があります。しかし、このアプローチでは、分散投資のメリットが見過ごされています。本稿では、暗号資産市場の投資家がポートフォリオ構築のために分散投資を検討すべき理由を探っていきたいと思います。
足元の投資環境は投資家にとっては難題山積の状況であり、現在の水準の市場ボラティリティが当分続くとGlobal Xは予想しています。10年以上にわたる低インフレの後、米国の消費者物価指数は現在、過去40年間で最も高い水準にあり、FRBは積極的な金融引き締めを実施しています。市場は不安定ですが、そうした中でも投資家は伝統的なディフェンシブ・アプローチ以外の方法でチャンスを手にすることができるとGlobal Xは考えています。本稿では、インカム生成、リスク管理、またはその両方など、投資家の目的に応じてオプションベースの戦略がどのように役立つかを検証します。
米国の景気減速への懸念が和らいだことや日銀の金融緩和継続などを受け日本株式市場は底堅い動きを続けていますが、内需関連株が相場を牽引し、外需など景気敏感株は引き続き軟調に推移しています。発表され始めた日本企業の2023年度計画を概観しても、前提となる経済条件が保守的であることも影響し市場期待に届かず、株価が下落する場合が散見されます。市場の期待値を理解し短期の株価動向を予測することは難しく、当ファンドにとって得意とは言えない相場環境が続いていますが、中長期視点に立ったボトムアップ・アプローチという一貫した投資哲学が中長期での収益獲得に最も有効であるとの考えに変化はありません。東証による企業価値向上に向けた要請にもある通り、日本企業に対する経営の質的向上余地は依然として大きいものと考えられます。当ファンドは、これらの変革機運の高まりを受けた各企業の意識変化も魅力的な投資機会と捉えており、日々の調査活動を通じてより良い収益獲得に努めてまいります。 日本経済はインフレに向かっており、連日のように値上げが続いています。賃上げの機運は高まっているものの、度重なる値上げにより消費者心理は悪化基調にあると考えられます。小売業界は、消費者心理悪化に起因する総需要の低迷に加え、水道光熱費や人件費、建築費などの店舗運営費用上昇により収益環境は厳しさを増しています。 この環境下で、当ファンドでは改めてローコストオペレーションノウハウを有する「コスモス薬品」に注目しています。それは小売業界の事業環境が厳しさを増す中で競争力の低い企業の淘汰が進み、優勝劣敗が明確化する局面が近づいていると考えているためです。 コスモス薬品はディスカウントストアの競争が激しい九州で創業、その後関西、関東へと拠点展開を進めている郊外型のドラッグストアチェーンです。ドラッグストアですが、生活必需品をEDLP(Everyday Low Price、セールなどで一定期間特売するのではなくいつでも低価格で販売する戦略)で提供することで顧客の高頻度利用を促しつつ、店舗オペレーションを極限まで合理化することで競争力のある店舗フォーマットを作り上げています。同業他社比でも粗利率、販管費率がともに低く、同社がローコストオペレーションに長けていることを裏付けています。同社の多くの店舗は現金支払いのみで、ポイントカードシステムも導入していません。クレジットカード会社への手数料やシステム導入コストを支払うぐらいなら、価格に還元したいという企業姿勢が表れています。 昨年後半からの同社の株価低下の背景は、メーカーによる商品の値上げが進む中でも同社が値上げをせずに低価格を維持することにより、短期業績が懸念されていることにあると考えられます。確かに依然としてメーカー値上げは続いており、同社が価格の据え置きを続ける限り粗利率低下は避けられません。しかし競争力のある価格設定を維持することで口コミなどを通じて消費者認知が進み、競合店舗から顧客を奪うことで店舗利益を伸ばしてきたというのが同社の過去の歴史です。今回も同様の経路をたどり同社業績は再成長するものと当ファンドでは考えます。特に10年近くドラッグストア各社が各地で出店を続けてきたことで店舗の過剰感は増しており、店舗運営の厳しさは過去に類を見ないほどに高まっています。企業体力の弱い中小企業を中心に淘汰が進む可能性は高いと考えられます。また消費者側も値上げが続くことで低価格志向に拍車がかかっており、同社店舗が選好される条件は整っていると考えます。短期的な業績停滞は予想されますが、その後のシェアアップによる店舗売上増加を踏まえれば、中長期では利益率改善による業績成長の加速が期待できる環境にあると当ファンドでは考えます。 考えられるリスクは、想定以上に低価格競争が続き、価格訴求を行っているにもかかわらず客数が増加しないことです。しかし同社の取扱商品は食品や日用品などの生活必需品であり、奢侈(しゃし)品に比べて需要は安定していると言えます。またこれらの商品は店舗間での価格比較が行いやすく、客数伸び悩みは一時的なものにとどまる可能性が高いと考えます。
人工知能(AI)は、半導体セクター以外におけるテクノロジー企業の売上高を大きく伸ばし始めており、拡大しつつあるAIエコシステム全体にわたって潜在的な投資機会を創出しています。これまで、主にクラウド・コンピューティング、デジタル広告、技術コンサルティング、データセンター・インフラプロバイダーなどが恩恵を享受しています。この拡大の規模は最近の市場動向に表れています。例えば、マイクロソフトはAI事業を立ち上げてから2年以内に同事業の売上高が年間100億ドルに達すると予想しています。グーグルのクラウド部門はAIの採用によって成長が加速しており、広告分野では、メタは最近のAI投資によってターゲティングが強化されたと評価しています。この勢いは、AI革命の二次的効果がすでに現れつつあり、幅広い産業の企業に恩恵をもたらそうとしていることを示唆しています。収益化を示す事例が増えるにつれて、より多くの企業が設備投資を増やし、AIインフラへの取り組みを強化するとみられ、その結果としてAI投資競争がさらに激しくなります。収益化と投資の循環が強まる中、本テーマは2025年も投資家から好意的に見られるだろうと考えています。
生成AIブームは、チャットアシスタントだけのことにとどまりません。様々な技術プラットフォームやプロセスにわたり大規模な言語モデルを広範に統合するうえで、AIワークロードを効果的に管理できるデータセンターとデジタルインフラが必要になります。これに伴い、新しいデータセンターの建設と、既存のデータセンターでの画像処理装置(GPU)やその他のAI向けハードウェアの導入が進み、リース料金の上昇につながっています。AIに最適化されたデータセンターは電力消費量が多いため、ステークホルダーは電源調達にも乗り出しており、再生可能エネルギーや原子力などの代替エネルギーを導入する可能性もあります。AIの普及を一般消費者にも広げるために、基地局やAIデバイスへの投資も増加すると予想されます。
テーマ型投資が「簡単」や「難しい」といった主観的な一般論ではなく、テーマ型投資に用いる厳格な運用プロセスをご説明することが、この誤解を解く一番の近道だと思います。アセットマネージャーや投資家ごとにテーマ型投資のアプローチは千差万別ですが、Global Xが採用する徹底的なリサーチ主導型のアプローチは、投資家の皆さまに効率的かつ的確なソリューションを提供するだけでなく、テーマ型投資が抱える課題に真正面から応える手法だと自負しています。
投資行動の観点では、引き続き既保有銘柄への買い増しとともに、株価が上昇し割安感が薄れた銘柄、当初の投資仮説が失効した銘柄などの売却を行っています。また、ここ数年間の業績停滞により精彩を欠く株価推移が続いていたものの、先行投資が続いていた半導体関連事業の成長により再評価機会が近づきつつあると考える特殊化学メーカーなどに新規投資を行っています。 各地での地政学リスクの高まりを背景に、株式市場は精彩を欠く展開となっています。また、本決算にて発表された日本企業の2024年度会社計画が市場期待を下回るものとなったことも、株価低迷の一因と考えます。しかし、当ファンドは個別企業への調査を通じて、各社の事業環境は改善しつつあり、会社計画は保守的なものであると考えています。賃金と物価の好循環の下、日本経済は着実に回復傾向にあり、依然大型株に対し割安感の強い中小型株に対する投資妙味は大きいものと考えます。 2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、社会インフラの電動化が進展してきています。身近な例では、ガソリン車からEV(電気⾃動⾞)へ、燃焼式暖房からヒートポンプ式暖房などが代表的ですが、工業分野でもフォークリフトやコンプレッサーなど、エンジンや油圧装置から電動モーターへの転換が進みつつあります。しかし、2024年現在においては、完全な電動化が最適解ではない機器も存在しています。自動車において、EVよりもハイブリッドに需要がシフトしてきていることはその最たる例ですし、船舶や航空機の電動化もまだ現実的とは言えません。それはバッテリー容量などの技術的課題、コスト、環境条件、用途との親和性など様々な制約があるためです。これら制約条件は技術進歩によって解消していくものと考えられます。しかし、用途によっては市場参加者の想定以上に電動化のハードルが高く、むしろ既存プレイヤーが残存者利益を享受する形で業績拡大が可能な市場があると当ファンドでは考えています。今回は小型屋外作業機械メーカーを例に挙げ、投資機会について述べたいと思います。 今回新規投資を開始した機械メーカーは、エンジン部品の一貫生産システムを構築している点を強みとし、エンジンの鋳造から成形、加工、組立までを一貫して自社で行うことで、高品質な製品の生産を可能としています。素材の配合研究すらも自社で行うことで、軽量化・高出力化を実現するとともに、世界各国で厳しさを増す排ガス規制にも適合した高性能な製品群を有しています。 同社が主な市場としている北米は、庭や公共スペースに芝生を植えることが文化として根付いているうえ、庭の整備を行わないことに対して罰金が生じる地域も存在していることから、緑地管理において世界最大の市場となっています。また、北米は今後も人口や経済成長が見込まれる地域であるため、緑地面積の拡大が続くことが想定されており、作業機械需要についても緩やかな成長が期待されます。加えて、コロナ禍で広い庭のある家に住み、ガーデニングを趣味とする人々が急増したことも同社業績にはポジティブに作用しています。 一方で、市場参加者は機械の将来的な電動化を想定しているため、同社株式は同社エンジン機械の売上縮小懸念を織り込んで割安に放置されている状況にあります。すでに多くの会社が電動化商品を市場投入していることも、エンジン機械の需要減懸念を高めている一因となっています。しかし当ファンドは同社への個別取材や競合他社の事業環境分析を通じて、市場が想定しているほどに電動化が進展しないのではと考えています。長時間の稼働を行うプロユーザーの利用形態を踏まえるに、バッテリー容量が制約となり彼らの需要を満たしていないと考えられるためです。 また、環境規制の強化も同社にとって追い風と考えています。年々厳しさを増す排ガス規制を嫌い、エンジンから撤退し電動化に大きくシフトしている競合他社が多い一方、一貫生産体制を持つ同社は環境規制への対応を続けており、緩和しつつある競争環境下において存在感を高めています。ある北米大手のホームセンターにおいては、電動機器は複数ブランドの取り扱いがある一方で、エンジン機器は同社製品のみの取り扱いとなっています。このような状況を鑑みると、同社が享受しうる残存者メリットは、株式市場が想定しているよりも大きく、長期間享受できる可能性があるのではないかと考えています。 来たるカーボンニュートラル社会に向けて、電動化が進展していくことには変わりなく、同社の残存者利益もいずれは縮小していくと考えるべきです。電池などの技術進化が加速すれば電動機器の普及率が上昇することも考えられ、リスクとなると考えられます。同社も当該リスクについては十分把握しており、電動品のラインナップを増強すると同時に、他事業の拡大にむけて発電機の生産拠点拡大なども実施しています。 また、2021年に就任した社長も同社の企業価値向上のカギを握っていると考えています。海外事業の成長加速や、コーポレートアクションを通じた企業価値向上への取り組みなどに当ファンドは期待しています。
低金利が今後さらに低下する可能性が高く、クレジット・スプレッドもタイトな中、債券市場の上値余地は限定されており、投資家は債券に代わるリターン獲得手段の模索を余儀なくされています。
2024年5月、日本株式市場の代表指数であるTOPIX(配当込み)は前月末比1.16%上昇し、日経平均株価も前月末比で0.21%上昇しました。 当月の日本株式市場は、月前半は4月の米国雇用者数が市場予想を下回り、米利下げ観測が強まったことから日米株式市場ともに上昇しましたが、日銀の金融政策正常化観測などから上値が抑えられました。月半ばには米消費者物価指数や米小売売上高など予想を下回る指標が発表され、金融引き締めの長期化への懸念が後退しました。その結果、米国の主要3株価指数が史上最高値を更新し、日経平均株価も一時39,000円を回復しました。さらに、NVIDIA社(米国)が市場予想を上回る好決算を発表し、半導体株が軒並み上昇して相場を支えました。月後半は、米景気の底堅さを背景とする利下げ動向への懸念や、日銀総裁の追加金融引き締めを示唆する講演が再び注目されて日米長期金利の上昇により株価が下落しましたが、最終的には金利上昇がひとまず一服したとの見方が買い戻しにつながり、前月末を上回る水準で月を終えました。
クラウドコンピューティング分野のリーダー企業各社における最近の収益報告は、裏付けとなる売上拡大が市場の予想を上回るほど堅調であることを示しています。非常に大規模のデータセンターを運営するハイパースケーラー各社は、間もなく発生すると見られる需要拡大を見越して能力拡大のために野心的な投資を続けています。一方、市場をリードするアプリケーション開発企業およびインフラプロバイダーの株価は大きく低下しており、これは過去2年間にわたるクラウド分野の本質的な成長をすべて無視したバリューエーションであると言えます。IT分野のワークロードでは、クラウドが提供する運用上の柔軟性、低コスト、およびセキュリティが優位性を持つため、オンプレミス環境からクラウドへの移行が永続的なトレンドであることを考えると、Global Xでは、現在の実態と乖離した株価につき、クラウドコンピューティングの持続的な成長から投資家が利益を得るためのよい機会だと捉えています。
当月は2024年の振り返りと、2025年に向けた見通しについてお話しします。 2024年は自動車の工場稼働停止や大規模な自然災害、実質賃金の回復の遅れなどから日本経済は停滞感の残る年となりました。中央銀行の金融政策の違いに起因する為替の円安基調は続いており、消費者心理の低下を招いています。 日本株相場に目を転じると、コーポレートガバナンス改革や円安進行を材料に、夏場にかけては日本株に対する注目が集まる展開が続きました。しかし8月にはキャリートレードの解消から一時大幅な調整に見舞われたほか、秋口以降も石破新政権を巡る政策の不透明感などから不安定な値動きが続いており、投資家の日本株に対する見方は慎重になりつつあるように見えます。また、2024年も大型株主導の相場展開となりました。円安進行や国内消費の停滞はいずれも外需構成比の高い大型株の相対優位につながる要因となり、投資資金が中小型株市場に波及するには未だ時間を要しています。 当ファンドのパフォーマンスに目を向けると、企業業績の成長に起因した株価の上昇だけでなく、株主還元姿勢の変化や非上場化などのコーポレートアクションによる株価の上昇も貢献要因となりました。ここ最近の企業活動を見るにつけ、日本企業のコーポレートガバナンス改革が、大型株だけでなく中小型株にも浸透しつつあることを実感しています。 2015年に上場企業が行う企業統治(コーポレートガバナンス)のガイドラインとして「コーポレートガバナンス・コード」が策定されましたが、当初は実効性を欠き、企業行動に明確な変化は現れてこなかった経緯があります。しかし2023年に東証が上場企業に行った要請以降、具体的な指針や目標が設定され、日本企業の経営姿勢に変化を及ぼしています。PBRが1倍を下回る上場企業に対する改善策が取り沙汰されていますが、より重要なのは、バブル崩壊以降長らく財務健全性を重視し続けていた日本企業が、資本収益性を意識した経営に転換する契機が訪れていることだと考えます。 大型株を中心に、政策保有株式の売却や不採算事業の整理・縮小などのコーポレートアクションは増加傾向にあり、それが政策保有株式を多く保有する企業の株価上昇の一助にもなっています。ただ日本株市場全体に視野を広げても、過剰な自己資本(現預金等)を有するなど資本収益性の改善余地が大きい企業は多く、経営変化を契機に割安に放置されている企業の企業価値が向上する可能性は高まりつつあると当ファンドでは考えています。また、抜本的な事業構造改革や株主構造の転換を図るための非上場化も引き続き有力な選択肢となりそうです。特に中小型株市場では株主構成が歪なオーナー系企業も多く、経営者の世代交代を前にした改革は将来を見据える上で不可避と考えます。 2025年を展望すると、地政学的リスクの高まりや中国、欧州の景気減速などが引き続き懸念材料として意識される展開が続くと考えられます。しかし日本経済に目を転じると、高水準の賃上げが続く見通しであり、所得環境の改善により長らく低迷していた消費の回復が期待されます。同時に企業側も収益性改善と賃上げの両立を図るべく、生産性向上のための省人化投資や経営の効率化施策が続くものと想定されます。これら経済の好循環の進展は企業業績にとって追い風となる要素であり、競争力の高い企業にとっては優勝劣敗を通じた成長加速につながるものと当ファンドでは考えています。引き続きボトムアップアプローチを通じ、市場から見落とされている投資機会の発掘に努めます。
ヘルスケア業界は、従来のケア・モデルでは増大する需要に対応することが難しくなり、転機に直面しています。予防的アプローチによって慢性疾患の管理や患者の治療成果は改善していますが、医療の需給ギャップは拡大し続けています。テクノロジーはこのギャップを埋める不可欠な存在になりつつあり、ヘルステック市場は2022年の約2,250億ドルから2032年には1兆ドル以上へと劇的に拡大する見通しです。
深刻な困難がしばしば技術的な飛躍を加速させることがあります。世界的な新型コロナの流行やサプライチェーンの混乱といった困難が、早急な解決策を見つけたり、行動やプロセスの変化を促したりするものとなります。2020年はおそらくこの数十年で最も困難な年となりましたが、その中で最先端のテクノロジーを使った様々な問題解決の事例が出てきました。
当月は日米の金融政策に対する思惑や、米大統領選を巡る不透明感の高まりなどを背景に、為替、株式市場ともに大きく変動する展開となりました。月末には日銀が政策金利を0.25%程度への引き上げを決定しましたが、日米の金融政策の違いから円高が進行し日本株式市場の変動を招いています。 一方で日本経済においては着実に賃上げの動きが広がっており、経済・物価情勢は底堅いものと考えられます。これまで円安進行や軟調な国内消費により、内需が主体となる中小型株市場にとって重石となる環境が続いてきましたが、企業業績の回復とともに中小型株への注目は今後高まっていくものと当ファンドは考えています。引き続きボトムアップ・アプローチを通じ、市場から見落とされている投資機会の発掘に努めます。 半導体関連銘柄が一時的に調整局面に入っています。米政権による対中輸出規制強化、トランプ氏による台湾防衛に対する消極的な発言などが投資家心理の悪化につながったものと考えられます。当ファンドでは保有する半導体装置関連銘柄について、株価上昇により当面の業績成長を織り込んだものと考えウェイトの引き下げを進めてきましたが、前月から新たに半導体製造に用いられる部材を製造する特殊化学メーカーに新規投資を開始しました。地政学的リスクの高まりなどで、半導体装置の需要動向にこそ不透明感は高まりつつあるものの、半導体部材や消耗品は底堅い需要成長が続くものと考えているためです。部材需要は半導体の生産量増加に連動するため、ここ数年間で数多く納入された製造装置の稼働に従い需要が拡大していくこと、また微細化の進展により部材の付加価値向上が期待できることがその背景です。 同社はハイテク部材からヘルスケアまで幅広い事業領域を有していますが、各事業ともに独自の特徴を持つ製品に特化しており、高い市場シェアと収益性、高い資本効率を誇っています。しかしここ数年は、コロナ禍に起因する需要変動や先行投資、半導体市況の悪化などが重なりここ数年間は業績の停滞が続いていた結果、株価は低迷する状況にあります。 しかし企業取材を通して、業績悪化はあくまで一時的な要因である可能性が高いこと、会社が期待を寄せる新たな半導体部材の競争力は高く、需要回復局面では従来以上の業績成長が可能と当ファンドでは判断しました。また、半導体部材は当面の需要に対する設備投資を完了しています。それが最近の業績悪化要因につながった一方、今後は償却費の減少とともに利益率改善が進みやすい状況にあることも業績再成長の確度が高いと考える一因です。 ヘルスケア事業は一部主力製品の特許切れによるロイヤリティ収入の減少が危惧されています。しかし同社はロイヤリティ収入だけでなく原薬販売も行っており、急速な売上減少リスクは限定的であること、次なるパイプラインに向けた準備が進みつつあることなどを踏まえると、業績の安定性は今後も維持される可能性が高いと考えます。 加えて、高い資本効率を維持するため、余剰資金を積極的に還元している点も注目に値します。明示こそされないものの累進的な配当方針が採られており、株価の下値を抑えるのに十分な水準であると考えます。


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